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マーティン/ 呪われた吸血少年~他

【映画感想文】
ジョージ・A・ロメロ監督の映画3作品を劇場鑑賞してきました。

ゾンビ映画の第一人者であり、ホラー映画の巨匠の世界を楽しんで参りました。
 

マーティン/呪われた吸血少年
1977年公開作品

こちらは吸血鬼のお話です。吸血鬼といえば『魔人ドラキュラ』ですが、ロメロはドラキュラが大好きだったそうで本作からもその好きが伝わってきました。

吸血鬼は邪悪な存在です。西洋では敵(悪魔)として描かれることが多く、本作品もその流れで物語は進んでゆきました。

でもロメロの眼差しは吸血鬼を敵としては見ていない。

そう思いました。

それは不自然に入った鶏を精肉にする過程のワンカット。

あぁ…。
マーティンが吸血することは、私たちが鶏を殺しチキンを食べることとなんら変わらない。

そう伝えたいの?ロメロ

主人公マーティンには、ほとんど台詞はなく、表情と所作だけで彼のパーソナリティだったり感情を表現しています。

何度か使われるモノクロの回想は、同じ映像なのに上映時間の経過とともに、その映像の持つ意味合いが変わってゆきます。

カミソリ・注射器・にんにく・ロザリオ・ギロチンの手品玩具・ガレージのリモコンなどの小道具は、まるで詩の言葉ように存在し、観客たちを想像へと誘導してくれます。

ロメロ作品の中で『マーティン』がー番好きかもしれない。

作品は悲劇でした。

悲劇と言ってもマーティンが吸血した被害者の悲劇ではなく、吸血少年として生きるマーティンの悲劇です。

映画は重たい雰囲気だけで進むでもなく、84歳の若き少年の日常をトラブルなどのコメディも入れて作り込んでいました。

1977年作品なのでまだ電子音はなくて、楽器で効果音をつけたりして、最初の方はちょっと気になったけど、まぁこれはクラシック映画ならではと、懐かしい気持ちにもなりました。

吸血鬼の物語は現在ではありふれたお話かもしれません。お話も淡々と進みますが、スピルバーグのデビュー作『激突』を初めて観たときと同じくらい映画監督の『金も女も名誉もいらないオレはこれが作りたい』と思わせるROCKを感じた良い作品でした。

ロメロ監督はよく自分の作品にちょい役で出演しますが、今回は悪魔祓いを紹介する牧師さん役で出演してました。

クレイジーズ 細菌兵器の恐怖
1973年公開作品

細菌兵器を積んだ輸送機が墜落、感染した人間は次々と発狂してゆく。政府は街を隔離し事件を葬ろうとするパニック映画です。

感染してしまった狂人は可愛らしく狂っているため、軍隊が狂人たちを殺戮してゆくシーンは狂人よりも軍隊の方が狂って見える。

この作品を映画館で鑑賞できるなんて、感無量ですね。クラシックでありながら、あまり古臭い感じがしないのはなんでだろう…。

衣装なんか今着ていても不自然ではなく、小物もオシャレなのかな。

でもやっぱりロメロの映像にだだ夢中になってしまうからかな。

アミューズメントパーク
2021年公開作品

こちらは福祉団体からの依頼で老人を大切にする啓蒙映像を費用をかけずに、3日で撮った作品です。

老人が独り遊園地で、邪険にされ、奪われ、騙され、蔑ろにされ、子供とひき離され、傷ついてゆく。

白い部屋で始まり、
白い部屋に戻るループ。

観ていて不快になる映像に、依頼した福祉団体もドン引きして上映しなかった虫喰いだらけのフィルムをロメロ婦人がリマスターを依頼し、今年上映しました。

『誰もが歳を重ね老人になる』

この映画を観た翌週父が緊急入院をしました。

1ヶ月~2ヶ月入院するらしいので退院したらまたしばらく介護が始まります。

9月に母の49日法要を済ませたばかりですが、普通に元気だったのでよもやよもやでした。

本作は映画として作られていないので、映画としてはオススメはしません。

でもなんだろう…記事を書きながら、父をこの老人の様に扱ったらダメよってロメロに念をおされた気持ちになってしまっているので、この不快な切り口で作ったことはやっぱリ正解かもしれない。

これってお告げかっ💦

新宿シネマカリテの上映は10/28までで順次地方都市をまわる模様です。

上映館情報はこちらから

いつも読んでくださり
ありがとうございます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶




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