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運命の人

鰻屋でいきなり『お前は望んで…いや愛し合ってできた娘じゃないんだよ』と父が言いだすので、急にどうした?と思いつつ『うん知ってるよ』と娘は応える。

父にしてみれば、母がグイグイ迫ってきての《でき婚》だったことは重要なことなのかもしれない。

『オレは、若い頃遊んでばかりで家庭を省みなかったし、お母さんはその時のうらみを晴らすみたいにお金使って遊び呆けて、毎日ケンカばかりしていた』と続ける。

『うん。そうだったね…』と

お茶をすすりながら顔をあげる娘の目の前で、父が涙ぐんでいた。

葬儀では、涙ひとつこぼさなかったのに。

『始まりはどうあれ、50年以上も一緒にいて一度も別れようともせずに、死がふたりを分かつ今、そんな顔をしているなら、もうそれはお母さんが運命の人でいいと思うよ』

…とは言わないで、娘はお茶をすすリ父が泣きやむのを待った。

優しい人ほど愛を語らない。

毎日の夫婦ケンカさえ、いつも楽しそうだったけど、と娘は言いそうにもなるけれど、それも言わないで、またお茶をすする。

運命の1曲といえば今は
MIRROR MIRROR 推し
さてPVの中に白熊さんは何回登場するでしょうか?

正解はコメント欄に

今回は小牧さんの1分マガジン企画に参加しました。


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