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『あんのこと』映画感想文
公開中の映画『あんのこと』を観てきました。ある少女の人生をつづった2020年6月の新聞記事に着想を得て撮られた映画で、主演はドラマ「不適切にもほどがある!」に出演していた河合優実。監督・脚本は入江悠氏がを手がけている。公開前から観に行こうと思っていたけれど、意外と上映館が少なくてちょっと拍子抜けした。今回は丸の内TOEIで鑑賞しました。
映画館は老若男女問わずたくさんの人が入っていました。
【あらすじ】
売春や麻薬の常習犯である21歳の香川杏は、ホステスの母親と足の悪い祖母と3人で暮らしている。子どもの頃から酔った母親に殴られて育った彼女は、小学4年生から不登校となり、12歳の時に母親の紹介で初めて体を売った。人情味あふれる刑事・多々羅との出会いをきっかけに更生の道を歩み出した杏は、多々羅や彼の友人であるジャーナリスト・桐野の助けを借りながら、新たな仕事や住まいを探し始める。しかし突然のコロナ禍によって3人はすれ違い、それぞれが孤独と不安に直面していく。
毎回、河合優実の唇と瞳にやられてしまう。若い頃の山口百恵にすごく雰囲気が似ていると思うのは私だけだろうか。2019年にデビューして以降、もうすでに25本の映画に出演している。やっぱりあの物憂げな瞳と、キュートな笑顔に日本人はやられてしまいがちなのか。
主人公のあんは若いけれど透明感はなく、むしろくすんでいる。腕はリスカの傷だらけで茶色いし、目の下のクマもすごい。
あんは きっとただあの場所から逃げたかった。
あんは きっとただあの自分から逃げたかった。
そこにいたら命の危機に関わることは知っている
でもそこしか知らないから逃げる術を知らない
あんを導いた刑事役の佐藤二朗のキャラが、いつも通り、クセが強めであるのにも関わらず、こんなにキャラが自然に入ってくることは珍しい。
映画『市子』や『関心領域』のような、アッチ側とコッチ側という感覚にならなかったし、彼女が選んだ最後を私は素直に受け止められた。
自死を素直に受け止める感覚になるのは、映画でははじめてかもしれない。
やっぱり実話だからか。
あんの実直に生きた姿がただ眩しかった。
命に係わる最悪のたらればを回避するために
大人はいつも考えて行動しなくてはならない。
むしろ大人がこどもにすべきことは、それだけでいいのだと思う。
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