『ボーはおそれてる』映画感想文
公開中の映画『ボーはおそれている』を鑑賞しました。油断していたら公開から1ヶ月が過ぎ、週末都内での上映は3館だけで急いで行きました。
映画を鑑賞した直後、隣に座っていた若い男の子たちは『3時間も何を見せられていたのかわからない』と言っていましたし、一方前を歩く若い男の子たちは『この内容を3時間で描くなんてありえなくね?』と興奮していました。
で、わたしはというと、アリ・アスター監督はやっぱり変態だと思いました。(とても褒めています)映画はとても面白かったですが、きっと万人受けはしないでしょう。
映画はボーが産道を通って生まれるシーンから始まります。映画に行く前に『やりすぎ都市伝説』の録画を視聴していて、その中で誕生日の『誕』の漢字には、いつわる・あざむく・でたらめという意味があり、でたらめが生まれる日が誕生日で、命が終わる日を命の日と書いて命日という話がとても印象的で、ボーが生まれるシーンで思い出していました。
不安症のボーの見ている世界は、現実と妄想の世界線が曖昧で何が現実なのかも解りずらい映画でした。映画解説者の町山智浩氏はアリ・アスター監督はユダヤ文学を表現していると仰る動画を観て、作品の内容について色々と腑に落ちました。そう言われれば確かにカフカの世界観が漂っています。
無情で圧倒的な抑圧と監視、ユダヤの禁忌を描いているのに、アリ・アスター監督が相当映像で遊んじゃっているので、その辺が伝わりずらい。まぁそこが映画の面白いところだからいいんだけど。
ボーを演じたホアキン・フェニックスの演技がとてもしっくりきていて、彼はもしかするとユダヤ人なのだろうか?と思い調べてみると母方が東欧系ユダヤ人でした。そして父は新興宗教『神の子』の宣教師で、彼はいわゆるカルト宗教の二世でした。
この作品はホラー・コメディ映画ですが、かなり宗教色の強い作品で、ボーがおそれていたものを、ホアキン・フェニックス自身も持っていたかもしれないとぼんやり思うのでした。
いつも読んでくださりありがとうございます。
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