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【フランスおいしい旅ガイド】ラングドック=ルシヨンの都市別食べ歩き方

美食の国フランス。フランスの各地方には、その風土を活かした料理や伝統的なお菓子があります。フランスを20の地方に分けてそれぞれの特徴をご紹介します。今回はラングドック=ルシヨン地方です。

ラングドック=ルシヨン Languedoc-Roussillon

フランスの南端、ピレネー山脈とプロヴァンス地方にはさまれた地中海沿岸に広がる地方。中世の古都が残る情緒豊か。ラングドック地方ではオック語が使われていたため、この名がついた。旧地方のラングドックは、ミディ・ピレネー地方のトゥールーズまで広がっていた。中世にはトゥールーズ伯爵領として栄え、1271年フランス王国領となった。ルシヨン地方は17世紀までスペインの属領であったため、カタロニアの風習が今も生きている。太陽と海の恵みに溢れ、食文化も華やか。漁港セートにはイカ、タコなど新鮮な魚介類が、トー湖では牡蠣やムール貝が採れる。魚介とオリーブ油やトマト、ニンニクをたっぷり使った地中海料理が特徴。ブドウ栽培を中心に、果物、野菜の栽培が行われるほか、リゾート開発も盛んである。また、ナルボンヌは地中海沿岸で最も古くから発展した町の1つで、紀元前1世紀には、古代ローマ属領の主要港であり、首都であった。

*ラングドック=ルシヨン地域圏は、2016年にミディ=ピレネー地域圏と統合し、オクシタニー地域圏となっている。

データ
県名:ロゼールLozère、ガールGard、エローHérault、オードAude、ピレネー・オリアンタルPyrénées-Orientales
旧地方名:ラングドック Languedoc、ルシヨンRoussillon、コンテ・ド・フォワComté de Foix
主要都市:モンペリエMontpelier

特産品
エスカルゴ、ナルボルヌのハチミツ

■都市別ガイド

ラングドックはパリから最も遠く、北フランスの貴族的な香りからかけ離れた雰囲気。山岳地帯が海沿いまで迫っている地勢で、寒暖差が激しい。主要都市は地中海沿岸部と、大西洋へへ抜ける古くからの街道沿いに集中する。パリからは、リヨン、プロヴァンスを経由する東回りと、ボルドーを経由する西回りがある。

●モンペリエMontpellier


モンペリエは内陸に位置するが、11世紀より水路を使った交易で大いに栄えた町。香辛料などの輸入から始まり、次第に最先端の知識、学問などが集まる重要な都市へと成長した。

アクセス
空路ならパリからモンペリエ・メディテラネ空港まで約1時間20分。空港から市内までバスで10分。鉄道だとパリ・リヨン駅からTGVで約4時間30分。マルセイユから急行で約2時間。

レストラン
Le Jardin des Sens:ル;ジャルダン・デ・サンス
11, avenue Saint-Lazare, 34000 Montpellier Tel: 04.67.79.63.38
モンペリエのホテル・レストラン。ルレ・エ・シャトー。2002年現在3ツ星。シェフは双子のジャック&ローラン・プールセル。(2002/10/3)

●カルカソンヌCarcassonne


19世紀に復元された中世の城郭都市。ラ・シテと呼ばれる旧市街を城壁が囲む。時間があればこの上をぐるりと歩ける。夜はライトアップされて美しい。“カルカソンヌを見ずして死ぬな”と言われるほどの観光地。

アクセス
トゥールーズのマタビオ駅から急行で約50分。1日15本。ボルドーのサン・ジャン駅から急行で約3時間30分。1日6本。

モデルコース
ラ・シテ散策→ランチ(所要半日)

カルカソンヌ駅

観光スポット
□ラ・シテ(La Cite:城郭内)
二重の城壁を巡らした昔の城下町で、現在住人は約1000人。内壁は5~6世紀に侵入してきた西ゴート族によって築かれたが、それ以前のガリア期から要害の地とされていた。その後13世紀までに聖王ルイやブルボン朝の王が外壁や教会などを造り、難攻不落の城といわれた。14世紀の宗教戦争の頃は、4~500人住んでいた。シャルルマーニュの兵糧攻めにあい、食べるものがなくなるまで戦っていた。いよいよ食糧が尽きたとき、王妃マダム・カルカスが最後の豚に最後の小麦をありったけ食べさせて、塔の上から外に投げた。それを見たシャルルマーニュの軍は、まだ豚にこんなに食べ物を与えられるほどに食糧が残っていると思い、引き上げることにした。そしてマダム・カルカスは勝利の鐘を鳴らした。人々はこれを見て「Madame Carcas qui sonne」と言って喜び、これがカルカッソンヌの語源となった。また、この兵糧攻めの間に、残っていた豆や肉をすべて入れて鍋にしたものが、カスレの起源ともいわれる。この巨大な城郭都市は戦乱の時代を経て、17世紀の後半から要塞は衰退し、廃墟となっていたが、19世紀に復元されて、中世の息吹を今に伝える。城郭内のコンタル城(Chateau Comtal)の内部は美術館になっている。

□サン・ナゼール寺院(Bailique St.Nazaire)
ロマネスクのアーチ天井のある身廊と、ゴシックの翼廊を持つ城郭内唯一の教会。壁一面を埋め尽くすような精巧なステンドグラスが身廊を飾り、内陣にもバラ窓が輝く。ともに14~16世紀のゴシックの特徴が見られる。日本語のパンフレットがおいている。

グルメスポット
通りのお土産物屋さんには、カスレ鍋やカスレの缶詰、それにこの地方独特のスパイス入り食前酒hypocrasやそれのジュレがある。これはかなりすごい味らしい。またプロヴァンス銘菓のカリソンやナヴェットをおいているお店もある。

レストラン
□Brasserie le Donjon:ブラッスリー・ル・ドンジョン
2, rue Comte Roger, 11000 Carcassonne Tel: 04.68.25.95.72
カルカッンヌの城郭内(シテ)にあるレストラン。前菜はハム、チーズ、トマトの入ったサラダ。次にお目当てのカスレ。肉とソーセージが入り、いんげんもたっぷり。焦げ目がしっかりついていて、食をそそる。が、塩分がかなりある。(1996/8/27, 2002/10/2)

□Auberge du Vieux Puits:オーベルジュ・デュ・ヴュー・ピュイ
Fontjoncouse, 11360 Aude Tel: 04.68.44.07.37
カルカソンヌとナルボンヌの間にあるホテル・レストラン。2002年現在2ツ星。ジル・ゴージョンシェフはMOF。山奥にあるとは思えないゴージャスな店内。(2002/9/29)

□Le Domaine d'Auriac:ル・ドメール・ドーリアック
Route de Saint-Hilaire-BP554, 11009 Carcassonne
Tel: 04.68.25.72.22
カルカソンヌにあるホテル・レストラン。ルエ・エ・シャトー。2002年現在1ツ星。(2002/9/30)

□Domaine du Villecarla
アカデミー・ユニヴェルセル・デ・カスレ(L’Académie Universelle du Cassoulet)の会長をつとめる「レストラン・パッション」のパッション氏のシャトー。カスレの夕べで、Diplôme de Dégustationをいただく。(2002/10/1)

●ナルボンヌNarbonne


スペイン国境近くの都市。 モンペリエからバルセロナ方面の国際列車が停車する。ローマ時代から栄えた港で、特殊な昆虫や、地質があり、ハチミツも名産。11世紀までまわりは海であったが、川の集積土で陸続きとなった。

グルメスポット
□Domeine de l'Hospitalet:ドメーヌ・ド・ロスピタレ
route de Narbonne-Plage, 11100 Narbonne Tel: 04.68.45.34.47
ナルボンヌにあるワイナリー。レストラン、展示あり。見学できる。Hospitaletは13世紀よりナルボンヌの病院の所有で、修道院が運営していた。巡礼の宿泊所でもあった。1561年よりブドウ畑を所有、1991年Ribourel氏が買収し、レストラン、ホテル、そしてアーティストが集まる場とした。60haの畑から70個の醸造桶に仕込む。温度管理はコンピュータで行っている。白ワインは発酵が進まないように夜収穫し、5℃に冷却して、空気圧で圧搾している。ワイン造りは世界的な醸造家Michel Rollandが手がける。(2002/10/2)

●セートSete


モンペリエの南西約30km、地中海に面したリゾート地で、『ラングドックのヴェネツィア』と呼ばれている。マルセイユに次ぐフランス第二の港湾都市。

お菓子屋さん
□Gerard Bertin:ジェラール・ベルタン
9, rue Gambetta, 34200 Sete Tel: 04.67.74.97.85
シェフ・パティシエのジェラール・ベルタン氏はMOF(フランス最高職人)。スペシャリテは「ネグレスコ(Negresco)」というチョコレートケーキ。ここは、自由が丘モンサンクレールの辻口シェフが修行をした店。(1998/8/27)

●ケープ・ダージュCape d'Adge

レストラン
□La Tamarissière:ラ・タマリシエール

Lieu-dit La Tamarissiere-21, quai Theophile-Cornu, 34300 Adge Tel:04.67.94.20.87
ホテル・レストラン。2002年現在1ツ星。シェフのニコラ・アルバノシェフはMOF。お楽しみのカキをいただく。やや小ぶりで身が薄い。潮の味がする。料理は素材の味がストレートに出ている。(2002/10/2)

●コリウールCollioure

ピレネー山脈の先端と地中海が接する場所にある、浜辺の海水浴場で有名な村。マティス、ピカソなどの画家たちは、この小さな村と港の美しさに魅了された。名物はアンチョビ。

レストラン
□Le Nepture:ル・ネプチュール

9, route de Port-Vendres, 66190 Collioure Tel: 04.68.82.02.27
コリウールの海岸沿いにあるレストラン。アミューズに名物のアンチョビ。2002年現在1ツ星。(2002/9/29)

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