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【フランスおいしい旅ガイド】ラングドック=ルシヨンの地方菓子

フランス南部に位置するラングドック=ルシヨン地方の郷土菓子をご紹介します。

土地の産物を使ったお菓子


○クレーム・カタラーヌCrème Catalane

スペイン北東部カタロニア風クリーム。クレーム・ブリュレの原形といわれる。卵黄、生クリーム、砂糖など材料は同じだが、クレーム・ブリュレに粉を加えてさらにねっとり濃厚に仕上げる。レモンやオレンジ、シナモンで風味をつけたり、トウモロコシの粉を加えることもある。赤砂糖をかけて表面をパリッと焼く。

Auberge de la Galupe, Urt

★バイヨンヌ近郊の「オーヴェルジュ・ド・ラ・ガルプ」で教えてもらった作り方
①卵黄にグラニュー糖を加え、ホイッパーで白っぽくなるまでかき混ぜる。
②オレンジの花の水を加える。
③銅鍋に生クリームをバニラビーンズと、さやを入れ、沸騰する手前まで温める。(沸騰すると風味がなくなる)
④②に③を合わせて、型に流し、90℃のコンベクションオーブンで1時間焼き上げる。(オーブンから出したては、やわらかい状態だが、冷えると固まるので、それ以上火を通しすぎないことがポイント)
⑤冷やしてからカソナードをふりかけて、カラメリゼして仕上げる。

Auberge de la Galupe, Urt
Domeine de l’Hospitalet, Narbonne
サン・ジャン・ド・リュズで見つけた型

○プラン・マンジェBlanc Manger

アーモンドミルクをゼラチンで固めたデザート。中世では鶏や仔牛の肉をすりつぶしてつくった肉のゼリー寄せのことをいった。「白い食べ物」の意。ラングドック地方、特にモンペリエ周辺で作られた、非常に古いお菓子といわれている。

○フローヌFlaune

フレッシュチーズ、生クリーム、卵で作るラングドック、ルエルグ、オーヴェルニュ地方のタルト。本来はシェーブルチーズの乳清とオレンジの花の水入りのカスタードクリームのアパレイユを流して焼く。

Saint-Affrique

ロックフォール近郊のSaint-Affriqueという町では、ロックフォールを作ったあとにできる乳清、卵、砂糖、小麦粉、オレンジの花の水で作ったタルトをこう呼んでいた。レストランでは、アングレーズソースが添えられていた。

Le Monderne, Saint-Affrique

○パスティス・カタランPastis Catalan

カタロニア風パスティス。レモン風味のアーモンドクリーム、松の実を詰めて焼いたパイ。

○ラングドシアンLanguedocien

タルト生地にトウモロコシの砂糖漬け入りアーモンドクリームを詰め、生地をかぶせて焼いたもの。

○胡椒風味のビスケットGateaux au Poivre

カルカッソンヌから20数キロ離れたリムーのもの。写真のものは、カルカッソンヌの城内のお菓子屋さんで見つけた。胡椒が効いたプレッツェルのようなかんじ。

○ブラ・ド・ヴェニュスBras de Vénus

ルシヨン地方ナルボンヌのロールケーキ。カボチャのジャムを塗る。「ヴィーナスの腕」の意。カタロニアでは「ジダンの腕Bras de Gitan」と呼ばれ、カスタードクリームや、栗のピュレ、チョコレート、フルーツのジャムなどを塗る。

○フリスカテ

背の高いサヴァランに砂糖がけしたもの。

キリスト教にまつわるお菓子


○コロンビエColombier

フルーツの砂糖漬けが入ったアーモンド風味の楕円形のスポンジケーキ。主にパンコートという聖霊降臨の大祝日(復活祭後7週目の日曜日)に食べる風習がある。これに白い鳩(コロンブ)の形をしたフェーヴ(陶製の小さな人形)を入れる。これを口にした人は1年以内に結婚するという言い伝えがあるので、このお菓子は婚約のお祝いとしても作られる。

○ブラサドBrassadeau

ラングドック地方東部の王冠型の菓子。タルト生地を、時にはサフランで黄色く色づけ、王冠型に成形してゆでてからオーヴンで焼く。昔は復活祭直前の日曜日である「枝の主日」に食べた。王冠型は太陽を表すといわれている。

お祭りのお菓子


○オレイエットOreillettes

ラングドック地方の揚げ菓子。oreille「耳」に指小辞etteをつけた語。形が耳に似ているためこの名がついた。別名メルヴェイユMerveilles。モンペリエでは、ラム酒風味の発酵生地にレモンやオレンジの皮をすりおろして加え、小さくて細長い耳(オレイユoreille)の形にまとめ、油で揚げる。さっくりと軽い。謝肉祭用の伝統菓子。

Jardin des sens, Montpellier

私がカルカッソンヌで見たのは、セヴェンヌ地方(中央高地東南部)のオレイエットOreillettes Cévenolesに近い。食感はぱりぱり。クレープを揚げて表面にグラニュー糖を振りかけたような素朴な味だった。

Carcassonne

○ビュニェットBunyètes

ラングドック地方のオレンジ風味の揚げ菓子。

コンフィズリ


○ヌガティーヌNougatine

ケーキの装飾用に使ったり、一口大にまとめてチョコレートで覆って食べたりする砂糖菓子の1つ。軽く色づく程度に煮つめた砂糖の中に、オーヴンで焼いたアーモンドのみじん切りを加えて、混ぜ込む。大理石の上に流して、金属製のへらで混ぜながら硬さを調節し、温かいうちに好みの形に切ったり、型で抜く。

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