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【フランスおいしい旅ガイド】ブルゴーニュの都市別食べ歩き方

美食の国フランス。フランスの各地方には、その風土を活かした料理や伝統的なお菓子があります。フランスを20の地方に分けてそれぞれの特徴をご紹介します。今回はブルゴーニュ地方です。

ブルゴーニュBourgogne

フランスの中央部、パリの南東に広がる穏やかな丘陵地帯。ブルゴーニュの名は、5世紀にバルト海沿岸から移動してきて王国を築いたブルグント族に由来する。この地方の高地から始まる2、3の川は互いに合流し、セーヌ川となってパリへと流れていく。また、ソーヌ川がリヨンと結んでいるため、地理的つながりが深い。また、ローマ時代から交易の中心地として繁栄した。910年にはクリュニー修道院が、1098年にはシトー派修道会創立され、中世には修道院運動の中枢であった。またブルゴーニュ公の領土であり、14~15世紀にはディジョンを首都として、現在のベルギー、オランダをも傘下に治め、フランス王家を凌ぐ権勢をふるっていた。ワインとエスカルゴで知られる美食の地。ディジョンの南の地域は、コート・ドールと呼ばれ、高品質のワインを産する。中央山塊のモルヴァンでは牧畜が盛んである。

*ブルゴーニュ地域圏は、2016年にフランシュ=コンテ地域圏と統合し、ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏となっている。

データ
県名:ヨンヌYonne、コート・ドールCôte-d'Or、ニエーヴルNièvre、ソーヌ・エ・ロワールSaône-et-Loire
旧地方名:ブルゴーニュ Bourgogne
主要都市:ディジョンDijon

特産品
○ディジョンのマスタード
マスタードは、アブラナ科に属する3種類の植物の種子から作られる。全フランスの生産高の半分以上を占めるディジョン産のマスタードは、中でも最も刺激性の強い種子を主に用いる。また、種子は外皮を取り除いてから使われるので、できあがったマスタードの色は淡い。これに対してボルドーのマスタードは、種子を外皮のままつぶすので、色が濃く、刺激性も少ない。

○エスカルゴ、シャロレの牛肉、ブレスの肥鶏と去勢鶏、モルヴァンの猟肉、クレーム・ド・カシス

おすすめのお土産
パン・デピス、マスタード、クレーム・ド・カシス、ル・ネギュス、カシシーヌ、アニス・ド・フラヴィニー、ワイングッズ

■都市別ガイド

ワイン好きならぜひとも一度は訪れたい地方。ディジョンまでTGVが結んでいるので行きやすい。

●ディジョンDijon


ディジョンは、フランス王家に対抗していたブルゴーニュ公国の首都として君臨した栄華の都。公国の歴代の王たちが集めた美術品や中世建築の遺産を多く残している。歴史に培われた街並みには気品や風格が漂う。フランス伝統料理のルーツとしても名高く、“美食の故郷”ともいわれている。お菓子好きには、ディジョンといえばパン・デピス。

アクセス
パリ・リヨン駅からTGVで約1時間40分。

モデルコース
(8:52パリ・リヨン駅発→10:34ディジョン着)
旧市街(旧ブルゴーニュ大公宮殿、ノートルダム教会など)→マルシェ→お菓子屋さん(所要半日)

観光スポット
ディジョン観光は、イラスト入りの地図を入手し、番号の振ってある建物を目指して、オリエンテーリングのように趣のあるというか、煤けた感じの旧市街を歩くとよい。この古都の優雅さは、その黄金時代に当たる13世紀後半から16世紀にかけて北方ルネッサンス発祥の地、フランドル地方(現在の西北ベルギー)やドイツから多くの芸術家を集めた結果だという。華麗な屋根を持ったゴシック様式の豪邸がその特徴。

□旧ブルゴーニュ大公宮殿(Palais des Ducs de Bourgogne)
町の中心に建つバロック様式の建物。1804年に破壊され、残っているのは1/3。現在はベルサイユ宮殿の設計者によって修復され、市庁舎と美術館になっている。

□ノートルダム教会(Eglise Notre-Dame)
旧ブルゴーニュ大公宮殿の北側にある、正面のファサードが特徴的な町の中心に建つバロック様式の教会。13世紀のステンドグラスが美しい。裏側にまわるとスリムな外観とすくっと伸びた青い三角の塔が良く見える。

□サン・ミッシェル教会(Eglise St.Michel)
15~17世紀にかけて建てられたルネッサンス様式の教会。正面が調和のとれたデザイン。入口の櫛形の壁には“最後の審判”の浮き彫りが施されている。

□サン・ベニーニュ寺院(Cathedrale St.Benigne)
ニス塗りのタイル屋根に象徴される。10世紀建造。4度にわたる破壊のため、93mの鋭い尖塔は12~13世紀の後期ゴシック様式になっている。地下に11世紀初頭の納骨堂が残っている。

□フォルジュ通り(rue des Forges)
ディジョンで最も古い家並みが残り、中世の趣のある古い館が建ち並ぶ。本来観光のハイライトであるはずの小ルーブルとも呼ばれる美術館(Musee des Beaux-Arts)は、火曜休館。

□おまけ:触ると幸せになれるというふくろう
建物の角のちょうど手を伸ばして届く辺りにくぼみがあり、まわりと色が異なっている。触られてすっかりテカテカになり、丸く輪郭を浮き上がらせているのが、ふくろうといえばふくろう。マナー通りに、右手の中指と薬指の間で、ふくろうを挟むように撫でる。

お菓子屋さん
□Mulot et Petit Jean:ミュロ・エ・プティ・ジャン
13, place Bossuet, 21000 Dijon Tel: 03.80.30.07.10
ディジョンといえばパン・デピスPain d'Epices 。ノーマルのパン・デピスは思ったより軽く、パウンド型のカンパンのよう。パウンド型のパン・デピス、箱入りでレーズンサンドのようにリンゴジャムやマーマレードを挟んだもの、特産品のクレーム・ド・カシス(黒すぐりのリキュール)など。(1996/8/27)

グルメスポット
□マルシェ
さすが食通の町、マルシェが大きい。生鮮食料品を扱う温室のような室内と、その周りに洋服やら生活雑貨を扱う露店がひしめき合っている。中には野菜やチーズ、ピクルス、肉、もちろんパン・デピスの店などが整然と並んでいる。パン・デピスは、いかにも手作りという感じの、しっとりしたハチミツの多そうなタイプのものと、クッキーのように焼いてあるものがあった。角の方でジロールを売っている。マルシェに続く道も商店街で、マスタードやチーズ、パンを売る店が続く。さすがにマスタードは本場らしく、メーカーも大きさも種類も豊富。(1996/8/27)

□Maille Grains Poupon:マイユ・グラン・プポン
32, rue de la Liberté, 21000 Dijon Tel: 03.80.30.44.02
マスタード専門店。(1996/8/27)

□Hostellerie de l'Etoile:オステルリー・ド・レトワール
1, rue Marceau Tel: 03.80.73.20.72
ディジョンの石造りの広いレストラン。エスカルゴ、牛肉の赤ワイン煮など郷土料理が楽しめる。(1996/8/27)

●ボーヌBeaune


“ブルゴーニュ・ワインの首都”といわれるボーヌは、中世ブルゴーニュ公領の都として栄華を極めた。ボーヌ一帯はコート・ドール(黄金の丘)と呼ばれ、ぶどう畑が広がる丘陵地帯。無数のドメーヌが軒を連ね、ワインの一大生産地を誇る。ワインの王様、ブルゴーニュには、他にシャブリ、マコネ、ボージョレ等の産地がある。ボーヌは穏やかな気候と、自然の恵みに支えられた、豊かなワインの町である。

アクセス
ディジョンから電車で約20分。コート・ドールの国道N74沿いの村々を巡りながら走るバスの便もある(所要約1時間)。

モデルコース
オテル・デュー→ワインショップめぐり→ワイン博物館→ワイナリーツアー
(所要1日)

観光スポット
□オテル・デュー(Hôtel Dieu:市立病院)
木目込み模様の華やかな屋根瓦の特徴を持つ後期ゴシック様式の建物で、1443年にブルゴーニュ公国大法官であったニコラ・ロランが建立した貧民救済のための慈善院。50haものぶどう畑を所有し、その収益で無償で病人の看護をしたという。11月第3日曜には、栄光の3日間と名付けられた世界的なワインの競売が行われる。当時のままのチャペルや、第2次世界大戦中も使われたという大病棟の小さなベッド、薬の容器が並んでいる調剤室、人形が作業を再現している中世の台所等を見学。ボタンを押すと解説が流れるようになっている。付属の美術館にはフランドルの画家ワイデン作の祭壇画“最後の審判”がある。病院前はワイン取引所になっている。

□ワイン博物館(Musee du Vin de Bourgogne)
15~16世紀建造のブルゴーニュ公の邸宅内にある。ぶどうとワイン造りに関する歴史がわかる展示で、古いワイン差し、ボトルのコレクション、14世紀のワイン造り器具などが展示されている。

グルメスポット
□Patriarche:パトリアッシュ
B.P.10-21201, Beaune Cedex Tel: 03.80.24.53.03
1780年創業の有名なネゴシアン(酒商)のカーヴ。中に入ると、ワインのリストとタスト・ヴァン(きき酒用のカップ)を渡される。地下に下りると埃のかぶった瓶が積み上げられている。迷路のような通路を進んでいくと、試飲のコーナーに着く。樽をテーブルにして、上にワインとろうそくが置かれている。係の人が全員にワインをついで、説明をしてくれる。そしてテイスティング。(1996/8/27)

□Athénaeum:アテナウム
7, rue l'Hôtel Dieu, 21200 Beaune Tel: 03.80.22.12.00
ワイングッズの店。(1996/8/27&2000/11/9)

□Maison Lameloise:メゾン・ラムロワーズ
36 place d'Armes, Chagny, 71150 Tel: 03.85.87.65.65
シャニーChagny村にあるブルゴーニュが誇る3ツ星レストラン。(2003/6/14)

●ソーリューSaulieu


アクセス
パリからTGVでモンバールMontbard(ディジョンの1つ手前)まで行き、そこからバスでソーリューまで。

□La Côte d'Or:ラ・コート・ドール
2, rue d'Argentine, 21210 Saulieu Tel: 03.80.90.53.53
ディジョンかボーヌから車で1時間位のソリュー村にある3ツ星レストラン。ルレ・エ・シャトー。18世紀の宿駅だったという建物は、木の梁が太く歴史を感じる。床は素焼きのタイル。暖炉を囲むサロンもある。宿泊もできる。(2000/11/9)

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