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電話つれづれ

「新入社員のとき、電話をとるときドキドキしたなぁ~」

ふとした時に、ムスメが言った。

そうか、そうだよね。
スマホ世代のコドモたちは、
「誰からかかってきたかわからない電話をとる」っていう経験が少ないもんね。
いつもスマホに相手の名前が出て、声を聞く前に「誰かな?」ではなく「何の用事かな?」と思いながら出る電話に慣れている若者たちにとっては、これはすっごいハードル高いことなんだろうなと思う。

すでに社会人4年目になるムスメは、今となればペン回ししながら電話に出られるぐらいになっているのであろうが(なにそのヨユー。しかも憶測)、当時はやっぱりドキドキしてたんだろうなぁと容易に想像できる。

昭和なワタシたちの時代は、家電に連絡するしか手がなかったから、
常に相手のご家族が電話口に出て「●●さんいらっしゃいますか?」と呼び出してもらうスタイル。
まぁ今思えば、コドモの交友関係がダダモレなので、自分が親になった今になると、あの頃の親のコドモの交友関係の把握度におののく。

しかしコドモの立場だったワタシとしては、親の覚えのよろしくない友人からの電話にそっけなく対応されて冷や汗かいたり、長電話して叱られたり・・と、ちょっとぷんすか案件もあったりしたなぁ。

親に聞かれたくない電話は、こっちから公衆電話でかけたりしてたっけ。
テレカ握りしめて(笑)

夜の街で、ポヤンとした電話ボックスの照明が照らす中で誰かと話をしている若い子たちをよく見かけたなぁ。

緑の電話にすがるようにしている子や、ドアに寄りかかるようにしてそこに映る自分を見つめながら笑顔を浮かべてる子や、電話のコードを最大に伸ばして座り込んで受話器を抱えている子・・

通りすがりでそんな子たちを何人も見かけた。

泣いてる子、笑ってる子、激高してる子、真剣な子、うんざり顔の子・・・

電話線の向こうにいる誰かに想いを届けるために、みんな一生懸命だったんだなぁ。

そんなこと、ぼんやりと思い出していた。

あらいやん。ちょっと青春の甘酸っぱい香りむんむんしちゃったわ。

でも、今日の本題はそこではない(ないんか!)

電話、ということで思い出したのだが、その昔、新入社員だったワタシの

華麗なる電話失敗談があるのである。

入社して半年。
だいぶ電話の取次ぎにも慣れてきたころのこと。

取引先からの電話に、誰よりも早く!元気に受話器をとっていた若き日のワタシ。

外部からの電話に対しては「はい!○○です!」と会社の名前を言うが、
その日は会社内部からの電話の取次ぎのランプが点滅していた。
社会人1年目のワタシにとっては、やはり外部より内部の電話のほうがちょっと気が楽である。
まぁどっちも失礼があっちゃならぬのだが、より「ならぬ」のが外部からのお電話なので、内部電話のランプの点滅はちょっとホッとする。(笑)

そのとき、ちょっと席から離れていたワタシは、その電話の点滅を目にするや否やダッシュして自席に戻り、ガツッツと受話器を取り上げると、
新人らしく元気よく言った。


「はいっ!もすもすっ!!」



・・・え。

もすもす?

空耳か?
だれ?なんか言った?!
・・いやワタシだ。ワタシしかおらん・・・。

しかし新人ではあるが、羞恥心は今よりもはるかに持ち合わせていたワタシは、いかにも相手が聞き間違った風を装って、
「ワタシはもしもしって言いました」という体で話を続けようとしたが、

そのパワーワードは、確実に電話口の他部署のおっさんのハートを打ち抜いたようで

一拍おいて、もんのすごい笑い声が響いてきた・・・。(´-ω-`)

そうだよね・・さすがにごましきれないもすもすがそこにあったよ。(´;ω;`)

その後、宴会のたびにその話題は繰り返し語られていくことを当時のワタシは知る由もない・・・。


そしてそれから数日後、今度は外部からの着信。

心して、二度とあってはならぬ「もすもす」発動に細心の注意を払い、
受話器を取った。

そう、反省をすれば二度と同じ失敗はしない。

若き日のワタシは、成長著しいわけである。へへん。

取引先の人から「では、これこれこういうことで、よろしいですね?」という確認を求められたワタシ。

だいじょうぶ、さっき書面で確認したし、上司のチェックも受けている。

自信をもってお答えできる!!!

元気いっぱいワタシは答えた!!


「はいっ!そうだすっ!!!」



え。

だれ?あんただれ?(; ・`д・´)

私の頭の中では、いなかっぺ大将が仁王立ちしていた・・。
大ちゃん、なんでいま出てくる?!
ニャンコ先生、助けて~~!!!(´-ω-`)


そして今回も、聞き間違いですよの体で話を続けようとしたが、
受話器から聞こえる大爆笑に、ワタシはまたしても自分の敗北を知ったのである。つ~ん・・・

そしてこちらも、取引先との宴会で長らく語り継がれるワタシの武勇伝となったのであった。
まぁもすもすも、そうだすも、元気いっぱい発声するとそこそこ響く、ということは間違いない。みなさんもご注意あれ。

ちなみに、ムスメが入社したときに、この話をしてくれぐれも注意しなさいよと親心で教えてあげたが、あきれ顔で「ないわ、それ」と言われた。

でしょ?ないと思うでしょ?
でもあるのよ!!!!
落とし穴は意外なところにあるのよ!!

いつの日か私の忠告が身に染みる日が来る・・・はずだけど4年目にしてまだない・・くそ~。


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「ないわ~それ」





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