母の介護食でバトル:暴言のあとで想うこと
頭の中はいつも母のごはんをどうするか。89歳の母の食事作りは私が全食作っている。暴言と後悔との介護食作り。
母の歯の状況
母の歯は上部も下部も部分入れ歯、奥歯はかろうじて残っている。まだひとりで歯医者に行っていた70代はよく通っていた。
その頃の私はまだ母の病院通いには無頓着でいた。何を治療しているのかは知らなかった。
どんどん出来ることが少なくなり、
今は自分で作って食べることは無理になった。
噛み合わせが悪い、悪いと言われるが、何件かの歯医者、老健でも診てもらっても噛み合わせは悪くないとは言われている。
噛むことがむづかしくなり、訪問歯科の先生の時に思い切って保険ではなくて、自費のいい素材のものも作っている。
だけどなにも変わらない。
もう噛もうとしない疑惑‼️
食べられるものはわずか
『魚系』
お刺身の薄切り
まぐろとほたてなど
しらす
青魚のアジなどは薄く切ってもダメ
焼魚も煮魚も作ったけど、ほぼかたいと残された。調理の仕方しだいなのかもしれないけど。
希望の星のサバ缶などの缶詰も好みでなく食べない。え〜っ
『肉系』
かろうじて柔らかくできた鶏ハム
鶏肉も豚肉もあまり登場しない牛肉も噛めない。
ひき肉を使えばいいかなと思えば
これも歯につまると食べない。
『野菜系』
じゃがいも
さつまいもなど芋類
これをやわらかく煮たり、茹でて潰す。
山芋 とろろにするかごく薄く
ほうれん草
小松菜
ネギ
ニラ
葉物系は噛みきれない。
ブロッコリーも細かくやわらかくしても不評。
野菜はほとんど食べられない。
スープにしても。
ごくごく小さくごくごく柔らかく煮た後のスープはいいかもしれない。
自分の食べる分とは別仕立てなので
ほんとめんどくさい。
『主食』
お米 3倍の水で炊いた軟飯
麺類 蕎麦、ラーメン
すご〜く柔らかく茹でる細かく切る
うどんは案外ダメ
パンはふつうでは食べられない。
玉子にじっくり浸してフレンチトーストにしなければ。耳は残す。
だからパンや時間のかかる麺類は週末しか作らない、作れない。
『果物系』
バナナ
いちご
キウイ
ごくごく薄切りにしたら合格。
カット果物を買ってもさらに薄く細かくしなと食べられない。
宅配食もレトルトもイヤ
毎日毎食、かたい、かたいと呪文のようにとなえる。
『介護食の宅配弁当』
もうお手上げだとお弁当を頼んでみる。
おかずの種類も多く彩りも考えていて、やわらかさも大きさもいい感じだった。
これも味付けがどうの、こうのと半分以上食べない。破棄することが多くもったいないからやめた。
『レトルトの介護食』
レトルトだって味付けも悪くないし、なによりやわらかく調理をしている。
今は介護食のレトルトも種類豊富だ。
出社時に袋から器に入れて置いておいても帰ってきた夜に見ると手付かずで置いてある。
けっきょくごはんしか食べてない。
とうとう暴言を吐いた日
そんなこんなが続いて、今日の昼はえのき茸があったのでこれを刻んでなめ茸を作る。
母は昔は瓶詰めのとろとろしたなめ茸を食べていた。
作り方をネットでみて母にごはんのお共によそった。
いっこうに食べようとしない。ちょっと食べたらダメの烙印。
少しはごはんにまぶして食べてみて
よー、とだんだん声がたかぶる。
もう野菜なんか食べなくていい
もうきのこだって食べなくていい
食べようと挑戦もしないで!!
そう暴言を吐いてから、母のお米がなくて買いに行く、昼休みのプチ逃亡。
顔を合わせればさらに暴言を吐きそうだから離れなくちゃ。
梅雨の明けた昼間は暑い。
いつもの近所のお米屋さんで相談しながら買っている。
昨日届いたばかりのゆめぴりかを2キロばかり買った。
買ったついでにお店のおかみさんたちになめ茸の話を聞いてもらう。それだけですっとした。
気分転換になったのだ、私は。
母の気持ちも考えてみると
食べたくても食べられないってどんな風に思うのだろう。
ほんとうは昔のようになんでも食べたいのだろう。
暴言を吐かれて気持ちはどこでおさまるのか、おさまらないで蓄積してしまうんだろうか。
いつも言い過ぎたと反省をする。
私は吐口はSNSでもリアル友達でもしているのに、母は吐口の先がない。
数時間、数日たてば忘れてしまうのかふつうにお互い会話をし出す。実母だからこんな風に過ぎるのだろう。
落ち着いてくるとかわいそうかと思ったりもする。いつもこんな繰り返しの母の食事作り。
もうよく食べるお刺身と卵料理だけでいいやと思うこの頃。
母の介護は人の老いていく過程を教えてくれる。この経験はきっと自分の老いた時に役立つのだと思う。
それとも母のように老いていくのかはこれからの60代、70代の生活の暮らしをどんな風に過ごすのかで変わってくると思う。
わたしの脳のリソースは半分以上母のごはん問題でもっていかれてる。
現実はプチ逃亡を繰り返す。ときどきの逃亡は私の必要経費。
私の時間も大切、母の残りの時間も大切。こころがいつも揺れ動く老老介護生活はまだまだ続く。
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