『マーケティング戦略』から読み盗った3つのこと
みなさん、こんにちは。
今回は星野リゾートの教科書のひとつである『マーケティング戦略』から読み盗りました。(「能動的な読書」を目指しておりますので、「読み盗(と)る」というアグレッシブな言葉を使わせてもらっています。)
では、本書の概要と読み盗った3つのことを書いていきます。
本書の概要
本書は4部構成です。
第Ⅰ部「市場の選択」
第Ⅱ部「市場の分析」
第Ⅲ部「市場への対応」
第Ⅳ部「市場との対話」
また、全16章すべてに「サマリー」「コラム」「キーワード」「演習問題」が収められています。サマリーで全体像を把握した上で詳細を学べるので、とても理解しやすい構成だと感じました。マーケティングの基礎知識も実践的な要素も学べる良書だと思います。
星野リゾートの教科書のひとつである『グロービスMBAマーケティング』もオススメいたします。こちらもマーケティングについて体系的に書かれています。
では、『マーケティング戦略』から読み盗った3つのことを書いていきます。「コラム」が面白かったので、そこから3つ読み盗りました。
まず1つ目は、
①環境に即し、現実を正確に把握すること
です。
第5章「消費者行動分析」のコラムに貝印の実例があげられています。
貝印は、デコ弁グッズの開発のためにモバイル調査を行いました。収集した情報は、①お弁当と調理用具の携帯写真と②簡単なコメント の2つでした。この調査結果をもとにお弁当作りの現場を再現し、貝印はデコ弁に特化したヒット商品をいくつも生み出しました。
この例で私が肝だと感じたのは、「時代と消費者に即していること」と「リアルな状況をイメージしやすいこと」です。今や携帯電話のない生活はありえません。写真を送ってもらうことで視覚に重きを置いている消費者に即していると思います。また、同じモバイル調査でも写真やコメントではなく、マルバツのアンケートだったとしたらリアルな状況はイメージしづらいと思います。
環境に即し、現実を正確に把握することが重要 と読み盗りました。
関連動画として、星野リゾートの代表 星野佳路氏の動画をシェアいたします。4:05くらいから「事実を把握する力」について語られています。
続いて2つ目は、
②多面的な分析で見えた課題を一気に貫くこと
です。
第8章「製品対応」のコラムで日清フーズの実例があげられています。
日清フーズは低迷する小麦粉の売り上げ改善を試みました。改善のために、複数の視点で分析をします。
①小麦粉の使用頻度と内容
→6割が天ぷらやケーキ(使用量多い)、4割が打ち粉や唐揚げ(使用量少ない)
②小麦粉の問題点
→粉が散る、粉が袋から出にくい
③小麦粉の保管場所
→シンクの下などの目につかない場所(45%)、冷蔵庫の中(24%)
これらの分析を経て、日清フーズは小麦粉の新パッケージ(小容量のボトルタイプ)をリリースし、成功しました。
この例で肝だと感じたのは、「多面的な分析」と「一気に貫くこと」です。日清の開発者の方は、多面的に分析したからこそ、フックするポイントを掴めたのだと思います。また、ひとつの問をひとつの策で解決したのではなく、複数の問をひとつの策で解決したというのもポイントだと思いました。
多面的な分析で見えた課題を一気に貫く姿勢がイノベーションにつながる と読み盗りました。
最後に3つ目です。
③変化の激しい時代は「身軽」でいること
第12章「競争対応」のコラムにミノルタ(現 コニカミノルタ)の実例があげられています。
当時、ミノルタは一眼レフ市場で低迷しており、起死回生のアイデアを考えていました。そこで、先行している他社には挑戦しづらいであろうアイデアをひらめきます。それが、AF(オートフォーカス:自動焦点)カメラの開発でした。
一眼レフカメラはレンズの取り換えが醍醐味のひとつです。メーカーが同じなら接続部分(マウント)が同じなので、本体を買い替えてもレンズは使い続けられるという利点があります。よって、ユーザーの移行は起こりづらいとされていました。
しかし、ミノルタはこの利点を逆手に取りました。
AF機能の導入には従来のマウントを変更する必要があったので、競合他社はなかなか踏み切れませんでした。いち早くAF機能を導入したミノルタは、AF機能にフックするユーザーを一気に囲い込むことに成功しました。
この例で私が肝だと感じたのは、「時代の変化に合わせること」と「身軽さ」です。ミノルタの成功は、AF機能が実現可能になってきたという時代の波を正確に捉えたことで生まれたと思います。また、当時のミノルタは背負うものや熱狂的な愛好家が少なかったから、すなわち「身軽」だったからこそ柔軟に対応できたのではと思います。
変化の激しい時代は「身軽」でいることが重要 と読み盗りました。
まとめ
『マーケティング戦略』から読み盗った3つのこと
① 環境に即し、現実を正確に把握すること
② 多面的な分析で見えた課題を一気に貫くこと
③ 変化の激しい時代は「身軽」でいること
次回は『ビジョナリー・カンパニー』(ジェームズ・C・コリンズ、ジェリー・I・ポラス 著) から読み盗ってみます。
最後までお付き合いいただいて
ありがとうございました。
では、またです。
貴重なお時間をありがとうございます。よき時間となりますように。