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児童書コーナーって入りづらいよね

一年ほど前、とあるきっかけがあって、中学生ぶりに児童文庫を読みはじめた。
子どもの頃は、小学校の徒歩圏内に図書館があったため、バスが来るまで児童文庫(黒魔女さんシリーズや、怪盗レッドシリーズなど)を読み、ランドセルいっぱいに本を詰め込んで、二宮金次郎スタイル(思い返すと危険だね!)で、本を読みながら帰宅していた。

しかし主な生息地が図書館から中学校の図書室へと変化し、部活が終わるのが遅い時刻ということもあって、図書館には寄り付かなくなってしまった。同時に児童文庫とも、意図せず距離ができてしまった。

そうなると児童文庫に触れる機会は、本屋でしかなくなる。
しかし本屋の児童書コーナーというものは、年齢が上がると同時に、入りづらくなるのだ!

中学生くらいまでは、らくだい魔女シリーズの新刊を求めて、児童書コーナーを通りすがりにちら見していたのだが、高校生くらいになると本格的に入りづらくなった。
だれかに制限されたわけではないが、思春期特有の自意識が、それを許さないのだ。児童文庫コーナーに近付こうとすると、目の前には自意識の壁が立ち塞がり、強力な結界に弾かれる。そうなると自意識との戦いに負けた老兵は、去るのみである。

それから児童書コーナーには寄り付かなくなっていたのだが、SNSで好きな漫画家さんが挿絵を描いている児童文庫を見かけるなど、誘惑は多くあった。
そんなこんなで歳を重ねるうちに尊大な自意識は和らぎ、児童書コーナーに入るために、魔王城を前にした勇者のごとく、心を奮い立たせる必要はなくなった。
とはいえ初めの頃は、へーなつかし〜、みたいな、こっぱずかしい演技(気持ちの問題だ)をしながら、児童書コーナーに向かっていた。(あるいは、親戚の子どもにプレゼントを贈る叔母だ)

大人が児童書コーナーに入るにあたって最も重要なのは、児童書のメインターゲット層であるお子さんを怖がらせないことである。
休日の昼間の児童書コーナーは、ちっちゃなお子さんであふれている。勝手知ったる自分たちの庭に知らない大人が居座っていると近寄りがたい(というか、怖い!)と思うので、自分を律し、近寄ることもしない。
そしてお子さんがいないであろう夜も深まった時刻に、ひっそりと児童書コーナーに現れ、児童文庫を物色する。その習性たるや、悲しき化け物のそれである。

そうして選んだ本をレジに出す時はちょっとだけ恥ずかしい。しかしピカピカの自意識を捨てた私は、店員さんもたいして気にしないだろうの精神で乗り越えられるようになった。
そうして苦労の末に手に入れた児童文庫の読み味は、格別だ!
おもしろい本は、大人が読んでもおもしろいのだ。(ちなみに通販で買えばいいだろ、というツッコミには耳を塞ぐ。私は本屋さんが大好きなのだ!)

大人になるにつれてあきらめてしまったことも、勇気を出して飛び込んでみたら、案外どうにかなっちゃうかもしれない。

というわけで、3月5日(火)発売のらくだい魔女シリーズの最新刊が待ち遠しい!

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