「動詞」で考えてアタマを働かせる ~ 名詞は静止している ~
名詞+動詞でイメージすること
「名詞」からイメージするときと、「名詞+動詞」からイメージするときでは、アタマの動き方が違う気がします。
「コーヒー」
とだけ聞いても、浮かぶのはカップに入ったコーヒーだけだったりする。
でも例えば
「コーヒーを飲む」
と聞くと、それを飲んでる誰かが思い浮かぶ気がします。
ちなみに、イメージのなかでコーヒーを飲んでいるのは顔が浮かばない何者かだったりします。なぜかそれは自分自身じゃない。ちょっと不思議。
それはともかく、動詞によって私たちは名詞だけじゃ味わえないリアルな質感をイメージできる。それはカップを持ちあげる動きだったり、飲む動作にかかる時間だったり、それを口に含んだ感覚だったりする。
人間の脳はリアリティのある想像を重視するそうです。だから、なにかをイメージするときには動詞を伴ってリアルにイメージすると、実現しやすくなるかもしれない。
例えば、カフェをやりたい人は、そのカフェにいる人たちがどんなふうに過ごしているのか、そこで自分はどんなことをするのかを動詞で考えてみるといい。
カフェ、テーブル、カップ、という名詞だけでイメージするよりも、お客さんはどんな話をしていて、どんなふうに座っていて、そこで自分はどんな作業をしながらどんな表情を向けているのか、といった動詞を伴う表現でイメージするとハッキリした像が見えてくる。
ビール会社にビールを「飲む」仕事はあまり無い
ちょっと思い出したことがありました。前職(スローガン社)でキャリアコンサルタントをしていたときに「ぼく、ビールが好きなんでビール会社に入りたいんです」と言う学生がいました。
彼はビールという名詞でイメージしていたのだと思います。実際に「ビールをどうするのが好きなの?」と聞いてみると「ビールを飲むのが好きですね」と返ってきました。
ビール会社はビールを「作って」「売る」ことで稼いでいる会社なので、ビールを「飲む」のが好きだからといって選ぶものではないと感じました。
ビールを飲むのが好きで、仮にそれを軸に仕事を選ぶなら、ビールを飲むのが仕事の「ビールテスター」になるのもいいかもね、と言ったのを覚えています。
その後、彼は別の動詞に基づいて自分の納得できるキャリアを選択していきました。めでたしめでたし。
コミュニティも動詞を中心に作れる
コミュニティを作るときにも、名詞ではなく動詞を真ん中に据えるという考え方があります。
例えば「コーヒー」という名詞でコミュニティを作るのは難しい。「コーヒーのコミュニティです」と言われても、結局なにをするコミュニティなのか分からない。分からなければ人も集わないし、能動的なアクションも起きにくい。
でも「コーヒーを飲みながらそのうんちくを語るコミュニティです」と言われれば、イメージがしやすくなる。興味がある人は来てくれそうだし、逆に興味がない人をちゃんと遠ざけることができる。「じゃあわたしは希少な日本産のコーヒーについてのうんちくを語る会をやりたい」など、能動的なアクションも生まれやすいでしょう。
わたしが主宰している議論メシというコミュニティも、「問いを立てる」「議論する」といった動詞を中心にコンセプトを作り、伝えています。
動詞で考える、動詞で選ぶ、動詞で伝える
このように、動詞の質感が思考・選択・伝達などのいろいろな場面でポジティブな影響を与えています。
そういえば、今年ももうすぐ終わり。来年の目標を考えるような時期ですね。「まいにち日記を書く」という目標には「書く」という動詞が入っています。
動詞の部分をさらに深堀りすれば、よりイメージしやすい目標になります。何を書くのか、どのくらいの量を書くのか、いつ書くのか、どこで書くのか、などなど。
ちなみにわたしの目標は「時間的な余裕」という名詞でも表現できますが、動詞を伴うと「時間的な余裕を生むためにきちんと仕事を断る」となります。もうちょい深掘れますが割愛。
やっぱり動詞があったほうがイメージ膨らみますね。
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