見出し画像

君の膵臓をたべたい

よくできた青春アニメ。
典型的な感動作だ。
根暗な主人公志賀春樹が、元気ハツラツとした女の子山内桜良と仲良くなり、桜良が死を迎えるまでの日々を描く。
死を扱いながら生を考えさせる物語だ。

桜良は、死ぬまでに自分の生きる価値を見出すこと。
春樹は人間に興味を持つこと。
これがふたりに与えられたそれぞれの使命だろう。
そして、桜良の死が訪れるまで、寄り添って生きることというのが、ふたりで一緒に達成すべき使命となる。

お涙頂戴と言ってしまえばそれまでだが、そのお涙頂戴が、うまくできている。青春アニメの形をとりながら、生きるとはなにか、日々を過ごすだけで生きるとは言えない、他人と接していることこそが生きることではないのか、というメッセージが伝わってくる。

冒頭、病院で「共病日記」と書かれた日記を拾う春樹。それは、クラスメイトの桜良のものだった。桜良が膵臓の病気で余命幾ばくもないことが明かされる。それを知った春樹は感情を表さない。
その無感情さに桜良は興味を持つわけだが、春樹がなぜそこまで感情をなくしているのか、最後まで明かされない。彼が感情を取り戻すことは重視されているのに、原因がわからないのは片手落ちだろう。

しかし、アニメのクオリティは高く、脚本もよくまとまっている。
声優は未熟で時折白けてしまうが、すべてをぶち壊しにするほどではない。
ヒットしたコンテンツを別のメディアで作りなおすという無難な制作スタンスは好きではないが、本作はよくできていた。

サポートいただくと、よりよいクリエイティブにつながります!