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「ファーザー・クリスマス」(1991年)

世界中の人々に愛される作品を、そのまま映像化した、心温まるアニメ映画。なんの不満もない。
レイモンド・ブリッグズの絵がそのまま動くというのがすばらしい。
ストーリーとしては、「さむがりやのサンタ」「サンタの楽しい夏休み」なので、多くの人が知っている内容だ。

おもしろいのはサンタが普通の人間として描かれている点だ。
歳をとって疲れやすくなっているし、物忘れもはじまっている。仕事への不満もある。女にはもてたいし、うまいものを食べたい。
あとは、彼の家にはおそらく妻と思われる女性の写真が飾ってあった。先立たれた妻なのだろうか。

そんな彼は、毎年クリスマス前になると、子どもたちからの手紙を受け取り、プレゼントを用意する(仕入れの代金は誰が払うのだろう)。
クリスマスイブになるとソリにのって世界中を飛び回る。

サンタも普通の人間で、たまたま空飛ぶソリなぞを持ってるだけなのだ。
リアルな人間としてのサンタと、彼が住む、空飛ぶソリに代表されるファンタジーの世界。このバランスがブリッグスのうまさなのだ。

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