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パパ・ユーア クレイジー

なかなかよかった。
サローヤンが自分の十歳の息子の視線を借りて、父親との生活を描く。
十歳の子どもがこんな会話をするだろうか、という印象だが、アメリカではそうなのかもしれない。むしろ大切なのは、物事にたいして自分なりの視点や考えを持つということで、そうすることによって自分なりに世界を見つけていくことができる。その過程とは、ディスカッションを大切にするアメリカという国の教育そのものなのかもしれない。そして、小説を書くとは、自分の目から世界がどう見えるかということだから、小説の書き方に関する小説ともいえる。
カントの「純粋理性批判」でも同じ対象を見ていても、人は同じようには見ていない、ということが述べられていた。やはり世界は人によって違うものなのだろう。

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