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イヴの総て

すばらしい映画だった。
ジャンルとしてはスリラーになるのかもしれないが、ホラーといってもよいほど、人間の怖さが表現されている。
純粋に見えたイヴが、実は欲深い嘘つきだということがわかっていくまでの流れが破綻なく表現されている。これだけでも見る価値があるだろう。違和感がないのだ。そして最後。そうきたか、と思わせる演出が、素晴らしい。

マーゴ・チャニングという女優が、彼女の付き人として雇ったイヴに乗っ取られていく物語だ。なにを乗っ取るかというと、それこそすべてを乗っ取っていく。演ずる人間は、全てを演じているのではないかと思ってしまう。現実にも、どこか本心で接していないのがわかる人間がいるものだが、本作のイヴはその比ではない。
また、対するベティ・デイヴィスの、イヴへの嫉妬や自身の老いに対する恐怖など、とてもうまく表現している。

ちなみに、おそらく、これはデヴィッド・リンチの「マルホランド・ドライブ」に影響を与えた作品だと記憶している。その点も観る時に意識するといいだろう。
また、主演のベティ・デイヴィスは、ベティ・ブープの元ネタだったと思う。かなり似ているから、、両者を知っている人はそのあたりも見どころだ。
なお、トリビアついでに書くと、本作にはマリリン・モンローが出ている。見ればわかるが、大スターの華やかさがあっていい。

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