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没個性【自由詩】

味のしないガム
色落ちしたカラーシャツ
炭酸の抜けたラムネ
彼らを『没個性』と呼ぶ誰かがいた

路傍の石ころ
路を割り生える草花
砂漠に埋もれた砂粒
彼らを『無価値』と一蹴する誰かがいた

誰かの言葉が大きくなって
『当たり前』や『常識』になり始めた
「本当に?」と不思議そうに言う誰かもいた 

味のしないガムは風船に
色落ちしたカラーシャツは背負われて
炭酸の抜けたラムネはシロップ風味

路傍の石ころは水を跳ね
路を割り生える草花はたくましく
砂漠に埋もれた砂粒は風に運ばれ旅をする

誰かの『没個性』は
誰かにとってはかり知れない可能性を持ち
誰かの『無価値』は
誰かにとってお金じゃ買えない貴重なもの

案外、世界とやらはシンプルなのかと
思うわけです。


無『』大

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