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『現代短歌新聞』2021年11月号

①インタビュー横山未来子氏〈信仰に関する語彙を、単なる素材のように気軽には使いたくないと思っていますので、〉まずは佐藤佐太郎短歌賞受賞おめでとうございます。自分は信仰は無いけど聖書に物語的興味があり、素材として使いそう。自戒を込めて、聞いておきたい。

〈心の花の同世代の仲間との勉強会で『現代短歌全集』を一巻から全て読む、ということを長年続けています。〉これは凄いと思うと共にいいアイデアとも思う。あの全集は単行本を読むのと違って単調なので…。仲間と読むのは良い刺激になるだろうなあ。

〈言葉が上滑りしないように、実感をともなった表現を大切にして歌をつくってゆけたらと思っています。〉本当に同感。言葉が上滑り…。現代短歌に非常に多いことだと思う。これも自戒を込めて。

何も残さなかつた忙しさがあり乾びたる金木犀の花をはさみて 米川千嘉子 十八五七七と取った。米川には珍しい大破調だ。特に初句十音が重い。三七に分かれて読める。忙しいのに成果が無い。忙しかった時間と今の自分との間に、乾いた金木犀の花が落ちているのだろう。

③佐々木亜子「読売文学賞の歌集」をさなごは吾が病み臥せる枕べの蜜柑を持ちて逃げ行かむとす 斎藤茂吉〈長男の茂太を詠んだ歌が微笑ましい。〉蜜柑は今と違い、そこそこ高価だったのでは。おいしいものが食べたくて、病気の父もお構いなし。いつの時代も子供は変わらない。

2021.12.30.Twitterより編集再掲