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『現代短歌新聞』2021年5月号

①小島ゆかり「短歌の筋トレ」うらうらに照れる春日に雲雀あがり情悲しも独りしおもへば 大伴家持:〈初句「うらうらに」は『万葉集』中ほかに例のない〈孤語〉であるという(…)結句「ひとり」に「思ふ」が続く表現も家持独自のもの。〉

 こういう事って本当に教えてもらわないと分からないところ。現代人にも通じる気分を詠っているというのは個人で読んでも何となく分かるとしても、なぜそう感じるかという言語面からの解説は一人では得られない。古歌を読む時の「先達」の必要性だ。

②島内景二「辞世のうた」煙とも雲ともならぬ身なりとも草葉の露をそれと眺めよ 藤原定子 〈私の亡がらは火葬でなく土葬にしてください。火葬ではないので、私は煙にも雲にもなりません。土から生え出る草葉に宿る透明な露を、私の形見と思ってくださいな。〉

 これも解説無しではとても読めない。この島内の現代語訳を読んで、元の歌を読んで、なるほどと腑に落ちる。ものすごく凝縮力の高い歌。現代短歌とは全然違うけど・・・定型のおかげで昔の人の心に近づくことができる。

2021.6.12.Twitterより編集再掲