『現代短歌』2019年11月号

①特集「旅のうた」 梅内美華子〈(・・・)情報に頼らない、個々の体験や実感、時代や人間への視線が旅の歌を支えてゆく(・・・)〉旅の歌というと見たものの表層的な羅列になりがちなのだが、梅内の論は、そうではない歌について、実例を挙げながら丁寧に説明している。

②歌壇時評 川野芽生「表現の不自由展・その後・その後」 既に多く論じられている問題だが、川野のまとめは、コンパクトで過不足無く、分かりやすい。後半「ミューズ」発言に関する濱松哲朗の時評に触れており、〈私たちはいつでも当事者なのだ〉という結語が重い。

③寺井龍哉「歌論夜話」〈・・・本連載で何とか読みすすめられたのは「歌源論」までに過ぎない・・・〉 壮大な連載が途中で終わった感。ぜひ再開してほしい。近世はあまり論じられてないからか、知らないことが多過ぎる。

④評論に特化された総合誌ができるのは楽しみだが、「お知らせ」の〈歌壇における批評の不在〉という部分は本当か。今、総合誌等には長短様々な評が載っているが、一ヵ月経つとフェイドアウトしてゆく。不在はむしろ、読む人、あるいは、読んだことを語り合う場では?

2019.10.27.~30.Twitterより編集再掲