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『塔』2021年1月号(1)

①塔新年会、ありがとうございました!編集委員になって初めての大きな行事。実はめちゃめちゃ緊張していました~。誌面でしか存じ上げない多くの方々にお会いできてとてもうれしかったです。今年も短歌と評論、がんばるぞ~!

大切な人ほど粗末にしているとわかってはいてどうにもならず 荒井直子 とても共感した歌。色々なしがらみや仕事関係に疲弊して、一番大事な人を後回しに、粗末にしてしまう。きっと分かってくれると信じて、甘えて。どうぞ取り返しのつかないことになりませんように。

おたがひの傷には触れず駅までを歩けば見えかくれして月は 宮地しもん お互いに傷ついていることを知っている。あるいはお互いがつけ合った傷かも知れない。でも今はそれに触れずに歩く。お互いの心の隅っこが時折見えるように、建物のかげをちらちらと月が見えたりかくれたりする。

生まれつき甘え下手だと昼下がり鳥飼ふ人に明かしてしまふ 長澤ゆり子 本当に幼い頃から甘え上手な子と下手な子がいる。生まれつきかどうかは分からないが、長子など環境にもよるだろう。損ばかりしているのか。上手に甘えられたら運命も変わると分かっていてもできない。下句が詩的。

ダンサーの日常写真 一流は踊っていなくても踊ってる 高山葉月 真理だと思う。ダンサーに限らない。何でも一流は日常の一つ一つの動作が、自分の極めていることに通じている。そして美しい。一流の歌手なら話している時でも歌っている、というところだろうか。では、一流の歌人は?

⑥吉川宏志「古語が身に馴れるまで」〈私たちは、人間が言葉を使う、というふうに考えがちだけれども、本当は逆で、言葉によって自分の身が変わっていくのである。〉言葉によって自己が変わる。それは短歌を作る一つの理由かも知れない。・・・これを読むまで自覚はしてなかったけれど。

2021.1.30.~31.Twitterより編集再掲