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『うた新聞』2021年2月号

①間瀬敬「花イヤシクスルハ人間ト思フナリ人間ヲイヤシト思フ深ク思フ 小暮政次」〈政次があるとき、盆栽に触れて、針金で形をこしらえたりする人間の卑しさを指摘したことがあるが…〉写生なのに抽象になっている歌に惹かれる。盆栽とはなるほどだが、知らずに読むのもいい。

②大松達知「歌の脚力」「鹿児島地裁206号法廷に入れば椿凍れる気配 大口玲子」〈九州電力と国を相手にした裁判の場面。(…)自らの目を通した報道者のとしての抑えたトーンは、定型という枠を内側から蹴破ってくる迫力がある。〉「脚力」「定型を蹴破る」、大口短歌への最適の評。

③大辻隆弘「同格の「の」の官能」〈私はいつもこの「(同格の)の」を「まあ関係代名詞のwhatだと思えばいいよ」と教えることにしている。〉関係代名詞whatに同格の用法は無い。what自体が先行詞である名詞を含んでいるから同格になることはありえない。同格のthatとの間違いか?

〈つまり「白い鳥whatクチバシと脚が赤くて鴫くらいの大きさ」だよ、と言うと、生徒は、何となく納得してくれる。〉whatなら「白い鳥」という先行詞は不要。同格のthatは前に来る名詞を選ぶから「白い鳥」には続かない。関係代名詞のthatなら意味上入りそうだが同格ではない。

この部分に英語で何が入るか考えると却って混乱してくる。なぜ英語で説明しようとするのだろう。大辻は歌人で国語の先生なのだから、古典文法は日本語で教えてほしいと思うのだが、どうだろう。

2021.2.25.Twitterより編集再掲