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己という運命の女神に刃を向ける




もしも自分が世界を滅ぼす運命を課せられた存在だったとして、そのとき私は、その運命が描く地図通りに歩みを進めるだろうか。それとも、運命に抗うために、必要とあらば神にすら刃を向けるだろうか。

運命に抗おうと思えるほど、生への強い執着はない。
少なくとも今現在の自分には。

「人生の運命図は、誰もが生まれる前にすでに描き終えているのです。その運命図を変えることができるのは限られた場合のみ。たとえば一つ目は、家族など自分にとって大きな存在を失ったとき――・・・」

昔、YouTubeを見ていたら流れてきた怪しさ満点の動画広告。不自然に早送りされた機械音声が、目まぐるしく切り替わるフリー素材たちを背景に語りかけてくる。二つ目以降が何なのかは聞かずにスキップボタンを押した。

だが、妙に記憶に残っている。

もしも自分で完成させた運命図を持ってこの世に生まれたとして、家族を失ったときにその運命図を描きかえられるのならば、私はすでに三回それを経験している。

結婚式よりもお葬式に参列した回数のほうが多いのは、単に結婚式に招待してくれるほどの友人がほとんどいないからか。それとも年端もゆかぬうちに近しい人が亡くなりすぎているからか。うーん、どちらもかな。

水たまりを覗きこむ。その中に映る世界がパラレルワールドだったら、と想像する。

水たまりの中にいる自分が、もしも卒業式の後に片想いしていた人への告白を決行した自分だったら。何かがほんの少しでも変わっていただろうか。

もしもあのとき大学をやめたんじゃなくて復学した自分だったら。今頃スーツかオフィスカジュアルに身を包んでいただろうか。

もしもあの日に、夕方ではなく、午前中に母へメールを送った自分だったら。母は深い闇の中で私の存在を再認識し、死ぬことをやめてくれただろうか。

「運命」という都合のいい言葉。「運命の出会い」みたいに、幸福の出発点にそれを置いて人生をより輝かしく語ることができる。一方で、もう二度と戻れぬ岐路を振り返り、「そう決まっていたのだからしょうがない」と後悔をなだめるためにも使える。


そういえば八回目の命日か、と空を見上げた。
その日はよく晴れていた。
私は普段通りに過ごした。





この人生が、生まれる前の自分が描いた運命図どおりに進んでいるのならば、生まれる前の自分は相当趣味が悪い。自分を「滅ぼす力さえあったら滅ぼしてやるのに」と考えるような主人公に設定するなんて。生まれるのが嫌すぎて当てつけのように書いたのか。それとも救いのない筋書きが性癖だったのか。

運命図を描いたのが生まれる前の自分であるならば、その自分は自分だけの運命の女神。つまりは「なんでこんなものを描いたのか」と頭を抱えた時点で、今ここに生きる自分は神に対して刃を向けていることになるんじゃないだろうか。

だって、運命の女神が仄暗い物語をお好みだとしても、生まれてしまったからには不幸より幸福のほうが欲しいに決まっているじゃないか。この手に世界ごと滅ぼせる力がないのならなおさらに。

パラレルワールドの自分に手を振る。
君は、運命についてどう思う?


































折本配布のお知らせ

最近の調子はどうですか?寒いけれどエアコンを使いたくないので家の中でダウンを着る日々です。例年より早く花粉の気配を感じる日も増えてきて、慌ててアレグラを買いました。花粉症持ちの方、一緒に乗り越えていきましょう。

さて、ただいまコンビニのマルチコピー機の「ネットワークプリント」を使い、上記の文章と写真から抜粋して作った折本を配布しております。カバンの中や手帳のあいだに潜ませて、心を鎮めたいときや一息入れたいときなどにパッと開いてみてはいかがでしょうか。


折本とは?

一枚の紙をカンタンに折りたたんで作る本のこと。A4サイズの紙の片面だけに全ページを印刷し、皆さんの手でちょっと切り折りしていただくだけで小さな冊子が完成します。


ネットワークプリントの利用方法

お近くのコンビニにあるマルチコピー機をご利用ください。A4サイズのカラー片面印刷で1枚60円(こちらは印刷代で、私の収益にはなりません)。フチ・余白・ちょっと小さめ設定は「なし」推奨です。

配布期限が一週間程度となっているので、ご希望の方はお早めに!


◇セブンイレブン
予約番号:11934883
(2024/02/07 23:59まで)
利用法はこちら↓


◇ローソン・ファミリーマート
ユーザー番号:HLWB99BJW5
(2024/02/08 17時頃まで)
利用法はこちら↓


折り方

一か所だけカッターで切れ込みをいれる必要アリです。



月報

昨年末でイベント系のアルバイトとしてはかなり長期だった現場が終わり、今月は超短期の現場にちょこちょこ行きながらもほぼニートみたいに生きていた。

そもそもイベント系のアルバイトはまだ居酒屋で働いたころに副業として始めたもので、居酒屋が閉店したからつなぎとして一時的にメイン仕事にしていただけ。やっぱり何も考えずルーティーンで行ける仕事が欲しいかなぁと思いながら求人サイトを漫然と見ていたら、完全在宅のアルバイトを発見した。応募殺到中らしい。おうちから出たくないし在宅ワークなんて最高だなぁと思いつつ、求人を出している会社について調べてみた。渡る前に石橋を叩くのは私のいつもの癖。

そうしたら、会社のホームページに掲載されている情報があまりに少なすぎる。自社のサービスを第三者に知ってもらう気概がまったく感じられない。一応と思って住所を調べたらバーチャルオフィスだった。もしかして黒か?求人をそっと閉じた。直感がやめろと言うならそれに従うまで。

そんなことをした直後、イベント系のほうからちょい長期の仕事を獲得できたので、来月と再来月はそこで稼がせていただく予定。今年は作ってみたいものが二つある。その軍資金にしたいのだけど、時期的に税金に消えるかなぁ~…(分割払いが嫌すぎてまとめて払えるものは全部先払いしちゃいたいタイプ)。


今月のプレイリスト

まふまふ / 悔やむと書いてミライ

Rin音 / Empty lamp

この曲がエンディングに使われている「私立パラの丸高校」というアニメコントYouTubeチャンネルが最近好きです。ひかる・りこてゃ推し。

北山陽一 / ReMEMBER

ゴスペラーズのメンバー・北山先生のソロデビュー曲!




  

良いんですか?ではありがたく頂戴いたします。