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ロイヤルコペンハーゲンのお茶碗



今日は夏の暑い時期の思い出深いお茶碗についてお話ししましょう。



お稽古場では夏には略盆のお点前を稽古していました。これは《盆点前》と呼ばれるお盆を使った簡略な、つまりちょっと簡単で略式のお点前のことです。お盆の上に必要な道具を飾りつけてから運んで、お盆の上だけでお点前を進めるというものなので、比較的どこでも手軽にお茶を楽しむことができます。


お稽古場で、夏になると決まって出てきていたのがロイヤルコペンハーゲンのお茶碗です。これはもともとお茶碗ではありません。お椀のような形の器なのでおそらく洋食器では「ボウル」と呼ばれるタイプものとして作られたのでしょう。盆点前では色々なものと一緒にお盆に載せるので、あまり大ぶりではない大きさもちょうど良く。そしてなんといっても外側が深い紺、内側が白地に線の模様が入っていて、目にも涼しい感じがするお茶碗でした。


これは先生が北欧に旅行された際に買い求められた思い出の品ということでしたが、小ぶりで手の中への収まりも良く、可愛らしさのあるお茶碗でした。ただひとつ、温度が伝わりやすくて、お湯が入るとかなり熱くなるのが少し難儀でしたが、それを差し引いてもあまりある愛らしいお茶碗でした。


お道具には先生の思い出のあるものが多く、作家さんとのことや手に入れられた時のエピソードなどをうかがうのも楽しみのひとつ。このロイヤルコペンハーゲンのお茶碗以外にも季節によって色々なお道具が。


この、夏にだけ登場する特徴的なお茶碗は一度でワタシの記憶に刷り込まれましたが、なかには毎年、その季節に出会っているのになぜか毎回初めてのように感じられるものもありまして。友人のひとりとワタシは何度も見ているお道具を毎年、毎回まるで初めてのように感激してお話をうかがうので(忘れっぽいだけとも言います)、先生は「また忘れたん? でも毎回、初めてみたいに目新しさがあるなんて、あんたら二人には値打ちあるわ」と笑っておられました。


暑い時期に熱いお茶を頂く……暑いのになんで?と最初思っていたワタシですが、お茶を飲んだ後、汗だくになるかと思いきやそうでもなく、むしろスッキリするような感じでそれも最初は不思議な感覚でした。


建具が夏仕様に変わり、向こうがほんの少し透けて見える葦戸(よしど)も涼しげです。夏らしいお軸を掛け、その時期のお花を入れ、夏の時期にしか出てこないお菓子を頂き、その時期のお道具でその時期のお点前をする。色々な要素が合わさって、夏らしさが演出され、その景色が空気感と共に記憶に残る。ありがたいひとときです。



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