見出し画像

第11回 知財若手の会 ~「機械的に考える明細書作成のスキーム」~を終えて(7/13 20:00~22:00)

※本記事はLeXi/Ventブログの再掲です。
作成者:もっちー

はじめに

こんにちは。知財若手の会の運営です。
2024年7月13日(土)に知財若手の会の第11回のオンラインイベント「機械的に考える明細書作成のスキーム~機械電機分野の国内外の権利取得と権利行使のために~」を開催しました。

知財若手の会(通称:チザワカ)は「若手」で語る知財をコンセプトとして活動しており、イベントを中心に若手同士で語る・発信できる場を提供することが目的です。詳しくは以下のnote記事をご覧ください。


第11回 知財若手の会について

今回は大阪にあるレクシア特許法律事務所の代表パートナー弁理士である立花顕治先生をお招きし、オンライン(チザワカスペース)での開催となりました。

以下のような若手を対象に応募をしたところ、総計30名を超えるご応募がありました!

  • 特許事務所で、弁理士または特許技術者として、明細書を作成している方

  • 企業知財部で、明細書を作成している、または、事務所からの明細書をチェックする立場にある方

  • 外国を見据えた特許出願について、悩んでいる方

前半は「機械的に考える明細書作成のスキーム~機械電機分野の国内外の権利取得と権利行使のために~」というテーマでご講演いただきました。後半はグループに分かれて明細書作成などについての気づきや立花先生に聞きたいことを共有し、その後、立花先生にご質問をする時間を設けました。


プログラム紹介

  • 開会挨拶・立花先生のご挨拶(10分)

  • 立花先生ご登壇(60分)
    機械的に考える明細書作成のスキームとは?
    再現性が上がらない理由とは
    明細書作成にセンス、コミュ力は必要?
    明細書作成で考えるべきこと

  • グループディスカッション(20分)
    明細書作成などでの疑問点、困っていることの共有

  • 立花先生へのご質問(30分 3グループ各10分)
    先行文献との向き合い方、諸外国への出願 など

  • 閉会挨拶(5分)
    立花先生から若手に一言


機械的に考える明細書作成のスキーム

登壇者ご紹介

立花先生はレクシア特許法律事務所の代表パートナー弁理士でいらっしゃいます。
レクシア特許法律事務所は、特許はもちろん、意匠・商標、法務と各分野の専門の先生が所属されており、多角的な出願権利化、侵害関連など幅広い業務を扱っておられます。
その中で立花先生は、機械電気分野にかかる出願、審査対応、侵害対応などを専門とされており、また、米国での特許出願、審査対応にも非常に精通されています。


機械的に考える明細書作成のスキームとは?

20年以上明細書を書き続けている立花先生は、現在も試行錯誤しながら明細書の書き方を変えているそうです。立花先生が常々考えているのは、どうすれば機械的に明細書を書けるかということです。

明細書作成には時間がかかることから、機械的に考える明細書作成のスキームにより、明細書作成の再現性を向上させることが重要になります。所定のスキームにしたがうことにより、一定の質を保ちながら効率よく明細書を量産できるようになるとのことです。


再現性が上がらない理由とは

明細書作成の再現性を向上させるために必要なことは2点あるとのことです。

1点目は、発明に関する技術的な理解をすることです。
これは明細書を書く人は避けては通れない事項であり、これについてどうしたらよいか、立花先生のお話でご説明がありました。

2点目は、本テーマである明細書の書き方を定式化することです。
これについては後述させていただきます。


明細書作成にセンス、コミュ力は必要?

結論としては、センス、コミュ力よりも、以下の3つのスキルが必要であると立花先生は考えています。

  1. 物事を分析し、客観的な根拠に基づいて、自身の意見を言えること

  2. 議論を進めるうえで必要な質問を、適切なタイミングでできること

  3. 他人からの質問に対し、他人が望む回答ができること

この3つのスキルを意識することはもちろんですが、数をこなし経験を積むことで、明細書作成に必要なスキルを身に着けることができるとのことです。


明細書作成で考えるべきこと

明細書作成にあたって考えるべき6つのステップを挙げていただきました。

  1. 技術の理解

  2. どんな権利が欲しいのか、どこまで広げたいのか

  3. 解決手段のベストモードと広げた発明との乖離をどう埋めるか

  4. 従来技術とどう向き合うか?

  5. 柔軟な補正のための対策

  6. 各国のルールに適合するための調整


これらについて、キーワードは以下となります。

  • 将来起こりうることを、明細書にいかに盛り込めるか

  • ポートフォリオ、事業戦略に合った権利の獲得

  • 競合ならどうするか?の視点

  • サポート要件違反の観点

  • 想定外の引例(拒絶理由)に対応するためにどうしておくか

  • 発明を広げた分には責任を持とう!

  • 変形例超重要論:立花先生の考え方

特に各国のルール、法制度に合わせて出願対応をしていくことが重要であることが伝わりました。また、参考となるHPサイトのご提示もしていただきました。

そして実施形態の書き方について、立花先生がX(旧Twitter)に投稿している内容の抜粋もご提示いただき、立花先生が日々どのようなことを考えているのか垣間見ることができました。


グループディスカッション・立花先生へのご質問

ご講演後は3グループに分かれてディスカッションを行い、ディスカッションで出た内容について、若手から立花先生へ質問をさせていただきました。その中から一部を抜粋して掲載させていただきます。

  • 変形例を作成するにあたり、サポート要件を充足するために気を付けていること

  • 各国に対して、どのように出願戦略を考えていくか(マルチマルチクレームの対応)

  • 先行文献に記載の従来技術を踏まえ、どのように出願したらよいのか

  • シンプルな発明及びクレームについて、どのように出願検討をしたらよいか

  • 読み手側として、解決手段のベストモードの見定め方はなにか


閉会挨拶

最後に立花先生から若手へのメッセージをいただきました。

『明細書を書くことはまだまだ道半ばかと思います。また、ルールも変わり続けています。明細書を書くには、勉強と覚悟が必要です。もし今日のことで疑問点があれば、どうぞメールでお知らせください。

加えて、行動範囲が狭いと考え方も狭まりがちです。事務所での活動は制限されるかもしれませんが、できるだけ外に出て新しい刺激を求めることが大切です。私も外部の人たちとの交流から刺激を受けた経験もあります。異なる人々と交流し、人脈を広げることをお勧めします。』


おわりに

立花先生、今回はお忙しい中知財若手の会でのご講演ありがとうございました。
今回のテーマは特許事務所だけでなく、企業知財部の若手からも、明細書の作成にあたりどのような意識を持ちながら作成/検討していくべきか、非常に有益な情報を得られたと思います。立花先生の明細書作成にあたるノウハウ的な部分まで詳細かつ丁寧にご説明いただき、非常に濃い時間となりました。

また是非ご講演や意見交換いただく機会を設けさせていただければ幸いです。


第12回 知財若手の会の予告

次回の知財若手の会について、11~12月頃にオフラインイベント(オフ会)を東京で開催予定です。詳細については別途connpassやX(Twitter)で告知いたしますので、ご期待ください。

今後とも知財若手の会をよろしくお願いいたします!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?