弁理士試験受験の秘話が面白かった件【キャリア座談会 特許業務法人IPX 奥村さん 石井さん】
【キャリア座談会とは】
知財業界におけるキャリアの話題を、カジュアルな座談会形式でお届けする動画シリーズです。
【メインパーソナリティ】
(株)知財塾 運営メンバー
上池睦 / サイボウズ(株) 知財担当
三島善太 / LEGAL JOB BOARD 知財専門キャリアアドバイザー
【ゲスト】
奥村光平 /特許業務法人IPX 代表弁理士 COO/CTO
石井綾/特許業務法人IPX アソシエイト弁理士
この記事は、2021年05月29日に動画配信した内容を元に作成しています。動画版はこちら↓
ゲストの紹介
三島:今日はゲストの方をお呼びしました。事務所で経営をしている奥村さんと、事務所での従業員の石井さんにお越しいただきました。今日はよろしくお願いいたします。それぞれお一人ずつ簡単に1分程度自己紹介をしていただきます。お名前、今やっていること、もし夢や野望などがあれば言っていただければと思います。
奥村:自己紹介ってこれまでのキャリアとかいうことが多いんですけれど、夢・野望ということでどうしようかな…と思っているんですが。
皆さんこんにちは。特許業務法人IPX代表 弁理士COO/CTOの奥村という者です。現在事務所を経営しているのですが元々のキャリアとしては、大手事務所にいたことも小さい事務所にいた時期もあって、主に明細書・権利化の業務の業務をメインに行ってきて、2018年の4月に事務所を立ち上げたというところです。野望・夢、どちらかと言うと私の共同経営者の方がそういう夢とか野望とかを持っているタイプの人間なんですが、私は堅実に今の事務所がうまく続けられたらいいんじゃないかくらいのことしか実は思っていないっていうあんまり面白くない人間だったりします。まあそうは言ってもなかなか事務所を安定して続けるって言う事はすごく難しいことなので、そこはしっかりやっていきたいなというのが本望です。以上です。
三島:ありがとうございます。続いて石井さんお願いします。
石井:石井と申します。今は弁理士として、奥村さんと同じ事務所で働いています。4月から働き始めたばかりで、奥村さんの部下として修行中の身です。夢とか野望は、知財業界をもっと盛り上げたい、いろんな人にもっと知ってもらいたい、活用してもらいたいと弁理士になった時から思っていて、小学校とか大学でもいいんですけれどそういうところでセミナーができたらいいなと思っています。
三島:はい。ありがとうございます。
石井さんのキャリアについて
三島:では早速テーマに移りたいと思います。まず石井さんのキャリアについてお話を聞いていきたいと思います。石井さんは学生時代の話とか、企業でお勤めだった時代もあると思うのでそこからの話と、特許事務所に入られた後の話とか今の話を深掘りできたらなと思います。石井さんは学生時代ってどういった人でしたか?
石井:私は今弁理士をしているわけですけど、大学は理系で化学系の専攻で大学と大学院に行ってました。当時弁理士になろうとは思っていなくて何かものづくりに関わりたいなという思いがあったくらいです。理系の研究開発の仕事に就きたいなと思ったので大学院を出たんですけれど、就職活動で化学系なので化学メーカーを受けるという単純な考えで就職先を選びまして、大手の化学メーカーに入りました。
三島:大学時代は全く弁理士とか知財については考えていなかったということですか。
石井:知財の授業はあったのですが取っていなかったですし、なんだか難しそうだなというか、研究テーマも企業と一緒に行ったり製品化や実用化が見えているテーマじゃなかったので特に関わりがなかったですね。
三島:理系の間では弁理士という話題は授業で出るんですか。
石井:知財は技術に関わるテーマではあるので授業はありましたけど、そのくらいでした。ちゃんとした研究室だったら特許戦略とか考えてたんですけれど、私がいたところはそこまで…でした。
三島:奥村さんは大学時代、弁理士を目指しているということはなかったのでしょうか。
奥村:全く目指してないですね。私は研究者になろうと思っていて、大学博士課程まで行ってその後アカデミックの世界で研究したいと当時は思っていたんです。弁理士という言葉は、学生時代の友人が弁理士になりたいって大学1年生の頃から言っていたので、なんだそれって調べてそんな資格があるんだって19歳くらいの時には知ってはいました。弁理士を目指してた友人は結局受からなくてメーカーの研究所に入ったんですけれど、その友人は研究職で大成して、研究者になりたいと言っていた私は弁理士になっている。
石井:面白い。
三島:そういう人は世の中に多いわけではないんですか。
奥村:研究職をやってました、という人は結構いるかなと思います。
弁理士を目指したきっかけ
三島 石井さんは化学メーカーでお勤めになられて何かきっかけがあって知財とか弁理士を目指すようになったんでしょうか。
石井:そうですね。本当に伝統的な大企業で働き始めて2年目くらいに漠然とした不安を抱き始めて。配属は自分の希望通りだったんですよ。お客さんに関わる仕事がしたいと思っていたのと、飽きっぽいので開発に行きたいっていうのがあって、製品化している授業の開発とお客さんの所に出る技術営業どちらもできるような部署に入れてもらえたので、希望はかなっていて一年目はめちゃくちゃ楽しかったんですよ。2年目くらいから、メーカーなので研究開発の部署で女性の管理職がとても少ないことと出張がすごく多くて、自分はこの後どうなっていくんだろうというキャリアに不安を抱き始めました。ちょうど2年目の時に部内の知財担当をやっていて、知財会議で知財部の人と結構話したりとか細々したこともやっていたので知財部って面白そうだなと言うのが一番最初のきっかけです。
三島:知財部に異動したいなというのもあったんですか。
石井:そうですね。知財部は女性が多いので本社ありだなとはそこで思いました。知財部っていうより、働きやすくて出世できる仕事したいなと思って。
三島:弁理士の勉強をしたのは会社になって何年目でしたか。
石井:3年目くらいです。そのときクレーム対応とかが重なったり、自分が売ろうとしている商品に自信が持てなくなったり、プライベートなことで恐縮ですが恋愛が全然うまくいかなくて。すごく束縛していくる男性と別れて土日がすごく暇になって、婚活とかしていたけど自分を磨いた方が良いのではと思って、難しい資格を探して弁理士の勉強を始めました。
三島:その束縛してくる男性と別れてなかったら弁理士受験してなかったかもしれないですね。
石井:ポジティブでいいですね。
三島:だいたい何年くらいで合格したんですか。
石井:3年くらいです。3年目の短答で受かって、論文も受かって合格しました。
三島:合格してすぐ知財業界に飛び込もうという流れになったんですか。
石井:そうですね。本当は知財部に異動できたら良かったんですけど、すぐに異動できなかったので、会社の外に出てみようかなと思って特許事務所に転職しました。
知財塾に出会ったきっかけ
三島:知財塾に出会ったのも転職をしたタイミングだったんですか。
石井:6年間メーカーで働いた後に特許事務所に転職して、その後数ヶ月に知財塾に出会いました。奥村さんとは弁理士の実務修習の祝賀会で実は一度お話していました。まさかこの方のもとで働くことになるとは。
三島:奥村さんはそのことを覚えているんですか。
奥村:この人会ったことあるなという風には思いましたよ。
三島:交流会で出会って、知っている状態で知財塾で出会って、という。
石井:そうですね。 Twitterもフォローしてましたし有名な弁理士だとは知っていたので、少人数でそんな方の授業が受けられるんだというのはびっくりしました。
三島:知財塾と出会いつつ奥村さんとも出会いつつ、新しい事務所に入られて修行されていたという感じですか。
石井:前の事務所はそこまで教育制度に力を入れているところではなくて、まずはやってみようという、知財塾で行っているような手順を教えてもらえるということではなかったです。「どこ行ったらいいんだろう」ととにかく情報収集をしていました。明細書の書き方とかクレームドラフトのやり方とかが世の中に存在して、それが本なりネットなりどこかにあるはずだろうと調べていて、同期の人に紹介してもらったのが知財塾を知るきっかけになりました。必死で情報を探してたっていうのは事実ですね。どうやったら明細書を書けるようになるんだろうということを調べてました。
知財業界の流動性について
三島:合格した後の発見とか出会ったこと、いろんなことが短い間隔であったような。
石井:そうですね。だいたい弁理士になってからの1年以内に起こっているので。
三島:周りの合格した時と比べても激しいと言うか。
石井:意外と話を聞くとみんな転職していたりとか、そういう業界なんだと思います。
三島:奥村さんから見てもそういう業界だと思いますか。
奥村:人の流動性はかなり高いんじゃないかなと思います。特に明細書を書くとかそういう仕事自体は他の事務所でも同じような事をしているので、ここよりも居心地の良さそうな事務所があれば転職しようという話はよく聞きますね。
三島:僕はいわゆる人材会社で働いていて転職3回目くらいなんですけど、それが一般的ではあるんですよね。特許事務所の転職も当たり前のような感じがするんですが、気にする事務所っていうのがなぜか多くて。
石井:私も前の事務所で言われました。転職回数が多いとあまり印象が良くないから貴重な1回を使わない方がいいとは言われました。
三島:奥村さんはどう思われますか。
奥村:短期にに転職が多い人はちょっと気になります。それは実際に体験してみて重要なファクターだなと思いました。
自由の考え方
三島:企業時代と前職の事務所時代と今と考え方とかってそれぞれ違うと思うんですけど、石井さん自身の考え方とかはいかがですか。
石井:そこはブレていない気がします。自由になりたいっていう思いで今まで来ました。資格を取りたいって思ったのも転勤とかいきなり言われるのやだなって思ったからで、マイペースなので自分の思ったような働き方がしたいなと言うか、自由になりたい一心でここまできました。今めちゃくちゃ自由です。
三島:ちなみにどういう自由が今あるんですか。
石井:会社員の時は何々会社の石井ですっていう形になるじゃないですか。私が持っている自由っていうのは、一人の人間として何か自立したりとか自分の名前で仕事がしたいと言うか、技術営業も自分に信頼が蓄積していって行くんですけど、やっぱり最初の入り方って何々会社の…という大企業の看板がついているから信用してもらえるでもあるので、看板がない状態で社会人として自立したいっていう思いはありましたね。自由と自立性かな。
資格をとって自分一人の人間として活動できてるっていうのは今達成できているし、最近は事務所でお客さんを取ってくることも別に禁じられてないので相談を受けた案件に対して何か自分がアドバイスできたりとか今の所属しているIPXでお仕事を受けることができたできるようになったのも嬉しいです。
三島:入社したのって4月ですか。
石井:そうですね。
奥村:4月に入社して、お客さんを結構連れて来たりして、そのお客さんと顧問契約しますって言っていてびっくりしました。
三島:すごい。
上池:それってインセンティブあるんですか。
奥村:ありますね。
三島:4月に入社してまだ1か月ちょっとですよね。
石井:すごい感じに聞こえてますけど、何件かその方が依頼してくださったっていう。
三島:入所してすぐこういったいち弁理士として活動できるのはいいですね。
石井:そうですね。私が弁理士になった目的のひとつの、こうなりたいっていうのは叶えられたのかなっていう感じです。まだまだこれからですけどね。
三島:弁理士資格をとってどのくらいですか。
石井:まだ1年くらいです。
三島:キャリア的に順調ですか。
石井:その数ヶ月ですごく激動だったので…今は楽しいですけど。
三島:周りの合格者で悩んでいる人はいますか。
石井:教えてもらえないっていう話はよく聞きます。
三島:キャリアアドバイザー的にも教えてもらえないっていう話はよく聞くんですよ。そういう業界の傾向は変えていきたいと思いますよね。石井さんから一言だけ同期に向けてお願いします。
転職を考えている方へひとこと
石井:転職を考えている方へ。企業だと上司がころころ変わるのは当たり前なんですけど、事務所にいると全く変わらないので転職先の上司を見定めた方が良いです。どういった方が私の直属についてくださいますか、できれば直接お話したいですって言った方がいいというのは同期の方からも聞いています。
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