プロテインの特許

これは、『知財系 もっとAdvent Calendar 2022』の参加記事です。

「知財系 Advent Calendar 2022」も合わせてどうぞ。

どーも、ばーです
toreru mediaさんのイベントの記事を昇華させます😂

個人的な見解も入ってますし、間違ってるところもあるかもしれませんが、ご了承を!

自己紹介

私は特許事務所で化学系の弁理士として、日々セコセコ働いてます。

そして、趣味で毎日のように筋トレをやっていて、もはやどっちが本業かわかんなくなってます←

なんなら、ボディメイクの大会なんかに出たりなんかしちゃったりして、腹筋とかバキバキにしちゃったりしてる感じですねw

プロテインの特許

皆さん、筋トレと言われて、何を思いつきますか?

そうだね、プロテインだね!
無理矢理感…w

いや、でもね、聞いて!
私(トレーニー)の生活は、本当にプロテインから始まり、プロテインで終わるのですよ。

起きる→プロテイン→……仕事などなど、省略→筋トレ→プロテイン→寝る
毎日この繰り返し。

これだけトレーニーの生活には、プロテインが密接に関連してるわけだよ!単一性だよ!
(ちょいちょい知財ネタを挿むスタイル)
ということで、プロテインの特許について書いてみようと思います。

とはいったものの、読者のみなさん、プロテインって何かわかりますか?
プロテインは、proteinという英語で、単にタンパク質って意味ですね。
トレーニーがよく言う「プロテイン飲まなきゃ」っていうのは、
正式に言うと、「プロテインパウダー、タンパク質の粉を水に溶いて摂取しなきゃ」
という意味で言っています。

あと、プロテインには、いろいろ種類があって、主にはプロテインの原料で分類されてます。
プロテインの原料で、多いのは、ホエイ、カゼイン、ソイかなと思います。
ホエイ、カゼインは牛乳などの乳タンパクで、ソイは大豆タンパクですね。
あと、これ以外にも、エッグ、ビーフ、ライスなどいろいろな種類があります。

よし、プロテインの説明もしたので、ここから特許について書きます

上記で、プロテインはプロテインパウダーのことだよーって書きましたが、これもちょっと変わってきてるんだ!
(言ってることが意味不明)

どういうことかわからんね、私もわからんですw
みなさん、コンビニとか見たら、最近良く見かけません?

「ザバスミルクプロテイン」

これよ、これこれ。
プロテインパウダーじゃなくて、液状プロテイン。
今まで、こんな商品なかったよね。

理由としては、
①大して筋トレが流行ってなかったから、不要だった
②単純に技術的に難しかったから、作れなかった

こんなところでしょうか。
②であれば、新技術の匂いがプンプンしますね?
しますね?
するんですよ!

ってことで、ザバスミルクプロテインの特許を調べてみました!
これは明治さんのホームページに載ってるので簡単に見つかりましたね。

ザバスミルクプロテインの特許

「酸性乳飲料及びその製造方法」
明治さんです。

課題としては、
・酸性乳飲料における、タンパク質粒子の分離、沈殿の抑制
・酸性乳飲料における、低粘度での安定化、再分散性の向上、飲み口の改善

??

これは、ザバスミルクプロテインの特許なのか…
と思った方!

私も同じこと思いましたw

まぁホームページに載っているものなので、間違いはないので、詳しく内容を見てみましょうか。

ザバスミルクプロテインの特許では、請求項1で、タンパク質の配合割合を入れず、様々な乳酸性飲料に適用できるようです。

請求項3で、乳タンパク質の配合割合を規定して、高濃度の乳タンパク質の乳酸性飲料に適用していますね。

また、明細書を見ると、この乳タンパク質のメインはカゼインのようです。(カゼインだったんだ、このプロテイン…ミルク(乳)プロテインって記載だから、てっきりホエイだと…)

なんでこんなこと言ってるかって、トレーニー的に、これかなり気になるところなんだよ!

ホエイとカゼインは、上記したように、どっちも乳タンパク質なんですよね。
ただ、吸収スピードに違いがあって、
ホエイ:吸収速度早い
カゼイン:吸収速度遅い
って感じです。

それだけなら、どっちでもいいじゃんって思いますよね、普通はそうです。
ただ、筋トレしてると、筋トレの最大効率で得たいって思うんですよ!
そういった面で考えると、筋トレ後すぐは、ホエイがいいの。
なぜなら、筋トレ後は、筋肉がとても、とってもプロテインという名の栄養を欲しているの。

つまり!
すぐに!吸収される!ホエイがいいの!
(ただこれも、いろいろな説が言われています。例えば、ホエイプロテインでも吸収、つまり、血中のアミノ酸濃度が最大になるのは、飲んでから、約30~60分くらいかかります。なので、トレーニング後に飲んでいたのでは遅い、トレーニング前に飲むが良いなどです。)

そして、カゼインはいつ飲むのってなると、寝る前とかで、寝てる間のタンパク質不足を解消するの。
ゆっくり吸収されるから、これがベストなの!
(だいたい6時間程度で吸収されます。これは特に異論はないはず。)

そして、ザバスミルクプロテインよ!
これまさかの、カゼイン!

コンビニで手軽に買える、プロテイン忘れたときに使えると考えていた、つまりは、すぐ吸収されるホエイを想像していたのに…
これには、全トレーニー(主に私)が泣いたよ!

(明細書を読むと、カゼインのみではなく、ホエイも入っているようです。あくまでも、メインのタンパク質がカゼイン。)

ザバスミルクプロテインの原料表示としても、「乳たんぱく」って書いてるのよね…だから、ホエイかカゼインかはわからないんだよ…

ただ、よくよく明細書を読むと、ザバスミルクプロテインは、吸収スピード、つまり血中アミノ酸濃度の上がるスピードについて、訳が違うようです。

図面に出てくるグラフを見てみると、ザバスミルクプロテインと、牛乳と、脱脂粉乳との経時的な血中アミノ酸濃度の変化が記載されています。

これを見てみると、ザバスミルクプロテインを飲んでから、30分ほどで、血中アミノ酸濃度が上がっています。

つまり、30分で吸収されているようです。
すごい、すごいぞ、ザバスミルクプロテイン!

ホエイも入ってるので、30分で血中アミノ酸濃度が上がっているのは、ホエイによるものかもしれませんが、牛乳もホエイ入ってるはずだし、やっぱり吸収性を高める技術なんだと思います。

ここにホエイプロテインパウダーを載せてほしかった、というのが個人的な本音ですが…チクチク

やっぱり、ザバスミルクプロテインに書いてある、「速攻吸収」には嘘偽りはなく、素晴らしい商品のようです。
このような良質なプロテインが、コンビニで気軽に購入でき、さらに、美味しい!
ただ、こうゆう細かい情報って、ホームページ載ってないんですよね。
そう考えると、特許って、すごいなぁって思ったりするわけです。

もうちょっとだけ、特許の中身について見てみます!
上記したように、明治さんのザバスミルクプロテインの特許では
・酸性乳飲料における、無脂乳固形分の分離、沈殿の抑制
・酸性乳飲料における、無脂乳固形分の低粘度での安定化、再分散性の向上、飲み口の改善
という課題(吸収スピードは課題ではないですね)を解決するために、

添加剤として
・HMペクチン
・大豆多糖類
・不溶性セルロース
の3種類を使用するようです。
これらを所定の配合割合で入れているようです。

この3つの添加剤は、先行技術にも出てきているものなので、公知技術の組み合わせですね。
ただこの特許は課題の新規性で、進歩性を肯定しているようです。
(ちょっと自信ないです、すいません)

この課題が発生する前提として、高濃度の乳タンパク質含有飲料(乳タンパク質以外にも使えますが、ターゲットはこれ)であることのようですね。

ストーリーとしては
「高濃度の乳タンパク質を含有させる場合に、酸性時の沈殿の抑制のために、多量の安定化剤が必要となり、粘度が上がり、飲み口が悪化する」
つまり、沈殿抑制と低粘度の両立。

このストーリーの課題を解決するために、上記添加剤を適切な組成に調整したという感じでしょうかね。
明細書にも、先行技術の特許文献1および2は乳タンパク質濃度が低いものを対象としており〜って書いていますね。
(請求項1に、あえてタンパク質含有割合を入れてないのは、他の材料にも使う予定があるのか、それとも何かしらの戦略か…)

また、単純なタンパク質(というより栄養全般)の高濃度食品(ゼリーやドロドロした飲み物)というのは、医療業界では元々あったものですね。
高齢者で、ご飯が十分に食べられない人や、消化器系に異常があって、十分に栄養が吸収できない人のための、栄養豊富な飲料、ゼリーなどは聞いたことがあります。

ただ、これは高濃度なので、飲料では粘度が高く、美味しくない(飲み口が悪い)。
これは特に先行技術としては挙げられていませんが…

詳細は、わからない部分もありますが、やはり、コンビニに急に出てきた、液状プロテイン、技術が輝いてますね…!
いやー、特許ってすげぇw

まとめ

トレーニング業界に彗星の如く現れた液体のプロテインの技術は、やはり特許化されていましたね。

せっかくなんで、これからもnoteで筋トレ関連知財について、書いてみようかなぁとも考えてます。

今回は良い機会になりました!

では、あでゅー

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