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千由家、家を買う(2)

【千由家、家を買う(1)】に引き続き、展示場へ出かけた話。

某日、昨日見たハウスメーカーと同じ展示場にある、B社の物件へ。昨日と同じで、そんなに来場者なく担当に捕まってしまう。B社の担当は、28歳の男性。実は昨日、A社を訪ねる前に、夫と担当者のことについて話していた。

あんまり若い子だと経験ないし、年行き過ぎても圧が強そうだし、だいたい30代後半から50歳までぐらいがいいねと意見は一致していた。

B社の担当は28歳。大丈夫かなという一抹の不安をもとに話を聞き始める。

ん?
いいぞ、押し付けがましくないし、かといって、頼りなさげでもない。落ちついているし、なかなか的確なアドバイスをくれる。まず、大きく違うのは、その態度から出る若さ特有の穢れなさ。A社の担当が、穢れているということではないが、おじさん特有の狡猾さみたいなものがある。B社の担当には、それがない。そういえば、頼り甲斐あると思ったA社の担当は、圧が強く、不服があっても少し言いづらそうで、この先家が建つまでチームとしてやっていくには、辛くなるかもしれない。文句を言わせないっていう姿勢があったなと思った。

何、この揺れ動く心。昨日は、個人情報を教えるぐらい、イけてるなと思った相手に、真逆の感想を抱く自分が怖い。何も信用できないと思っていたのに、自分が一番信用ならなかった。

B社の本体価格は、A社の7割ぐらい。確かに細部を比べると少しちゃちい。A社は鉄骨なのだが、B社は木造。A社は鉄骨なので、制振だが、B社は耐震。同じレベル3(耐震においてレベル3が一番上)でも、揺れを制するのは、A社に軍配が上がる。

担当だけを比べると、B社の方がいいような気がして、帰りの車の中で夫に言った。すると夫が

「昨日、あまり若いのはどうなん?って言ってなかった?」

い、痛いとこついてくるぜ。普段こちらが言った事の、10%も覚えてないクセして、こんなときは詳細に覚えてやがる。

「確かに、柔軟性という意味では、今日の担当の方がイケてるように思うけど、何か物事を決める時、自分では決められなくて、上司に相談しますってプロセスが毎回入ってくるんじゃないの?」

むむむ。確信ついてくるじゃねーか。確かにそれは、その通りだと思った。

はぁー、難しい、難しすぎる。これは、各社回るごとに、同じようになるのではないか。見ればみるほど、迷子になる予感しかない。けれど、何も見ずに、君に決めた!とか言うわけにもいかない。

そして、A社でもB社でも言われた事は、まずは土地をという事だった。そりゃそうだわな。家に帰ってから、知り合いの不動産屋と、地元の不動産屋に電話した。

むはーっ、ストレスぅー。
コロナ禍以来、人を避けまくっていたので、今、多数の人間がわぁーっと押し寄せてきて、まるで、ノーマスクになったとたん、色々なウィルスにやられる人類のような立ち位置に立たされてるぅー。それに、ハウスメーカーも不動産屋も、獲物を狙うハイエナぐらいの勢いがある。負けないぞと思うほど、ストレスぅー。

もう賃貸でもよくない?という思いが、チラチラと頭をよぎる。

持ち家の人凄いな!
尊敬する!

とか、言ってる場合じゃない。
お次は、不動産屋とのミーティングが待っている。彼らは一円でも高い物を売りたいし、こちらは一円でも安く買いたい。戦いのゴングが、カーンと脳内にこだました。


※イラストお借りしましたemsan_mindさん、ありがとうございます。

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