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来る

ここ数年、日本映画界は空前のアニメ実写ブーム。特にCGを駆使した非現実的な能力を用いた"SFアクション"はここ最近になって増えました。
ハリウッドに比べればその差は一目瞭然ですが、この映画だけは違った。ハリウッドと互角に渡り合える"SFアクションホラー映画"だと僕は感じました。
ちょーーーーー面白かったんです。

正直、ホラー映画としてはそこまでなんです。
確かにじめっとした嫌~な気持ちになったりもします。
でも、そのタイミングでロックなBGMが流れて、そのメロディにのって恐怖は飛んでいきます。ホラー映画にはおよそ似つかわしくないそのBGMはちょっとだけ僕の心を刺激し、「この映画ヤベー」と。


ホラー映画らしくない要素がもう1つ。妻夫木聡さん演じる秀樹がどうしようもない人間なんです。しかも1番面倒な"悪意が無い"タイプの。
そんな秀樹のクソ加減を序盤でジリジリと見せつけるもんだから映画に対する恐怖よりも秀樹に対するイライラの方が上回ります。余裕で。

ホラー映画として、良い点を上げるとしたら、黒木華さんの表情でしょうか。霊にただ振り回された秀樹とは違い、霊に徐々に侵食されていく役を、黒木華さんは「得体の知れないナニカ」という恐怖を感じさせてくれます。
この、「得体の知れないナニカ」に対する恐怖ってジャパニーズホラーの強みだと思います。これって場所や状況を問わずに怖いんですよ。太陽燦々、真夏の晴れた日の朝でも全然怖かったりする。
もっとも黒木華さんのそんな恐怖も垣間見れるシーン、笑顔で玄関に立ち見送るシーンは超超最高でした。マジあのシーンの黒木華さん怖かった、、、

とはいえ、ホラー映画として傑作とは言えない『来る』ですが、
最初に書いた様に"SFアクション"として本当に素晴らしいんです。

ジャパニーズホラーだとデフォルトで頼りない霊媒師が本作はめっちゃくちゃ頼もしい。日本で最も強い(?)霊媒師。
だから、「得体の知れないナニカ」に対しても対等にやりあえるのではないかという気持ちにさせてくれます。

そして、他の日本の霊媒師達も負けず劣らず格好いいし頼もしい。
自分の命が危険に晒される事を恐れなず、かと言って自分の命を粗末にしているわけではなんです。
そんな人たちが自分の国を守ってくれているとしたらどんだけ心強い事でしょう。
しかも彼らは、地方のおばちゃん達であり、JKであり、タレント霊媒師と来たもんだし、そもそもこんなに沢山の霊媒師が結託しての決戦のシーン。もちろんド派手。もう楽しくないはずがない。やりずきでマジで最高過ぎるんです。

冒頭で書いたとおり、近年、SFアクション漫画が相次いで実写化されている日本映画界。そのクオリティは決して高いとは言えません。正直、今の日本映画ではそういうド派手なアクションシーンは期待できないと思っています。
でも、今作はそんな日本映画界のアクションシーンに希望をもたらしてくれるそんな作品であった様に思えました。


日本映画のアクションシーンは『HIGH&LAW』か『来る』を見てくれと胸を張って言えるくらいに派手で狂ってる。