【読書感想】世界一あたたかい人生相談

図書館で本を探している時、料理研究家の枝元なほみさんの本を、料理の棚ではないところで見つけて、手に取った。3分クッキングなどで時々見ていたけど、私は枝元なほみさんと、その愛情いっぱいの料理が大好き❤️

枝元なほみさんの雰囲気って、私が10歳の頃から持ってるポプリの本の先生に近いものを感じる。

悩み相談の本で、回答するのは「ビッグイシュー」という雑誌の、ホームレス販売員と、なほみさん。
ビッグイシューは、ホームレスの人たちの自立支援のための雑誌で、ホームレスの人だけが、これを販売することができるらしい。

その中で、この記事が特にとても心に残って、嬉しくなった！

相談者（34歳　女性　派遣社員）
「理想とは違う、平凡な人生を歩む自分にジレンマ‥」

親の期待に応えようと、資格取得を目指して高額な教材を購入しました。一時は励んでいましたが、出産と育児で放置。売却しても安く買い叩かれそうだと、迷っているうちに時間だけが過ぎてしまいました。平凡すぎる毎日を過ごす自分に、ジレンマを感じています。理想と現実、どうやって埋めていったらいいでしょうか？

✳︎ビッグイシュー販売員からの回答　一部抜粋

「母親が俺と向き合ってしつけてくれた時間があったから、背中を見ながら大きくなれたと思ってる。母親はね、叩いて育てると叩く子供になってしまうからと、いたずらばかりしてでかす俺に、決して手をあげなかった。だからかなぁ、路上生活はトラブルがつきものだけど、うまく切り抜けてる。
正直言うと、学校から誰もいないがらんとした家に帰るのは、なんとも寂しかったね。俺としては、10年とは言わない、5年でもいいから、子育てに集中して欲しいな。その間は、教材は目に入ってストレスにならないように、押入れに入れるか、思い切って捨てて、背負い込んだ荷物を軽くしたらいかがでしょうか。
人生って、上を見たらキリがないし、これまた下を見てもキリがない。俺はホームレスだけど、自分のことを不幸じゃないと思ってる。今後、理想に向かって、前に進みたいと言うお母さんを誰も止めることはできない。ただ、その時に子供を置いてけぼりにしなかったら、いいんじゃないかな。」

✳︎枝元なほみさんからの回答　悩みに効く料理

「30品目惣菜（野菜や豆の炒め煮）」
理想に燃えている状態って、挫折しやすいと思う。どんなことにも現実はあって、その理想と現実のギャップにみんなまいっちゃう。やっぱり足元の現実のちょっと先を見て解決方法を考えることで、人は進んでいくんじゃないかと思うんです。一日30品目が理想といわれていたのを思い出し、どんどん入れてみたら、実は美味しくできませんでした。ここで使った材料の中から、３種類（せいぜい５種類）を選んでお作りになることをお勧めします。

ああ、本当にその通りだなあと思った。
理想は大事だけど、それにはやって本当に大事なことを見失ってないか。

販売員さんの、実感のこもった優しい回答と、なほみさんの機転の良さ。
「その時に子どもを置いてけぼりにしなかったら」「足元の現実のちょっと先」‥何度も深く頷いた。

説得力のある販売員さんの回答と、時に笑ってしまうようなユーモア料理、見ているだけでも幸せになるなほみさんの美味しいお料理の写真とレシピ‥ああ、この本読めて良かった、と幸せになる一冊❤️