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【映画感想】お前が悪い。

そもそも人を殺すなって話。

昨日、映画『告白 コンフェッション』を見たので感想です。
ネタバレありです。注意。
ネタバレ食らいたくない人はあらすじとさいごにだけ読んでさよなら。

あらすじ

お久しぶり、生田斗真くんと思いながら見ました。本当に久しぶりにCM以外で会ったね映画でした、個人的に。

感想

予告だけ見ると結構コメディに寄っていそうな印象を受け、映画中盤コメディかなと思い(込み)、ラストに裏切られる、といった印象。
ちゃんと怖いんですけど、ジヨンが階段から落ちて首が折れ、それを無理やりに治す(?!)シーンで、なるほど、この映画はコメディだなと思いました。ちゃんとサスペンスホラーでした。悲しい。

ラスト10分、これは許せないオチでは、と思う。ラスト数秒、酷いオチだと思う、もちろんいい意味で。

以下完全にオチに触れて行くので最後の勧告、ネタバレありですからね。
見たい人はネタバレ見ないでほしい、本当に。

人物像について

そもそも論、ジヨンって自分を犠牲にして浅井を助けようとしているところから始まっています。いいやつなんですよ、こいつ。
人殺しはいただけませんが、基本いいやつなんですよ。
そんな男が確かにあそこまで暴れるのは違和感がありつつ、でも友人に人殺しを告白してしまった後だし…と思わないでもない。
つまり観客としては異様な状況を受け入れてしまうんですよ。徐々に危うくなっていくので、受け入れやすくさせられるわけです。
つまり浅井が完全に被害者ということ。

しかし、さゆりと同様浅井も首を絞められてうまう、まさにその時ある記憶が浅井の中から思い出されます。
浅井がさゆりのトドメを刺したのです。
少し前から浅井のクソ男感は出ていましたが、まさかこれまでとは。

ジヨンは言います。「告白しろ」
浅井の最大の告白が人殺しという、まさかジヨンと同じ。
怖いの極み。

結論から言ってしまえば、この話夢オチだったわけで。
つまり、ジヨンの人格は浅井による「罪の告白をした人はこうなる」像の拡大解釈なわけで、ジヨンによる「俺を許すお前が許せない(意訳の可能性あり)」という台詞も「お前を許す俺はいいやつで、いいやつすぎて逆に狙われる」という自意識過剰な部分の現れというわけです。
前述した浅井のクソ男エピソードの「さゆりと付き合っていて妊娠までさせた上で、さゆりが産むと言った途端に逃げた」とジヨン責められているということは、罪悪感を浅井自身感じているとも解釈できそう。
そして、最後まで最大の罪を言わず逃げ続けていたということは、浅井自身その罪から目を背け、もしかしたら忘れていたのかもしれないとすら思えます。
ジヨンの告白が記憶を呼び起こすトリガーとなり、夢の中でそれらが開放されたという、災難な男ということです。
告白することで荷が降りたジヨンは、浅井が夢から覚めると自首すると言いました。
一方、告白されたことで罪が思い起こされた浅井。皮肉な対比構造です。「荷」がジヨンから浅井に渡されてしまいました。

ジヨンの口から放たれる言葉はすべて浅井の内在する罪の意識によるものだと思いました。
「俺(ジヨン)を見下していた」「さゆりを捨てた」「逃げている」「告白しろ」

「逃げる」の真意

夢の中では「逃げる」浅井と追いかけるジヨン、妊娠という事実から「逃げ」さゆりを殺したという事実を記憶の奥底に封印することで真実から「逃げた」浅井。

ひたすらに「逃げる」を強調していました。

しかし、現実の殺人ではどうだったのでしょう。
殺した後で遺体から「逃げた」ジヨンと殺人を見た上でまだ生きていたさゆりを殺した浅井。

救助隊が小屋に着くと中が荒らさていました。
夢の中では逃げていた浅井でしたが、現実では逃げ惑うのはジヨンの方だと考えると面白くないですか。
夢と現実の逆転が起き、夢の中では首を絞めて浅井を殺すジヨン、現実ではクギ(?)を刺してジヨンを殺す浅井。

ヒ、怖。

さいごに

クローズな空間に自分は人殺しだと告白した男とその友人。
コメディになりそうなものを上手くホラーへと消化できていた面白い内容でした。
先が予想できず、演出がちゃんと怖いホラーです。ホラーでいいのでは。ホラーでしたっけ、ジャンル。

山下監督といえば最近話題になっていた『カラオケ行こ!』で知っていましたが、温度差温度差。
こんなのも撮れる監督さんなんですね、恐ろしい。

面白い映画だったのでおすすめですが、まあほぼホラーなので心臓が弱い人は見ないでくださいね。
想像の斜め上な内容でした。

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