見出し画像

【映画読書感想】名作について語る

わざわざ私が語るまでもない名作中の名作『ショーシャンクの空に』の感想を書き留めてみようかなと言う気持ちで文字を打っています。
映画は観ても原作小説であるスティーブン・キングの「刑務所のリタ・ヘイワース」を読んだことがある人は少ないのでは?とも思っているので、そちらの感想も並行して書いとこ、という感じです。
どうぞ、よろしく。もちろんネタバレありですからね。


では、早速感想の方に入ります。お恥ずかしい話私この映画を知ったのが昨年のことで、さらに恥ずかしいことにこの映画を見たのは今年の2月のことです。
映画自体好きではあったものの、中々見る機会に恵まれなかったとでも言いましょうか。
まあ、やっとのことで『ショーシャンクの空に』を見たわけですけど、結果として私の映画趣味の火付け役となったわけです。

映画ってなんて面白いのだろう。

エンディングがとても綺麗で、清々しい気持ちになりました。
青い海が広がる心地よさそうな場所で2人は抱擁して終わりを迎える。
なんて完璧なラストなのだろう、と見て思いました。

ちなみに、小説の方のラストはまだレッドはアンディに会えていません。
「会えるといい」
映画とは違った余韻を楽しめます。

映画、小説どちらもレッドの視線でストーリーが進んでいきます。
語りがレッドなので、アンディの素晴らしい人格になんだかスポットライトが当たっているような感じです。
特にそれは小説版に顕著で、レッドはアンディのことを大好きになっています。もはや崇拝のような感情すらあるのです。
それがしっかり語られているわけです。
映画のほうでもレッドがアンディを気に入っているとしっかり語られます。
アンディいいやつ。

人物設定は小説版と映画版でかなり異なっていますね。
小説だとレッドはそもそも肌は黒くないですし、もっと若い。アンディは小柄と評されています。(ロビン・ウィリアムズは190cmの大男)

でもそういったことから映画版への変更により友情度が高くなりましたね。
同人種で同年代の男2人は何だかアヤシイ雰囲気を纏いそう。そんなことを書いている論文があったような。

ありました。
刑務所という舞台がどうしてもホモソーシャルな空間となるので、純粋な友情もそれだけではない何かが見え隠れするというのは興味深いですね。

もちろん、この映画はラストが好きというのももちろんありますが、ラストで感動するには映画内でのプロセスが大切なわけで、レッドとの友情はもちろんなこと、あのクソ(本当にクソ)所長に対してのアンディの返しは爽快ですね。
ただ、所長のラストは苛立ちました。逃げるな!


順序がまちまちですが(小説版みたいに)、好きなシーンとして上げられるのはやはりビールですね。
アンディのなんとも言えない喜びのような情景のような表情が大好きです。
ここからアンディの状況が好転していくわけですが、レッドたちとの友情がより親密になるきっかけでもあるので、ベストシーンのひとつですよね。

NetflixJapanいいことするじゃん。
暑そうだけど、なんだか穏やかな休日のような空気感に見てるこちらもホッとため息をつきたくなっちゃいます。


……アンディ器用話する?
あのチェスの駒普通に凄いですよね。
ここは映画オリジナルになっていて、レッドへのプレゼントの印象が小説より強く残るようになってますし、さらにそれを手放さず、しっかりレッドへ渡せているので、よほど強い絆(というより人生のパートナー感、恋愛感情云々ではなく)がありますよね。
正直この2人の関係を同性愛だ、とまでは思いませんが、お互いに少しずつ寄りかかっているような関係性で、大切に思っているんだろうなというのが本当に伝わりますね。

特に最後、レッドはアンディを希望に生きようとします。
小説版だとより顕著な感じがします。
レッドにとってアンディは希望そのもの。
一方、一人でしっかり立てているようなアンディもどこかしらレッドに対して特別な感情を抱いています。
どうしてもレッド視点の物語なので、中々アンディの考えを推量ることは難しいですが、それでも手紙を彼に残し、自分と共に生きていくように、ある種のプロポーズのようなことを持ちかけます。
アンディにとってレッドはどういった存在だったのでしょうか。

アンディが初めてレッドに接触をしたのは調達屋への依頼、つまりロックハンマーを得るためでしたね。趣味の続行で自分を保とうとしていたわけです。
ロックハンマーは趣味のため以外にひとつの希望への手段となり、その希望を隠すためにリタ・ヘイワースのポスターをレッドから得ます。
このとき小説版ではモジモジしていたらしいですが、アンディ、可愛いとこもありますね。
映画版は結構堂々としていた印象。こういった細かい違いを見るのも面白い。
映画だと一層自信に満ち溢れたアンディが強調されているように思います。

少し脱線してしまいましたが、要するにアンディにとってレッドは希望そのものではなく、希望を得るための手段的、言い換えれば青い鳥のような存在だったのではないでしょうか。
そんな彼だから助手として図書館に呼び、シャバへ出た後も調達屋として協力してほしいと頼んだわけです。
そう思うと何でも調達するレッドは希望を調達したということですが、なんだかロマンチック。

細かい部分なんだけど、映画後半、囚人たちがアンディみたいな服の着方(ズボンにしっかりシャツを入れる等)になっていたのはすごくいいですよね。
アンディの影響力が伺えます。

ここまで名作、『ショーシャンクの空に』を私なりに語りましたが、まだまだ名シーンはたくさんあります。
誰が見てもきっと楽しめる、そんな映画ですし、その映画の原作たるや、スティーブン・キングによる小説もとても楽しめるので、映画だけでなく小説も読んで2度楽しい体験ができます。
是非、読んでほしい。
映画とはまたちょっと違ったアプローチですので、新鮮な物語が読めるんじゃないかなと思います。

*スティーブン・キング 浅倉久志訳「刑務所のリタ・ヘイワース」『恐怖の四季:春夏編』新潮文庫

↑こちらで読みました。1番オーソドックスかしら。
どうでもいいけど、個人的に新潮文庫さんが好きなので読書を始める方は是非利用していただきたい。
比較的安く買えますし、名作が揃っています。

ちなみに『恐怖の四季:秋冬編』は「スタンド・バイ・ミー」が収録されているわけですが、みなさんそちらは読まれましたか?

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,937件

#映画感想文

67,494件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?