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41.外国人児童への日本語教育<JSLカリキュラム>

日本語を母語としない児童は年々増えており、多様化している。そのため、教育現場では、教科学習へつながる学習言語能力をいかに向上させるかが鍵となり、日本語指導と教科指導を総合的にとらえたJSLカリキュラムの開発が進められている。

ミャンマーで日本語教育に携わったこと、現在公立中学校における外国人児童に対する日本語教育に取り組んでいること…から、JSLカリキュラムに興味があり、今回は概要と特徴4点をまとめた。

JSLカリキュラムとは

Japanese as a Second Languageカリキュラム
学習活動に参加するための力の育成を目指したもの
体験を重視し、具体物に触れながら学習を進める
日本語指導と教科指導を並行して進める
従来の日本語指導は、教科指導と切り離されて行われており、学習活動に参加する力の育成は不十分だった。

JSLカリキュラムには2種類あり…

■ トピック型
・日本語を使って、特定のトピックを探求する
共同的な学習活動
・体験の具体化、探求の体系化、成果の発信
■ 教科志向型
・各教科における学ぶ力の育成を目指す
・教科の学習と密接に関連

以下、JSLカリキュラムの特徴4点をまとめた。

個々人に合わせたカリキュラム作りを

日本語を母語としない子どもたちは、生育背景・学習歴・日本語力・認知発達などによって多様化しており、画一的なカリキュラムでは対応しきれない。そこで、子どもたち一人ひとりの実態に応じたカリキュラム作りが必要である。

しかし、一人ひとりに合わせたカリキュラム作りには、指導者の負担を強いるため、誰でも利用できる実践事例、教材やワークシートなどに関する情報提供をサポートする仕組みづくりが進められている

具体的・直接的な学びを

教科の学習は、抽象的で概念的な学習が中心であるため、日常会話は問題なくとも、日本語読解力が十分でない生徒にとって、問題の意味を理解することそのものが難しい。
そして、語彙や辞書的な言葉理解に集中力が持っていかれると、教科の学習理解を深める余裕が無くなってしまうのである。

そこで、教科学習と言語理解の橋渡しとして、可能な限り具体物や直接体験を通した学習が並行して行うことで、より早く、教室の学習活動への参加が可能になる。

発信することで"なんとなく"から"はっきり"へ

インプットだけでは、曖昧な理解で終わってしまうことが多い。
はっきりとした理解を深めるには、子どもたちの体験を日本語で表現し、他者に向けて発信することが重要である。

そのためには、日本語による他の子どもたちとのやりとりの場を保障し、自分が理解したことを日本語で産出する力をつけさせていくことが鍵となる。

日本語表現のバリエーションを増やす

上記の通り、自らの考えや体験を日本語を使って発信することで、教科学習・日本語学習両方の理解が深まる

そのためには、典型的な日本語表現だけでなく、子どもたちが理解しやすく、使いやすい日本語表現を引き出しとして増やしておくことが大切である。

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また、私自身、日本語教育について調べたり、勉強することで気づかされることも多い。
これまで私は言語は好きなものの、全く体系立てて勉強してこなかった。言葉を使って様々な人とコミュニケーションをとること、教えること…が好きだったこと、生活の中で「なんとなく」身に付けたことが多かったためだ。

しかし、体系立てて学んでこなかったため、
<言語習得>ムラがある・効率が良いとは言い難い
<言語教育>再現性が薄い
など、問題が多かった。

そこで、いつかは言語教育について、全体像を体系的に知る必要がある、と常日頃から感じていた。

自分のためにすることには腰の重い私だが、
誰かのためにやらなくては!という時には一気にフットワークが軽くなり、学習意欲も増す。

ということで、今回の機会は私にとっても本当に良い機会。

せっかくなので、学んだものをしっかりと実践に移せるよう、日々試行錯誤しながら進んでいきたい。





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