[コラム] ゼロから始める作詞のヒント
これから歌詞を書いてみよう! と言う人はいるだろうか?
今日は、そんな人に向けて、ちょっとしたヒント的な事を書いてみようと思う。
というのも、物語を読んで歌詞を書くという面白い企画があるからだ。
※詳しくはこの記事の最下部に。
これに私も参加してみようと思うのだけど、もしかしたら、歌詞書いた事ないけどやってみたい!という人がいるかも、と思ったのだ。
そんな人のちょっとでも役に立てたらいいな。
詩的表現編はこちら
◎どんな歌詞を書くか
まずは、そこだよね。
歌詞を書くとなっても、書きたいことがなければ書けない。
自分の中に渦巻く感情を書くのでもいい。
そうじゃない場合、私はよく物語を題材にして歌を作ったりしている。
そうすることで、自分の範囲から離れた世界観を作ることが可能なのだ。
本当の自分を書きたくない場合は、架空の人物の感情を代弁してみたりもいいのではないだろうか。
あとは、美しい情景を歌にしたり、好きな絵や写真をテーマにしたり、そんなふうに歌詞の材料はいたるところで見つけることができる。
まずはぐるっと見回してみよう!
◎曲が先か歌詞が先か
曲を作る時の順番の話。
曲が先にあり、そこに歌詞をつける、という方法が割と多いのではないかと思う。
私は作詞作曲をやるけど、ほぼ曲を先に作っている。
というか、歌詞から先に書いたことは無いかもしれん。
歌詞というものはメロディによってかなりの制約をうける。
それをナシで書くと言うのは、自由に書けるという意味にはならず、存在しないメロディを想定して詞を書かねばならず、これはかなりむずい。
文字数だけでなく、言葉のアクセント・イントネーション、切れ目なんかもメロディに依存してくるので、1番2番とかあると、それを全て想定だけで一致させて書くのは大変だ。
だから曲から先に作る方が自然と多くなるのだろう。
では、歌詞から先に書きたい場合はどうしたらいいだろう??
既存の曲に合わせて歌詞を書くっ!!
これしかないべ。
元の歌詞がある歌だとイメージが引っ張られすぎる! と言う人は、歌のない曲を選べばよい。
思っている曲の構成に近い、メロデイのある曲だったら何でもいいのだ。
例えばベートーヴェンの「別れの曲」とかね。
ほら!
これでひとつ難関がクリアされたじゃないか!?
◎曲の構成について
上の項目で「曲の構成」と書いたけど、それが何のことかわかない〜という人もいるかもしれない。
なので、簡単に説明しよう。
歌もののポップスの多くは、一曲の中でいくつかにブロックが分かれていたりする。
大まかに言うと、1番、2番みたいなやつ。
さらに、1番の中では、サビとそれ以外に分かれていたりする。
サビとそれ以外の、“それ以外” の部分も細かくみると、Aメロ、Bメロと区別されることがある。
例えば
Aメロ
迷子の迷子の子猫ちゃん
あなたのお家はどこですか
Bメロ
お家を聞いてもわからない
名前を聞いてもわからない
サビ
ニャンニャン ニャニャーン ニャンニャン ニャニャーン
泣いてばかりいる小猫ちゃん
犬のお巡りさん困ってしまって
ワンワン ワワーン ワンワン ワワーン
てな感じ。
(サビが微妙だが例ということで)
これで、曲の構成を書くと
1番:A→B→サビ
2番:A→B→サビ
というふうになる。
日本のポップスにありがちなパターンとしては、
A→B→サビ→A→B→サビ→C→サビ→サビ
とかかな。
まあ、決まりはないので、お好きなように…ということだ。
1番、2番という概念がなく、次々と新しいメロディが出て来てそして終わる…という曲もありだ。
もしも、1番と2番…と作るのならば、各番で文字数や出現する単語のアクセント・イントネーションを揃える必要が出てくる。
◎文字数について
歌詞を書くときに文字数は重要だ。
歌詞の作り方として、メロディを作る前に、文字数など気にせずに自由に詩を書いて、あとからメロディを付けるという方法がある。
その代表格がこれである。
実はこのような手法で歌を作るのは難しかったりする。
なので、もしも最初に歌詞を書くのであれば、メロディによって決められた文字数の中で言葉を書いた方が作りやすいと思う。
ちょっとややこしいのだが、歌詞の場合の「文字数」というのは、音符に当てはめていくので、正確に言うと、「音節(音声上の一単位)」という概念になる。
例えば、「ならんだ」という言葉は、ひらがなで4文字。
で、これを1音符に1文字ずつ入れて発音すれば、文字数と同じ4音節となる。
だが、「ならんだ」の「らん」をくっつけて一つの音符に当てはめる、ということができて、その場合「ならんだ」は3音節になる。
…なかなか言葉で説明するのむずいな。
「ならんだ」は「ドレミファ」の4つの音符に当てはめることもできるし、「ドレミ」の「レ」のところで「らん」を同時に言い、3つの音符に当てはめることもできるのだ。
つまり…
さいた さいた
ならんだ ならんだ
の両方を同じ3つの音符からなる、3音節のメロディに当てはめることも可能、ということだ。
日本語の場合は、割と1音符に1文字で作っても問題ないのだが、英語だと音節が日本語とは異なっているので、歌詞の中に英語を交えたい時はそこを意識する必要がある。
「アイラブユー」と書くと5文字(ー入れず)で5つの音符に当てはめそうになるが、実はこれを英語的発音にすると、「アイ」「ラブ」「ユー」で3音節、3つの音符で表現される言葉になる。
ここを誤ると、なんかダサい英語の歌詞になっちゃうので要注意だぞ。
日本語だけど英語っぽく聞こえるとか、日本語と英語を自然にまぜるとか、この音節を意識するとそれっぽい歌詞を書くことができる。
それの結構すごいやつがこれである。
◎言葉のアクセント・イントネーション
言葉には元々が持っている、音の上下がある。
標準語で「あめ」の「あ」にアクセントが来ると「雨」、「め」にアクセントが来ると「飴」になる。
日本語は特に同音語が多い言語なので、アクセントが違っていると意味が違ってしまう言葉が大量にある。
メロディに言葉を当てはめるときにこれを意識すると、より自然な言葉の流れを作ることができる。
例えば、チューリップの歌の、「チューリップの花が」の「チューリップ」ところを「あんず」にしてみるとどうだろう。
「あんずの花が~」
意味は無視して、音だけを聞いてほしい。
ナシではないが、ちょと違和感ないだろうか。
それは、この部分が降りてくる音階に対して「あんず」という言葉が上がっていく音だからだ。
このようなメロデイには、「チューリップ」のように音が下がっていく単語の方がよりしっくりくるのだ。
絶対ではないけど、メロディと言葉のアクセント・イントネーションをあわせるのも一つの技かと思う。
ただ、あえて外すというテクニックもあったりするので、そこまで気にせずに。
◎言葉の切れ目について
それから、「切れ目」についても話しておきたい。
メロディには切れ目がある。
このメロディの切れ目と言葉の切れ目がずれていると、なんか変な感じになることもある。
「どのはな みても きれいだな」は「どのはな」「みても」「きれいだな」と区切ることができる。
この歌ではメロディの切れ目と言葉の切れ目が一致している。
これがずれるというのは例えば、同じメロディで次のような歌詞になっていたりする、ということだ
「どんなは なみて もきれいだ」
これを「どのはな みても きれいだな」のメロディにあわせて歌ってみてほしい。
「どんなは」「なみて」「もきれいだ」となって、何だかがモヤっとしてしまう。
なので、たとえ文字数が同じでも、言葉の切れ目が違っているとズルっとなることがあるので、切れ目も意識して書けるといいかも。
ただ、わざとズラすという高度テクニックもある。
その使い手がこの人だ。
「どんなは」「なみて」「もきれいだ」をやってしまうすごさ。
◎韻
詩には「韻」というのものが付きものである。
「韻」って何? と言う人はここを読んでくれ。
これがしかし、日本語の詩の世界にはあまり「韻」という概念がなかったりする。
むしろ繰り返しを嫌う傾向にもあったり。
というわけで、日本語歌詞の場合はあまり「韻」を気にしないでもいいんだけど、うまく作れるとカッコよかったりもする。
この記事の上の方でリンクを貼った歌「inside you」もめちゃ韻を踏んでいる歌である。
他にも参考に、韻を踏んでいる歌を貼っておくのでぜひ参考にしてみてね。
しかし、韻は下手に踏むとダサくなるので要注意だぞ。
◎私の歌詞の作り方
と、こんな風にいろいろ書いてみたけど、これらを普段意識して歌詞を書いているかと言えば、そうでもないw
私が歌詞を書く時は、だいたいメロディが先にできているので、その各パーツごとに、降りてきた言葉を当てはめていく作業をしている。
メロディから言葉が出てくるというか。
そこにはハマる言葉が予め決まっていて、それを私は探して、言葉のジグソーパズルをしている感じなのだ。
って書くとなんかちょっとヤバめな人に思われるかもしれないけど、実際ヤバめなのかもしれない。
と言うわけで、私のヤバめの創作ノートを晒してみたいと思う。
このメモでは、一部、既存の英語歌詞の日本語歌詞を考えたりもしてるな。
それから、「、、、 、、、、」などが所々にあるけれど、これは音節の数を表している。
よくこうして点を打ってから言葉を入れたりもする。
以上、こんなに偉そうにいろいろ言って、私の書いた歌詞がしょぼくてもどうかご了承願いたい。
◎最後に企画のご紹介
冒頭で言及した歌詞を書く企画とはこちら(2021/11/30〆切)。
物語に対して歌詞を書くというもの。
曲は応募された中から選ばれたものに後からつけられるので、詞先だね。
始めて歌詞を書いてみる~という人もぜひ参加してみてほしい。
私はあなたの書いた歌詞が見たい~!
以上です。
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