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「甘い陰謀:みたらしの謎」 上

この物語は2章構成になっています



第一章:陰謀の香り


江戸の町にひっそりと佇む和菓子屋「福笑い」は、甘い香りで通りを彩っていた。大塚美咲は、亡き父の跡を継ぎ、丹念に和菓子を作り続けていた。その中でも特に人気なのが、秘伝のみたらし団子だった。蜜の絡んだ団子は、一口食べると心が和む味わいで、多くの客が訪れる理由だった。

ある夕暮れ、美咲が店の片付けをしていると、見知らぬ侍が店に入ってきた。「ここに大塚美咲という者がいるか?」その声には、緊張感が漂っていた。

美咲は一瞬驚いたが、冷静を装って「私が美咲ですが、何か御用でしょうか?」と答えた。侍は一歩前に出て、「私は伊織と申す。この店のみたらし団子に興味がある。だが、その団子に関して話があるのだ。」と言った。

美咲は警戒しながらも、侍を店の奥に招き入れた。「どのような話でしょうか?」

伊織は深刻な表情で「実は、最近この団子を食べた者が次々と倒れているという噂がある。毒が仕込まれているのではないかと疑っている。」と語った

美咲は驚愕し、「そんなことはありません!私の団子に毒など…」と強く否定した。しかし、伊織の眼差しは鋭く、「調べさせていただきたい。これは町のためでもある。」と厳かに言った。


美咲は渋々承諾し、伊織と共に団子の材料や製法を見せることにした。彼の真剣な眼差しに、美咲も次第に不安を感じ始めた。

つづく


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