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生きにくい人へ

生きにくい、生き難い、と思っている全ての人が、
それでも生きるのだと、踏ん張れますように。
生きにくい、生き難い、と思っている全ての人に、
理解者がいますように。

豆から淹れるコーヒーの楽しさを教えてくれたのは彼でした。

花火を見たいのに調子が悪くなり3度もお預けになったり、
朝からの予定は絶対に組めなかったり、
そもそも予定すら負担になるから立てれなかったり。

それでも。
猫と暮らす豊かさを教えてくれたのは彼でした。

さっきまで普通に話していたのに急に不機嫌になったり、
夜は楽しそうに沢山話したのに、朝は絶望していたり。

それでも。
お通じの話ができるのも、痔のお薬を一緒に買いに行ってくれたのも彼でした。

一緒に暮らし始めてからうまく眠れない、と言われたり、
軽い相談が負担になってイライラされたり。

それでも。
病気になった時、全力で介抱してくれたのは彼でした。

海のそばで暮らしたいとやる気満々で古い家を手入れしたのに、
半年も経たない内に「もう暮らせない」と言ってみたり。
その海岸を歩くことすら辛い思い出になったり。

それでも。
私が本を出したいんだ、と言った時にバカにせず、
絶対書くべきだよ、と言ってくれたのは彼でした。

ここまで書くのに、嬉しかったことや楽しかったことは沢山思い出せるのに、
嫌だな、と思うことは一生懸命思い出さないと書けなかった。



生きにくい、生き難い、と思っている全ての人へ。
そうだとしても。
あなたがいる事で嬉しいと、楽しいと思う人がいます。
毎日のほんの一瞬でもそのことを思い出す時間がありますように。

どうか心安らぐ瞬間が少しでもありますように。


photo by saba




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