「モンスターペアレンツ」になる前に親が考えたい事

私の子どもたちは既に成人して自立していますが、同年代の兄弟や友人の子どもの殆どは未だ中高生。現在進行形でいじめなどのトラブルで悩んでいる人も多いため、一足先に子育てが終わった私が相談相手になることがあります。
特に多いのが「学校に相談がしたいのだけど『モンスターペアレンツ』呼ばわりされるのではないかと思うと中々できない」という悩み。確かに昨今は子どもの言葉だけをうのみにしてすぐ学校に怒鳴り込む親も多いので学校も警戒するんですよね。でも、だからといってトラブルをそのままにして子どもから笑顔が消えるのはもっと問題なのではないでしょうか?
これからお話しする事はあくまでも私自身の経験に基づくので全てが正しいと言えるかどうかはわかりませんが、「モンスターペアレンツ」と呼ばれることなく上手に学校と話し合い、問題を解決に導くひとつの方法としてお読み頂ければ幸いです。

まず第一に「冷静に事実確認をする」

子どもが学校で何らかのトラブルに遭い、親が介入せざるを得ない状況になった時、最初に親がしなければならない事は「事実確認」です。
まずはこの5点。

1.トラブルの原因はなにか?
2.誰が当事者であるか?

3.どのような経緯を経てトラブルとなったか?
4.トラブルの当事者は我が子を含めて何人いるか?
5.客観的に見て我が子にどの程度の非があるか

まずは子ども自身にそれを確認する。そして子どもから聞いた話を元に、上記の確認事項を学校にも問い合わせてみる。

特に大事なのが

5.客観的に見て我が子にどの程度の非があるか

という点です。
これについては、ときに学校側の見解を謙虚に受け止める姿勢を見せる事がとても重要となります。学校の先生も感情がある一人の人間である事を忘れる事なく丁寧に接する気持ちを持ち、なおかつ一方的でない冷静な話し合いをしようと言う意志を最初にちゃんと伝えれば、大抵の場合は話し合いがうまくいきます。

子どもがトラブルに見舞われれば心を痛めない親はいません。
辛そうにしている我が子を見て「この子にも悪い所があったのでは?」なんて考えたくもないのが親の本音です。けれどもその気持ちをぐっと抑え、あくまでも冷静で中立の立場を貫くべきです。

我が子が親に怒られそうな自分に都合の悪い事は隠し、さも相手が100%悪いかのように言っている可能性は大いにあります・・・いえ、間違いなくそういう反応が見られます。

分別があるはずのいい年した大人でも、最近話題になっている某都知事のようにトラブルが起きれば自己弁護したい気持ちになり、自分に非があってもそれを棚に上げて他者が悪いと思い込んでしまう事がしばしばあります。ましてやまだ社会的に未熟なところがある子どもならなおさらでしょう。たとえ自分の方により多くの非があったとしても認めず、「自分はなんにも悪くない」と思いこんでいてもおかしくはないのです。
だからこそ、親はかっとなることなく努めて冷静・客観的になる必要がある。決して感情にまかせて行動してはならないと思います。

最初から「うちの子が正しい、相手が悪い」と盲信し、ヒステリックに相手や学校を糾弾するような事があれば話がこじれ、たちまちこちらが「モンスターペアレンツ」として要注意人物とみなされかねません。そうなると学校側が警戒してこちらの話をまともに聞かなくなり、普通ならすぐに解決するはずの問題がこじれてしまう可能性もあります。

とにかく何が起きているか親がわかっていない状況では子どもの言葉をある程度疑ってかかり、まずは親よりも学校での子どもの様子を良く知る担任に様子を聞くべきだと思います。実際に我が子の立場に立ってアクションを起こすのは事実確認の結果がはっきり判明してからでも遅くはありません。そうすればこの段階で問題は一応の解決を見せる事が殆どなのですから、感情がこみあげてきてもそこはぐっと我慢する必要があります。

モンスターペアレンツの汚名をあえて着るべき時もある

しかしながら、「モンスターペアレンツ」の汚名をたとえ着ることになったとしても、親が立ち上がらなければならないこともあります。
それは慎重な事実確認の結果、我が子に非がほとんどないにもかかわらず、なぜか一方的にこちらが悪いと決めつけられたとき、あるいは問題が一向に解決の方向に向かわない時です。

そういう場合、学校はほぼ例外なく「事なかれ主義」を貫きます。たとえ学校内に深刻な問題が起こっていてもそれを「なかったこと」としてやりすごそうとするのです。

例えば、校長が定年退職間際で残りわずかな任期中にわずらわしい問題を表面化させたくないと考える場合や、トラブルの当事者の中に地域の名士の親族やPTAの有力者の子女がいた場合などは、学校が事を大きくして揉めたくないばかりに事を穏便に運ぼうとし、問題の本質に触れることなく表面的な解決でなんとかしようとする傾向にあります。そこにあるのは保身だけ。それこそ学校側が「冷静な事実確認」をする気がまったくないという状況となるので厄介です。

そうなると根本的な解決策がとられぬままトラブルは水面下でどんどん大きくなり、被害者となってしまった子どもが追い詰められて逃げ場を失い、不登校・・・ですめばまだまし、最悪死に至る場合もあります。

その可能性が出てきたら親はためらっている場合ではありません。その時こそ覚悟を決めて学校やトラブルの当事者と対峙すべきです。

腹をくくって「私はモンスターペアレンツになる!」と高らかに宣言し、全てのリスクを背負ってでも我が子を守りましょう。それでも学校が「自分たちは悪くない!」と言い張り、こちらが悪者にされたらもちろん悔しいです。が、仮に転居、転校を余儀なくされる事となっても、結果的に子どもが無事で生きているならそれでいいと思いませんか?
(憚りながら、うちの上の子はそうすることで地獄のような学校生活から生還し、近年社会人としての第一歩を踏み出しました。今では親の手を借りず立派に自立しています。)

辛い状況になっても見ている人はちゃんと見ています。子どもを盲信することなく冷静に判断した結果やむを得ずモンスターペアレンツにならざるを得なくなった場合は、案外同じように悔しい思いをしている仲間がいて思わぬ援軍となってくれる場合もありますので、世の中捨てたものではありません。

最後に

一気に思いのままに書いてしまいました。
最初に述べたように、上に書いた事が学校トラブルのベストな解決法だとは思っていません。ただ、学校もそんなに鬼ではなく、話をちゃんとしようとすれば通じる事の方が多いのは確かです。中にはうちの子が在籍した学校のように問題解決能力に欠け、トラブルをより大きくしてしまうような場合もありますが、そういうケースは意外と少ないのではないかとも思っています。
親は子どもの一番の味方でなければいけません。その一方で、親は子どもが間違った方向に進んでいたらそれを真っ先に正す立場である必要もあります。

一番大事なのは我が子が笑顔で生きていられる事です。その笑顔が曇った時、心の支えとなるのが親の仕事です。世の中生きていれば何かと辛いことばかりですが、ちょっと回り道になっても子どもが明るく笑って生きていられる場所に戻ってこられるように親がどーんと構えている事がなにより大切な事ではないでしょうか?

上手く言えませんが、そんな気がするのです。

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