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「万人受け」する銀座久兵衛の凄さ


もし「寿司のスタンダードってなんだろう?」と聞かれたら、私の頭には迷わず銀座の寿司店久兵衛が思い浮かびます。誰もが知る有名店、高級寿司店、接待向け、などなど久兵衛のイメージはいろいろあると思うのですが、20年来時々でも伺っていつも感じるのが「万人受けする」という凄さ。

70代のシニアな先輩も、20代の後輩も、庶民派おばさんも、グルメダンディも、女子高生も、大食いラガーマンも、誰を連れて行っても必ず「本当に寿司が美味しかった」「大将や職人さんの接客がよかった」「カウンターが清潔で気持ちいい」と喜んでくれるのです。

「万人受け」は「特徴がなくてつまらない」という意味にも使われたりしますが、実は万人に受けるって本当に難しい。しかも久兵衛は、あの雲丹の軍艦巻発祥の地。創意工夫は怠らず、白身握りのしゃりにさりげなく大葉を入れて香りを楽しませたり、脂が乗った穴子をあえて塩で出したり、極め付けは砂糖を使わないピリッと辛いガリを定番にしていたり、実は結構攻めている。
にも関わらず嫌いな人がいない。みんな笑顔で喜んで帰っていく。これって凄いことだなあ、と伺うたびに思うのです。

その理由はきっと、いいネタを仕入れ、丁寧に仕込み、腕のいい職人が握る、という当たり前のことを凄いハイレベルでやり続けているからではないかと思います。
奇をてらわないのに他とは違う、何が違うかわからないけどつい食べたくなる。
そんな基本に忠実ながらも、さりげない工夫と努力で万人に愛される久兵衛こそ、日本の寿司のスタンダードだと思う今日この頃です。

こんな事を書いていたら、また久兵衛に行きたくなってきました。今度はいつ行けるかなあ。。

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