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歌で綴ったメッセージ~「Re:Contact」からはじまる茅原実里世界への「Contact」

「Re:Contact」とは

「Re:Contact」とは、歌手・声優として活躍している茅原実里(ちはらみのり)さんが2021年11月18日(ご本人のお誕生日🎂)にリリースしたミニアルバムです。

茅原実里さんは今年の4月に「年内をもって歌手活動を休止する」旨の宣言をされており、当初は残っているお仕事をひとつひとつ消化して静かに去ろうと考えておられたとのこと。ところがこれを聞いたファンから

「歌をやめないで!」
「もっとみのりんの歌を聴きたいよ~!」
(※ 「みのりん」とは茅原実里さんの愛称です)

といった声が多数寄せられたことにより(私も手紙を書いたひとりです)、活動休止前に「歌で恩返しをしたい」との思いから作られることになった、言うなれば作られる予定のなかった楽曲集です。

茅原実里さんは現在に至る音楽活動の原点となった2007年に「Contact」という名前のアルバムをリリースしています。これが「茅原実里による音楽世界の始まり」(=接触)と捉えるならば、「Re:Contact」は「音楽活動から離れる茅原実里人生の新たな始まり」(=再接触)と受け止めるべきなのでしょう。このタイトルに込められた意味については茅原実里さんご自身がいろいろなところで語られていますが、ここは私のnoteなので私の言葉で書かせていただきます。以下リンクは解釈の答え合わせということで。



「Re:Contact」歌で綴ったメッセージ

このミニアルバムが制作されるにあたり、茅原実里さんはこれまで音楽面でお世話になっていた作曲家、作詞家、バンドマスターなどに曲や詞づくりを依頼することにしました。それも具体的な希望は出さず「客観的にファンのみんなが喜んでくれるような楽曲をプレゼントして欲しい」というお願いをしたとのこと(下記リンク参照)。例外的に最後の曲となった「Sing」だけは茅原実里さんご本人が自ら作詞をされています。

このような作られ方をした結果、「Re:Contact」ミニアルバム5曲のうち4曲はこれまで楽曲制作に関わってきたクリエイター諸氏から茅原実里さんへのメッセージという意味合いが極めて強い楽曲群になっています。

問題はそれがどんなメッセージなのかということです。

これまで13年間続けてきた歌手活動を休止することになった茅原実里さんに対して言いたいことがあるのはファンだけではありません。むしろこれまで彼女の音楽活動を支えてきた仲間だからこそ奏でたい音楽が、そして伝えたい言葉があったのです。結果的にここに集まった楽曲はただの歌ではなく、関わったひとりひとりの想いをよく表したものとなりました。

いずれもイージーリスニングで聴いても普通に素晴らしい曲たちです。どの曲も輝きに満ちており、人生の応援歌と呼ぶに相応しい出来でしょう。

でも、茅原実里さんのことをそれなりに知っている者が聴いたなら、そこに込められた意味を読み解くことができたなら…。愛情や綺麗事だけでは済まされない、そんなメッセージもそこにはありました。

そして、それらに対して茅原実里ご本人が自身の言葉で返す最後の曲。
茅原実里作詞「Sing」。
それまで自身を支えてきたクリエイターやスタッフ、ファンに対してどんな言葉を述べられるつもりなのか。

あるひとりの女性の生き様をめぐり、その想いを音楽に込め、歌で表現したミニアルバム「Re:Contact」。それに向き合うことは、ある意味で茅原実里の人生に踏み込み、その行く先を見届けることだと私は思っています。

これまで茅原実里という名を聞いたことのないそこの貴方も。
音楽に託された想いを、人生を、見届けてみたくはありませんか?

前置きが長くなりました。次項より曲目順に解説します。
ここからは私も体裁をかなぐり捨て、感情むき出しでいかせてもらいます。

<注記1>
記事内における歌詞の一部掲載につきましては、JASRACならびに文化庁等のWebページを確認した結果、引用の範囲に適合するよう配慮して行なっております。ただし権利関係者よりご指摘があった際には然るべき対応をさせていただく所存ですので、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。
<注記2>
記事内で「茅原実里さん」と「みのりん」(愛称)が入り乱れていますが、深い意味はありません。あえて言えば執筆時の私の感情がそこに反映されているのだと思ってください。


01:翼がないままでも明日を飛ぼう「Re:Contact」

Re:Contact
歌:茅原実里 / 作詞:畑亜貴 / 作曲:菊田大介(Elements Garden)

▲「Re:Contact」発売記念 茅原実里のradio minorhythmより
「Re:Contact」楽曲紹介より再生

ミニアルバム「Re:Contact」のトップを飾る曲は、現在の茅原実里音楽の原点ともいえる「純白サンクチュアリィ」を作った畑亜貴/菊田大介コンビによるものです。アルバム名と曲名が同じなので要注意。そういえば2007年に作られた「Contact」(曲名)もこの2人によるものなのですね。遥かな時を経て新たに紡がれる再接触や如何に。

<注記3>
以後、混乱を避けるため「Re:Contact」については次のように記載します。
アルバム名を指す場合:単に「Re:Contact」と記載
曲名を指す場合:「Re:Contact」(曲名)と記載

曲調はドラマチックでなおかつスピード感のある仕上がり。さすがは「純白サンクチュアリィ」の菊田さんだねぇ。歌詞はこれまでに茅原実里さんが歌ってきたどの「Contact」よりもド直球で分かりやすく、これぞ人生の応援歌という感じの楽曲となっています。

内容を要約すると、

行き先が見えなくても進もう!
嵐の中でも進もう!
変わろう、強く優しい自分へと!
新しい夢を探そう!
思い出たちを強く抱きしめて!

というものです(意訳ですがそんなに外してはいないかと)。
経営者は大好きですよねこういう文言。
どこかの会社が朝礼のスローガンとかに使いそうな勢いです。

それと、この歌には「変わる」「変える」という言葉が繰り返し出てきます。どのくらい繰り返されているかというと…。

<Re:Contact「変わる」六段活用>
 変わるの
 変えたいよ
 変えよう
 変えてみせる
 変わるよ
 変わるから

このような内容なので、何かしら現状を変えたい方にはこれ以上ないくらいピッタリな楽曲と言えるでしょう。ぜひお買い求めください。必ずや貴方の背中を押してくれる起爆剤となること間違いなしです。

ですが…本当にごめんなさい。
私はそんな勢いでこの歌を受け止めることができませんでした。

これはね、一般的な人生の応援歌を書いた風に見せつつ、その実は茅原実里さんが心に秘めた決意を歌詞に表したんですよ。作詞をされた畑さんという方は茅原実里さんのことをよほどよくご存知なんでしょうね。そりゃ10数年以上の付き合いだけのことはありますわホントに。

だけど…それでも、と私は言いたい。
そこまで…そこまで言われなきゃいけないんですか?と。

今年をもって歌手活動を休止する決断をしたみのりん。それまで生き甲斐であるかのように愛してきた歌と離別する彼女が、来年以降どのように人生を生きていくのか。
その答えは「分からない」です。

この歌の冒頭は、

空を飛べるなら何が見えるのだろう 地平の先の彼方

で始まるのですが、「わからなくても荒ぶる風に吹かれてみよう」という内容の歌詞がこれに続き、そんな先の見えない未来が彼女を待ち受けている運命なのだということをこの歌は暗示しています。

そしてサビの部分。

翼がないままでも 明日を飛ぼう

どこに飛ぶか分からない明日なんて、崖から身投げするようなものです。
翼もないのに飛んだらどうなるかなんて、言わなくても分かるでしょう?

嵐の中でも 凍えながら進もう

何で…?
何でそこまで自分を追い詰めるの?
何で貴方がそこまで追い込まれなくてはならないの?

やるせない思いを抱えつつも、二番の歌詞へ。

きっと優しさへと 守る力へと変えよう! 変えてみせる

再び、何で…?
貴方は私みたいな末端のファンに対してだってこれ以上ないくらい、いつもいつも優しすぎるくらい優しいじゃありませんか。

「変えてみせる」って、これ以上何をどう優しくなるって言うんですか!!

駄目だ、気持ちが抑えられない…。

このように、この歌は一般的な人生の応援歌のような顔をしておりますが、その実は茅原実里さんご自身が自らに言い聞かせ、そして関わったすべての人たちに送る決意表明です。その凄まじさには目を覆わざるにはいられない悲壮感がありますが、それでも歌の中でこんなことを言っています。

思い出たちを強く抱きしめる

幸せだった歌手としての思い出。アーティストとして大成した日々。クリエイターやスタッフ、ファンと作った思い出は持っていってくださるそうで。こういうのが、こういうところが彼女の優しさなんですよ。

作詞家の畑さん。
ここに書かれた歌詞は、まぎれもなくみのりんの「覚悟」です。
これ以上ないというくらいに。
そういう意味では、貴方は人の心を表現する天才なのでしょう。

だけど、考えてしまうのですよ。

自身が下した苦渋の決断の先に待ち受ける因果をあらためて突き付けられることが、本人にとってどんなに厳しくて辛いことか。

それは私が気にし過ぎなのでしょうか?

それとも、そこまで考えた末に、そのうえで仕上げたものがこれだったのなら、それはもう畑さんとみのりんの人間関係がそうさせたのだと割り切る他はありません。

この楽曲は詞・曲共に神曲と呼んで差し支えないものだと思っていますが、それでも私は、己にあらためて言い聞かせるかのようにこれを歌うみのりんのことを思うと、心が痛くてたまらなくなるのです。

私の目線で語るとどうしてもこうなってしまうのですが、私はファンとして歪んでいるのでしょうかね…。

さて、当のみのりんはこれをどう受け取ったのか。

「すごい…これは、私への、お手紙だ…(中略)優しくて、温かくて、力強い…畑さん、私へのメッセージ…はぁ~………がんばる!」
(豪華版付属BD「Message05」より)

涙ながらに語られたメッセージ。さらに同BDの中で「背中を押してもらったような感覚」ともコメントされておられました。

そうですか…。
ご本人がそれを受け止め、涙を拭って立ち向かうと決めたことに対し、私がこれ以上何かを言うこともありますまい。

だけどみのりん、これだけは言わせてください。

貴方はもう十分に優しいです。だからお願いです。
どうかこれ以上ご自身を追い詰めることはなさらないでください。
本当に、
お願いです。

いろいろ文句めいたことも言いました。それでも「Re:Contact」(曲名)が神曲であるという評価は私の中で変わることはありません。迷っている者の背中を押す「覚悟」の歌であると思っています。


02:私を赦さないで「a・b・y」

a・b・y
歌:茅原実里 / 作詞:奥井雅美 / 作曲:俊龍

▲「Re:Contact」発売記念 茅原実里のradio minorhythmより
「a・b・y」楽曲紹介より再生

曲名の「a・b・y」とは、古い英語で「贖罪」という意味なのだそうです。ホントにっ?!と思ってweblioで調べてみると、確かに「aby」=「償いを行う」という意味の動詞みたいですね。

「Re:Contact」(曲名)がそうであったようにこの歌もまた茅原実里さんの心の内面を映し出していますが、それはもはや決意表明と言うより魂の叫びであるかのようです。「俊龍サウンド」と呼ばれるそのスピード感と叩きつけるようなハードロック調が茅原実里本人の激情をこれでもかというくらい表現する、このアルバムの中でも異質な楽曲になっています。

歌詞の内容としては前半が過去の贖罪を、後半が未来への希望を主に歌っていると思われます。表現は抽象的なのですが、聴く者が聴いたならばそれが何を意味しているのか丸分かりです。「Re:Contact」(曲名)は見せかけだけでも人生の応援歌を装っていましたが、この「a・b・y」に関して言えばそんな風に振る舞うつもりすらもないようで、歌詞の内容も赤裸々です。

探し続けていた未来 喪失の瞬間(とき)
戻せない 狂った時計を空へ高く高く投げ捨てた

私はじめてこれ聴いたとき、耐えられなくなって再生を途中で止めました。

私の解釈が間違っていたら申し訳ないんですが…奥井さん?
これが意味しているのは、すなわちそのことですよね?

戻せない 狂った時計を空へ高く高く投げ捨てた

「戻せない狂った時計」とは何を意味しているか。分かる方には説明不要と思います。いまその解説をするつもりはありませんが、私も、貴方も、誰しも心の中にひとつやふたつは持っている、変えることのできない後悔の記憶とでも、ここでは申し上げておきましょう。

誰にだって自分で自分が許せない、そんな過去があるでしょう?
忘れようとしても忘れられない、心の奥底に深く刻まれた傷跡が。
どんな人であれ、それに正面から向き合うことは本当に辛いことです。

場合によっては、自分の大好きな何かを手放してしまうくらいにね。

分かってるんでしょう奥井さん?
貴方、みのりんのこと、何もご存知ないわけじゃありませんよね?
これを読んだ彼女がどんな気持ちになるか。どんな表情で受け取るか。

想像できなかったわけじゃないですよね?

そしてサビの部分。

叫ぶように愛して 私を赦さないで
(中略)
私、この身 赦せる時まで…赦さないで

「私を赦さないで」(許さないで)って、それをご本人に歌わせる…?
それがどんなにむごいことか、分かっててやらせてるんですか?

それが、彼女に課せられた「贖罪」だと言うのですか?
そこまでしなければ、償うことができないものですか?
どこの誰が、彼女にそこまでしろって言えるんですか?
奥井さん!あんたいったいみのりんの何なんですか!!

中二病っぽいこと書いてるなと我ながら思いますよ。
だけど、、、これ聴く度に、涙が止まらないのです。

彼女が、どんなに心の中で、辛くて苦しくて…。
たくさん、たくさん泣いただろうなと思うと…。

この歌の前半の歌詞に書かれたように、文字通り涙が枯れ果てるまで泣いたかも知れません。

事実、「Re:Contact」関連のインタビュー記事をいくつか見てみると、この「a・b・y」については「一番咀嚼するのが難しかった」「とってもリアルで心にグサグサ刺さる」「どんな気持ちで唄えばいいのか難しく感じたのは、核心を突かれていたから」という風に歌っている本人がコメントしています。こんな問題作が入っているアルバムもまた他にないでしょう。


しかし、この歌の後半では未来への希望が歌われます。
暗闇の中から、それまでの良き思い出たちが導いてくれるかのように。

また出逢える時まで この手を離さないで
永遠に思える暗闇でも 迷わないように
涙、笑顔 交わした言葉を…忘れないで

そうしてこの歌は、「赦さないで」「忘れないで」を繰り返しながらラストの歌詞、

続く未来の扉へ

に向かって行って終わります。

乱れる理不尽に残す密もなく花が倒れるくらいに激しく揺さぶられる壮絶な楽曲でしたが、最後はキレイにまとまった…のかな?


貴方も、私も、誰しもそうだと思うのですが。
ある程度の人生を生きた人は、程度の差こそあれ、戻すことのできない過去において自責と後悔の記憶を持っているのではないでしょうか。
一生自分のことを許すことができない。そんな記憶を。

だからこそ、と私は言いたい。

自分で自分が許せないのであれば、せめて周りにいる人が許してあげるべきではありませんか?

神様が許すべきだとか言う人もいるかも知れませんが、まず神様に先だって私たちが自分以外の誰かに対して寛容であること。心から過去の過ちを懺悔している人がいたら、手を差し伸べ心を寄せ合うこと。それが人の世の在るべき姿ではありませんか?

すみません、ちょっと宗教的な勢いで話が広がり過ぎました(苦笑)。
まぁでも言いたいのはそういうことです。

ご自身が周りからもう十分に許された。
もう自分のことを許してもいいんじゃないか。

そんな風に感じられる日がいずれきたならば、もしかしたら手放した大切なものを再び取り戻す奇跡が起きるかも知れないですし。

最後に奥井さん。失礼なことたくさん言ってごめんなさい。正直あの歌を初めて聴いたとき、貴方のことぶん殴ってやろうかと思ったくらいです。でも最後まで歌詞を噛み締めた結果、貴方がパンドラの箱のように奥底に希望を残してくれたことが分かりました。奥井さんがそう祈っているように、私もまた彼女がご自身の罪の意識から解き放たれ、「続く未来の扉」を開かれることを切に願っています。


03:船出のようなこの瞬間を「FEEL YOUR FLAG」

FEEL YOUR FLAG
歌:茅原実里 / 作詞:松井洋平 / 作曲:藤末樹

▲「Re:Contact」発売記念 茅原実里のradio minorhythmより
FEEL YOUR FLAG楽曲紹介より再生

ついに来ました、旗曲です!!

茅原実里ライブの大きな特色のひとつである「旗曲」。そう、茅原実里ライブではある特定の曲が流れると、事前にグッズとして用意されたフラッグをみんなで一斉に振るお約束があるのです。この「旗曲」の存在が茅原実里さんのライブの価値を唯一無二にしていると思っています。

曲ごとに振り付けが存在するので事前に覚えておく必要がありますが、やってみるとそんなに難しくありません。むしろキングブレードの色を覚える方が難しいくらいです。みのりん先生の説明がなにしろ上手なので、多少自宅でシミュレーションすればすぐに合わせられます。

今回の振り付けはニコ生でやっている番組「茅原実里のホントにっ!? 」の16回目放送(11月26日)にて初披露され、放送内で視聴者のコメントを拾いながら細部を調整するという、文字通り「ホントにっ?!」という感じで定まった振り付けとなりました。うん、このユルさが茅原実里テイストなんだよなぁ。

「みんなー、旗曲レッスン、いっくよー!!」

いいなー。うん、本当にいい。
幸せが止まらない。

みのりん先生を中心に、左側にいるマネージャーのしーちゃん、右側にいるゲストのホシタク(星野卓也)さんも楽しそう!!

ライブとか行かない人も、できたらこの旗曲レッスン動画は見てほしいな。
なんというか、心がほっこりして、幸せになれるから。

それでなくとも食べ過ぎてしまう冬、たまには音楽に合わせて旗でも振って運動してみませんか。
あー、私もこれ書き終えたらラストライブに向けて練習しよーっと!!


はい、曲の解説いきますね。

「FEEL YOUR FLAG」という曲は松井洋平氏が詞を書くにあたり、船出を意識したのだそうです。イメージとしては、これまでパレードの先頭をきって旗を振っていたみのりんに対し、今度はファンのみんなが旗を振りながらみのりんの希望の船出を応援するという、そんなビジュアルを想像して作られたような感じで。

地図のない旅は続くけれど
踏み出せる勇気 私にくれたんだね

この歌に関しては、前の2曲ほど言うことがありません。軽快なリズム感にストレートな希望あふれる歌詞が乗っており、何も考えずともメロディーがすっと入ってきます。

曲に合わせて思わず体が動き出す。
旗を振るのにこれほど相応しい楽曲もまたとないでしょう。

だからと言ってただ単に軽い音楽というわけでは決してありません。聴くたびにいろいろな思いがあふれ出し、心が沸き上がる。みんなの手に、我等の心に希望の旗を!「FEEL YOUR FLAG」とは、そんな楽曲です。

閃く旗が 眩しい笑顔が (WAVE OUR FLAG)
知らない未来も 希望に変えた

「地図のない旅」「知らない未来」という歌詞に象徴されるように、この曲もまた1曲目の「Re:Contact」(曲名)と同様、あても無き今後の人生について歌っています。にもかかわらず、両者でこうも受け取る印象が異なるのはなんででしょう?「Re:Contact」(曲名)が「覚悟」の歌なら、この「FEEL YOUR FLAG」は「希望」の歌であるように感じられるのです。それは松井さんがこの詞を書くにあたり、「みんながそこに集まってくる」ということを意識されたからではないでしょうか。

みんなの旗が くれるエールが(WAVE OUR FLAG)
遠い世界も 希望に変える

「Re:Contact」(曲名)と「FEEL YOUR FLAG」。それぞれとても素晴らしい楽曲です。どちらが好きかは好みによるでしょう。曲のテイストも異なっているので、曲はこっちが好きだけど歌詞はあっちが好き、というのもあるかもしれません。どちらを選んでも、それが茅原実里さんの未来を、行く手を祝福するものであれば良いと思います。

余談ながら、この「FEEL YOUR FLAG」の歌詞にはこれまでに茅原実里さんがリリースしてきたアルバム名の要素が散りばめられているのだそうです。“ふれあい”=「Contact」、“パレード”=「Parade」、“全ての愛は歌”=「Sing All Love」といった具合に。ちょうどアルバムが7枚あるので、アルバムをたどっていく旅になぞらえて「7つの海」という意味もそこに込めたのだとか(Message05より)。もうここまでくると作詞家ってより策士家って感じだなぁ(笑)。あと、サビの部分が茅原実里さんのある楽曲にとてもよく似ているとかいう話もあったりして…。

まだまだ私ごときニワカでは到底読み切れていないいろんな隠し要素があるんでしょうね。何度聴いても終わらない希望の歌。船旅のごとく長きに渡って楽しめそうな予感です。

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▲何となく見つけた船出の写真素材を貼ってみました。


04:笑おう、約束のかわりに「いつだって青空」

いつだって青空
歌:茅原実里 / 作詞:こだまさおり / 作曲:黒須克彦

▲「Re:Contact」発売記念 茅原実里のradio minorhythmより
いつだって青空楽曲紹介より再生

この曲はミニアルバム「Re:Contact」の中でも随一の癒しの楽曲です。

癒しの曲って言ったら次曲の「Sing」は?って声もあろうかと思うけれど、あれは茅原実里さんご自身が作詞されていることもあって、ちょっと心して聴かないと、という気持ちになるから、私的にはこの「いつだって青空」を本ミニアルバム癒しの曲No.1として推したいです。

これまでのアップテンポめな曲から打って変わってゆったりとした曲調に、日常の延長を思わせるような歌詞。ずっと続いてきた「新たな世界へ」的な勢いがここでいったん抑えられ、とにかくひたすら優しさと安心感を与えてくれる内容になっています。

ゆるむ風の先で笑ってる 耳をくぐり抜けるハミング
日曜の午後は いつだって青空

ここまで読んできてくださった方なら分かるでしょう?明らかにこれまでのイメージとは一線を画しているということが。

この曲もやはり茅原実里さんの今後について語りかけている歌です。そこは変わりないのですが、そのフレーズの選び方が、もう…。

生きていく旅のどこか 晴れ渡る同じ空の下で
笑おう 約束のかわりに

涙が、止まらない。

私、2曲目の「a・b・y」のときも同じように泣きながらこの文章を書いていたのですが、今度の涙はなんだろう?

良かった、良かったよって…。
ホッとして、安堵の気持ちが高じて零れ落ちる涙?
これは、きっと、そういうことなのかな?

まぁね。人のことじゃないかって言われるかもしれないけれどもさ。
これまで…どんなに心配して…いまどんな気持ちでいるんだろうって。
それなりに心配なんですよ、ファンはファンなりに。

新しい日々が始まるうえで、不安なことだってきっとたくさんありますよ。
ひとりで泣きたくなるときだってあるかもしれません。
こちらは想像することしかできないからね。

でも、こんなふうに言ってもらえると安心するんですよ。

生きていくさり気なさに 受け取った愛を感じながら
笑って 歩いていけるんだ

そっか…。
笑顔で歩いていけるなら、それが一番だよね、うん。

「受け取った愛を感じながら」と言っていただけるのもファンとしては嬉しいです。

「いつだって青空」。
これは心を青空にしてくれる癒しの歌。
大丈夫、ひとりじゃないよと声をかけてくれる愛の歌。

聴いているだけで、優しい気持ちになることができる魔法の歌です。

最後の方の「Lalala…」に至ってはもう反則だよ。「Purest note~あたたかい音」を思い出してまた泣いちゃうやん…と思って作曲者と作詞者を調べてみたら…何と同じじゃあーりませんかっ!!

こんなに感動して泣いてしまったの、納得です。


ということで、ここまでは茅原実里さんに関わってきた作曲家、作詞家からプレゼントされた楽曲を紹介してきました。残すはあと1曲、茅原実里さんが関わったすべての人たちに向けて贈る言葉「Sing」です。


05:笑って 笑って あなたの笑顔が大好きだから「Sing」

Sing
歌:茅原実里 / 作詞:茅原実里 / 作曲:須藤賢一

▲「Re:Contact」発売記念 茅原実里のradio minorhythmより
Sing楽曲紹介より再生

……………。
……………。
……………。

言葉が、出ない。

ひと言も発することなく、目を閉じることすらも、いやもしかすると呼吸をすることすらも忘れて、ただ、聴く。

笑って 笑って あなたの笑顔が大好きだから

静かな曲です。

聴こえてくるのは作曲者のケニーこと須藤賢一さん自らが演奏されるピアノ伴奏と、みのりんの歌声のみ(後半に一部ハモり的な部分あり)。

この楽曲を作曲、そして演奏されたケニーさんはCMB(茅原実里バンド)のバンドマスターとして茅原実里さんを歌手活動再開当初から支え続けてきた彼女の音楽の良き理解者です。

「…ちょっとお休みして、音楽的に何か芽生えたら、またやろうよ!」
(正確ではないかも知れませんがおおむねそんな感じ)

今年の8月に河口湖ステラシアターで行なわれたサマーチャンピオン2021において、茅原実里さんにそんな風に言ったケニーさん(このときも私は客席で泣いてました)。さだめし今回のこの曲は「いまひとときの離別」という気持ちを込めて作られたことでしょう。

曲名は「Sing」。

静寂に包まれた森の奥深くから聞こえてくるような、そんな澄みきった歌声が心の底の奥底まで染み渡る。「Sing」とは、そんな曲です。

ここまで述べてきたように、このミニアルバム「Re:Contact」は、これまで茅原実里さんに関わってきた作詞家、作曲家からのメッセージ的な意味合いが前面に出た仕上がりとなっています。それは「覚悟」であり、「贖罪」であり、「希望」であり、「笑顔」でありました。

これらを含め、クリエイターやスタッフ、関係者、ファンのみんな…すべての方に応える茅原実里さんのメッセージは、とても単純なものでした。

「みんな大好き」

思えば、彼女はいつもライブでファンにそう言うのが常でした。
実に最初のライブツアーであった2008年「Contact」ツアー(筆者はDVDで確認)でも、彼女は歌い終わったあと、最後にステージから「みんな~、だーいすきっ!」と呼びかけておりました。

彼女はずっとブレていない。

長い時を経て、歌手として、声優として、様々な経験を重ね、またいろいろな出来事が荒れ狂う大海原のように彼女やその周りを翻弄しても、彼女は変わることなく、その言葉を大切に保ち続けました。

「みんな大好き」

歌詞に直接書いてはいませんが、それがまぎれもなくこの歌を通して彼女が込めたメッセージに他なりません。

みのりんは何も変わってない。
歌手としてファンの前に立ち始めたときからずっと。

笑って 笑って あなたの笑顔が大好きだから

もしその言葉がひどく物悲しく感じられたのだとしたら、変わってしまったのは私たちの方なんじゃないかと、私たちは自身に問い掛けた方がいい。

受け止めよう。

私たちの大好きな人が、私たちに大好きって言ってくれているんだから。
こんな幸せなことは他にないよ。

涙を流しながらでもいいから、笑顔で受け止めよう。

そしてこの歌は、次のように結ばれます。

例えどんなに遠く離れていても繋がっているよ
この空の下で いつだって あなたとおなじ空の下で

繋がっているってさ。
来年以降になったら、もうしばらくは姿を見ることも出来ないのかもしれないけれども。
でも、こう言ってもらえると、そんな気持ちになるよね。
あぁ、大丈夫なんだな…って。

ところで、この歌の曲名は「Sing」でありました。歌詞の中では「笑顔」と「大好き」が強調されていますが、歌うことも忘れてはいないのです。

晴れの日も雨の日も どんな時も唄っているよ

それがファンにしてみたら何よりのプレゼントかな。

お仕事の上で歌手じゃなくなったとしても、やっぱりみのりんには歌っていてほしい。歌が大好きといつも言っていた彼女だから、いつどこで歌っていても、それはきっと喜びと輝きに満ちたものであることでしょう。

ということで、心に響くみのりんからのメッセージ、確かに受け止めました。私たちのことを大好きでいてくれて、本当に、本当にどうもありがとうございました!!

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▲アニメイト池袋本店にて。私も同じ気持ちです!!


Contact「Re:Contact」

想像以上に長くなり過ぎてしまいました。ここまで読んでいる方はいないと思いつつ、カンタンにまとめたいと思います(まとまるかなー)。

本記事は「Re:Contact」というミニアルバムの内容について紹介するという風を装いつつ、その実は「茅原実里という人物についてどこまで掘り下げることができるか」という企みをもった取り組みでございました。

「Re:Contact」はその誕生過程からそもそもドラマチックな存在です。茅原実里ご本人の歌手活動休止が決定している状況で忘れ形見のように作られる楽曲集。しかもそこには茅原実里さんを支えてきたクリエイターがあたかも彼女に送るメッセージのように作曲し、作詞される。それに茅原実里さんが応えるかのように作詞し、歌う。

これが半端なものに仕上がるはずがありません。

音楽を通じてクリエイターたちは言いたいことを伝え、それを茅原実里さんは歌で表現して返す。それを聴き、そこに秘められた想いを読み解いていくことで、茅原実里さんの人生にほんの少しでも向き合えたのではないかなと我ながら感じている次第です。

いかがでしょうか皆様。
音楽も丁寧に聴き込んでいくと、いろいろな気付きがあるものですよ?

なお、「Re:Contact」に収録された楽曲は作曲者や作詞者の遊び心もしくはファンサービスにより、様々な過去楽曲のフレーバーが散りばめられているようです。ひとつだけ例を挙げると、「Re:Contact」(曲名)のラストは「S.I.G.N.A.L S.I.G.N.A.L」で終わるのですが、この歌詞は元祖「Contact」の出だしと同じであり、実に「Contact」に「Re:Contact」しているのです。なんてステキな輪廻!こうして「Contact」に戻り、また聴き始めてしまうという無限のSPIRAL!あぁ、やっぱり茅原実里は止められないっ!!

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歌はイントロ for 「Re:Contact」

最後に(いつが最後なんだこの文章?)、私が最近とても感銘を受けた言葉を紹介して本稿をまとめたいと思います。

長年茅原実里さんの音楽プロデューサーをされていた斎藤滋さんがよく仰る言葉に「歌はイントロ」というのがあります。

「歌うその1秒前まですべての出来事がイントロ。そこにかけた時間と思いの分、深い歌になる」(要約)

おおむねそのような意味なのですが、今回の「Re:Contact」がまさにそれだと感じました。いずれの楽曲も茅原実里さんを含め、作曲家、作詞家、音楽プロデューサーの斎藤さん、関わった各社のスタッフ、販売サイド、そして私たちファン…関わっているすべての人々が長い時間をかけて育ててきた、そんな熱い想いの籠った楽曲集です。特に茅原実里さんご本人が作詞された「Sing」は彼女のそれまでの人生すべてをイントロとして歌ったのではというくらい、万感の思いが込められたものでありました。

▲株式会社ハートカンパニーの斎藤滋さんによる「音楽熱想」122回目放送

私たちファンもささやかではありますが、「Re:Contact」発売に向けて熱い想いを重ねてまいりました。

歌はイントロ。音楽はイントロ。その言葉がいま、本当に心に沁みついています。
聴く側の立場としても、その想いを長く深く育ててきて良かったと実感している次第です。

この言葉を、そしてその機会を与えてくださった株式会社ハートカンパニーの斎藤社長にはどれほど感謝しても感謝しきれません。本当にありがとうございました。これから先、幾年もの時が過ぎ去ろうとも、私は常にそれまでの人生をイントロとして、より新鮮な気持ちで「Re:Contact」に「再接触」することができると信じています。


「Re:Contact」お買い求めはこちらです

「Re:Contact」は現在ランティスより絶賛発売中。茅原実里渾身の5曲が入って2,530円(通常盤)。曲については本記事で解説している通り、収録されているすべてが神曲クラスで遊びがない真剣勝負のミニアルバムです。

なお豪華版というパッケージが用意されており、こちらは縦長に大きく開くオーロラ茅原実里パッケージに加え、ライブ(サマーチャンピオン2021)の舞台裏や「Re:Contact」アルバム制作に密着したドキュメンタリー映像を納めたブルーレイディスク「Message05」が同梱されています。より深く茅原実里さんを知りたい方はこちらをオススメします。

ContactしやすいようにAmazonのリンクを貼っておりますが、必ずしもここで買ってくださいという意味ではありません。購入特典(まだ残っていればですが…)については店舗によってさまざまなので、興味ある方はランティスによる案内ページを確認することをお勧めします。


歌っている茅原実里さんを見たい方へ!

12月26日に音楽活動休止前のラストライブが神奈川県民ホールで行なわれるのですが、たぶんもうチケットの入手は難しいんですよね…。

(ダメですよ転売ヤーからチケット入手したら!!それ会場に着いても中に入れませんからね、絶対ダメ!!)

なのでここでは、本年行なわれたライブ「サマーチャンピオン2021」とオーケストラコンサート「2020 Graceful bouquet」がセットになった超おトクなブルーレイディスクセット「Minori Chihara Live Re:Collection」を紹介しておきます。

河口湖ステラシアターで毎年開催されていた茅原実里さんの夏の野外ライブ「サマーチャンピオン」のファイナル公演と、度重なる延期の末に開催されたオーケストラコンサート「Minori Chihara ORCHESTRA CONCERT 2020 -Graceful bouquet-」の2つを収録。これで12,100円は安いです(普通ライブのBDってひとつで7,000円~とかするものなので)。ライブとコンサート、イメージの異なるみのりんを見られるという意味でもオススメです!


しゃべっている茅原実里さんを見たい方へ

これだけ愛されている茅原実里さんてどんな人なのか見てみたいって?
「しょうがないなぁ~♪」(みのりん風w)

じゃんっ!!何と「Re:Contact」発売日当日(茅原実里さんお誕生日🎂)に行なわれた、かつてのラジオ番組の復活企画「radio minorhythm」が生放送にて実施されていました!

ありがたいことにアーカイブで残していただいているため、何度でも見ることが可能です。たまたまこの記事を見つけて、ここまで読み進めてしまった貴方は茅原実里さんがちょっとだけ気になり始めているかも?よろしければこの機会にぜひしゃべる茅原実里さんを見てみてくださいませ。

さらに興味がある方はこちらですっ!

これまで月イチで放送してきたのですが、歌手活動休止に伴ってか、何と次回(たぶん12月放送)で最終回なのですって。番組内で歌ってるわけでもないのにどうしてっ?という思いはぬぐえませんが、ともあれそのような次第ですので、興味ある方はぜひ注目しておきましょう。現時点で茅原実里さんが視聴者からおたよりを募集し読んでくださる唯一の放送ですので、そのような接触(Contact)を持ちたい方は特に見逃しませぬよう。


それでは皆様、またの機会に「Re:Contact」

長くなり過ぎました。この記事は実に「Re:Contact」を購入した11月18日から少しずつ書き続けているのですが、こんなに書いては書き直し、書いては書き直ししたのは私のnote始まって以来の出来事です。聴く度に曲に対する解釈が新たに加わり、整合性を持たせるために他の部分もリライトする…というのを繰り返し、とりあえずいまの姿に落ち着いています。あと、ここまでかかった最も大きな理由として、

聴くと泣いてしまう

というのがあります。特に1曲目の「Re:Contact」と2曲目の「a・b・y」はどれだけ泣いたことか…。で、やっばり少し冷静にならないと書けないので、そこでまた時間がかかるという。冷静じゃないときに書いたときもあるのですが、酒の力を借りて書いた「a・b・y」紹介部分の初稿はみのりんファンはじめ関係者には絶対に見せられない有り様だったので、そこは何とか己の心を抑えつつ、感情と理性のバランスをそれなりにとって書かせていただいた…んじゃないかなぁと自分では思っております。

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茅原実里さん関係は年内にあと2つくらい何か書けるかなぁ…。みのりんについて何か書くと止まらなくなってしまい、このままだとさらに延々と何か書き続けてしまうので、そろそろ本当にお開きにいたしましょう。なお、みのりん関係でお友達になれる方は無限に募集していますので、よろしければぜひ何らかの方法で私にContactしてみてくださいませ。当方Re:Contact率はおよそ100%でございます。

うん、私らしいオチが付けられたので今度こそこれにて。
お会いできる方は12月26日のラストライブにてContactまたはRe:Contactいたしましょう、ぜひ!!

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