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父親からの性的虐待で逝った女性「佑月(仮名)」の場合。Part1

数年前のお盆に私の経営する自然食料品店に刑事がやってきた。
「佑月さんが、自殺しました。尋常じゃない死に方だったのでお話を伺いたい。」そう言われて、数日前から連絡が取れなくなっている彼女がまさか自殺してしまうとは・・・
尋常ではない死に方とは、縊死(首つり)である。
数日前に、失踪したのは彼女はある人物と揉めていた。人間関係のトラブルを抱えていたのは事実である。

「性的虐待」という問題は、実に根深い。そして、年々増えていっている。相談内容の上位に「近親相姦」があるが、被害者と加害者が血縁関係にあるという事が、事態を深刻化させる。
身内(父親)を告発する事が逆に娘にとって不利益を被る事になるからだ。
まず、そんな事があるわけないという否定から始まり、彼女は家庭、仕事、人間関係といった周囲のすべてから抑圧されるのだ。
被害者が、世間からペナルティを受けるという、実に奇妙な「逆差別」の実態が存在する。

世間体が、すべての日本において「近親相姦」はタブーなのだ!

アメリカやドイツなど多くの国が、近親相姦を禁止しています。


ある時、お姑さんから「うちのお嫁さんは、いつも心ここにあらず家事も満足にできない。」と相談されたので、「それは、性的虐待を受けて育ったから、肉体は生きてるけど心には死んでるからだ。」と言ったら、気まずい感じになって連絡が来なくなった。

性的虐待のダメージは大きく、常に自虐感と
自殺願望が頭から離れない。

佑月もまた以前に自殺を図った事があった。

今回は、佑月との出会いから別れまでを回想していこうと思う。

出会いのきっかけは、私が主催した「整体」イベントに彼女が整体師の紹介で来たことだ。整体師が、長野の治療院で彼女を顧客としていた時期があり、その後に彼女は福岡の実家に戻ってきた。そこで再び、整体師から福岡に出張に来るという連絡を受け整体にやってきた。

 初めての出会い。
佑月は、ワゴン車に乗って現れた。
身長は150センチ位で、ゴツゴツとした骨太の感じ。目はパッチリした二重で特に美人というわけでもなく、不細工でもない。普通の女性だ。
彼女は、その時40歳を過ぎた位だった様な気がする。
彼女は、主催者である私には目もくれず、久しぶりの再会の懐かしさで、整体師のもとに真っ先にに向っていって、一方的に近況をまくし立てた。

そして、自分は大学病院の教授の傍ら、料理教室を開いていると、自己紹介し名刺を置いていった。

こんな出会いの後、しばらく互いに連絡を取り合う事もなかったが、「オーガニック」というキーワードが私達を引き寄せた。

そこから、私達の付き合いは始まり、彼女の死によって関係が断ち切られる事になるまでの、私と佑月の苦悩と苦痛に満ちた物語。

Part2に続く


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