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心理カウンセラーには、「打たれ強い」人が向いているのでは?(改訂版)

このツィートに対して、違う!!と思ってしまった。

少なくとも、カウンセラーをしている場面以外でも、周囲の人間を常に論破できているようなタイプの人って、鎧が硬すぎるのではないか?

ある意味では、人にボコンボコンにされて何も言えなくなってもそれに堪え忍べるタイプの人のほうが、#心理カウンセラー 向きだと信じています。誰でも論破できちゃうという人は、(控えめに言って)クライエントさんを萎縮させている可能性が高いかと。

そうやってボコンボコンになっても「破壊」されてはしまわず、「生き残って」、クライエントさんに接することができるからこそセラピーになるのだと思うのですが(これば #メラニー・クライン 理論的にみても言えることと思います)。

メラニー・クラインは、赤ん坊は、最初、自分の中に快感が生じると、それは「よい母親」が自分によい乳房を与えてくれているものと捉え、逆に、自分の中に不快感が生じると、「悪い母親」が、自分を迫害して、悪い乳房を差し出しているものとして空想していると考えました。

そして、この「よい母親」と「悪い母親」が同一人物であると赤ん坊は最初気づいておらず、さながら世界を天国と地獄のように体験することを行ったり来たりしていると考えたのです。

この段階のことを、クラインは、難しい言葉ですが、「分裂的-妄想的態勢」と名付けました。

さて、赤ん坊が少し成長すると、別人だと思っていた「よい母親」と「悪い母親」が同一人物であることに気づきはじめます。

ところが、赤ん坊はまだ空想の世界を通してしか外の世界と接していませんから、「悪い、迫害してくる母親」に対して自分が反撃する攻撃性が、実際に「よい母親」を「破壊」してしまったのではないかという妄想にとらわれます。

こうして、赤ん坊はひどく落ち込んでしまうと、クラインは考えました。この発達段階のことを、クラインは「抑うつ態勢」と呼びます。

もっとも、現実には、再び自分を愛してくれる良い母親が繰り返して立ち現れるものですから、赤ん坊のこうした思い込みは次第に解消され、自分の親を、嫌なところもあればいいところもある「一人の人間」として認識できるようになっていくわけです。

そして、そうやって「破壊」した、「内なる」母親を再生させようという「償い」こそが、その後の人生の営みの原動力となるわけですね。

これは別に、現実に「迫害」してきた養育者を許すとか、そういうことではなく、自らのうちに、人を愛する気持ちをもった自分を育成していくということだと思います。

自分の中にある不安や恐怖(外部環境からの被虐感)に直面するということは、自分の中の抑圧された攻撃性(反撃したい思い)との直面を誘発するのではないかと思っている。

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だから、カウンセラーは、決して自ら「攻勢」に出てはならない。

必要とあらば、「あしたのジョー」でいうノーガード戦法が取れる必要がある。

打たれても打たれても立ちあがる。

ただし、パンチドランカーになってはならないわけですが。

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これは、実際には「良い養育者」経験のほとんどない、虐待を受けて育ったクライエントさんと接する上でも有効なのではないかとも思います

「よい母親」と「悪い母親」が、赤ん坊にとって、最初同一人物だと認識されていないということを書きましたが、世間の多くの養育者(父親母親、実の親育ての親、関係なく)は、その両面を持ち、しかも自分がそういう存在であることを自覚し、時には感情的になりながらも、ある程度自制心もって子供に接しています。

だから、子供に「いろいろ問題もあるけど、まあ、悪くはない親だ」と思われているのですが、残念ながらこういう養育者ばかりではありません。

子供に接する時の態度が、まさに別人のような落差があり、ひどく溺愛してくるモードになった時と、言葉や実際の暴力や無視(ネグレクト)に及ぶ時では、とても同じ人間とは思えないような養育者もいます。

子供はそういう「分裂(split)」した養育者の態度に翻弄(ほんろう)され、豹変(ひょうへん)する態度と腫れ物に触るようにしか関われず、世話をし、面倒を見ているのは親の方だか子供の方だかわからないようなケースもあります。

こういう育ち方をした人は、人の善意を信じられずに勘ぐり続け、かえって親しい人間関係を樹立できない人になるかもしれません。

あるいは、自分に表面上は愛情を注いでくる人の甘い誘いに、まんまと引っかかりやすくなることもあるのではないかと思います。

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行動療法で言う、「エクスポージャー」してもらう、なんていうのも、何かまだ、「上から目線」な気がします。

自分の中の不安や恐怖(外部環境からの被虐感)に直面するということは、実はたいてい場合、自分の 抑圧されていた攻撃性(反撃したい衝動)に直面させるということと表裏一体で、治療者側も「被爆」 を承知でしてもらうことと思いますから。

私が想像するに、現場臨床で優れた #認知行動療法#行動療法 の専門家って、実は「良き養育者」として振る舞う反作用としての #逆転移 への対処の仕方を知らず知らずのうちに身につけているのではないでしょうか。押し付けではない「共に考えて方向性を決める」ということもするのではないかと。

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誤解なきように言い添えれば、クライエントさんが実際に暴力をふるってきそうな場合には、ある種毅然とした態度が必要でしょう(それだけでも引き下がることも多い)。ただ本当に実行しそうなら、他のクライエントさんやスタッフもろとも逃げてしまいましょう(ああいう事件があった後だから言い添えれば)。

私が勤務していた大学学生相談センターには、受付の机の影のすぐ手に届くところに 非常ベル が設置されていて、1分後には体育会系学生部職員が、2分後には保健管理センターの看護士が救急箱を持って、駆けつけるシステムになっていました。一回だけ使ったことがあります。

私の勤務した学生相談センター(平屋)には、いつでも外に解放される「裏口」がありました。

#中井久夫 先生は、病棟で患者さんから襲いかかられた場合を想定して、柔道の投げ技と絞め技を身につけていたそうです。


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