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洋平タイムとは 小林洋平

洋平タイム、または洋平ショーなどと呼ばれる。
主に小林洋平が台詞を喋る時間。
しかし、ただ台詞を喋ればいいというものではない。
自らが方向性を決め、言葉を選び、手法を考える。
大抵は個人的に勝手に作り始める。基本的に原作の言葉のみを使い、その言葉を組み立て、覚えて、練習し、こんなのできましたと言って発表する。やりたいことを明確に見せるために台本を外した状態で見せる。なので結構練習する。3週間くらい一人で稽古することもある。誰に頼まれた訳でもないのに。

採用されることもあればボツになることもある。どこかのシーンに入れられないか検討し、保留になり、そのままお蔵入りということもある。
保留中もクオリティーを保つために練習しなければならないので、待ってた挙句ボツになるとなかなか辛いものがある。
しかしあくまでも自分でやっているだけなので文句は言えない。

最近は演出に「この辺りにラップ入れて」とざっくり発注を受けることもある。こうなると方向性は演出が決めているので、厳密には洋平タイムではなくなる気もするのだが、とてもざっくりした方向性であとは全部作るのだからこれは洋平タイムだろう。そして、ざっくりとした発注を受けて、考えて、覚えて、練習して、発表して、ボツになったら、抗議をする。
「だって作れって言ったじゃないか」
演出は言う、だがよく全体を見てみなさい。
グッと言葉を飲み込む。

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いつ発表するかは大事なところだ。早い段階だと、まだクオリティーが低く、保留となりお蔵入りする可能性が高くなる。遅すぎたらそもそも作品に入る余地がないかもしれない。
あの時もそうだった。もう作品全体の流れはできていて、しかも結構シリアスだ。今更、まあまあおちゃらけた(あの時はね)洋平タイムが入りそうもなかった。まあ、薄々気づいていた。
私はせめて最後にと思って皆の前で作ったものを見せた。
誰にも見られないよりは、稽古場にいる仲間に見てもらうだけでもいい。

ルールブックを作ろうと思った理由のひとつは、表舞台に出なかった洋平タイムの作品たちを、「こんなのも作ったんだよ……」と未練がましいのは承知の上で、知ってもらえたらと思ったからだ。

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