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公務員=ライスワーク?

「安定の公務員」という言葉に惹かれて、公務員を目指せ!という親御さんもいるし、自分の意思で公務員になる人もいる。

自分も遠からずその言葉に惹かれて、行政保健師に興味を持った1人。

バブルが弾けたあとの不景気な時代に生まれた自分。そして親世代もその影響をうけた年代。だから、ある意味当然かなと思うのです。私の世代が「安定の公務員」を目指すのは。興味深いのは、公務員が具体的に何してる人かもわからないであろう小学生中学生が、公務員を将来の夢に掲げてるケースがあるってこと。


話は変わり、

恥ずかしながら、ライスワークとライフワークという言葉を最近知りました。前者は食べていくための仕事。後者はそれ以上の意味を持つ仕事のことかなと解釈している(きちんと定義された文献がありましたら、教えていただけると嬉しいです)

この2つの言葉を目にしながら「わたしにとって行政保健師は、ライスワーク?ライフワーク?」と考えてみた。

女性が生きていくために

私は中学生くらいの時から「女は資格を取るか公務員」という言葉を聞いて育ってきた。日常生活の中で「やっぱり資格を持ってるっていいよね」とか「女の人は産休育休取りやすい仕事がいいよ」とか。今振り返れば、親の洗脳?刷り込み?作戦にまんまとハマっていたわけだけど、その頃は「へえー」くらいにしか思っていなかった。

高校進学を考える時になり、自分が将来何になりたいのかを考えるようになった。当時、本気で考えていたのはお医者さん。しばらく本気で目指したものの、高校で部活にのめりこむうちに成績はがた落ち。いつの間にか「看護師」の選択肢が浮かんでくるように。そんな中、家族から一言。

「看護師は夜勤もあって大変だから、保健師なんてどう?」

私が社会人になる頃は「就職氷河期」真っ只中。別の学部に進んだ友人らは何十社も面接を受けては落とされるという非常に厳しい時代。そんな時代に保健師として「安定の公務員」になった私。

労働の対価

看護の勉強はしてきたものの、社会人になるにあたっての勉強は皆無のまま、晴れて行政保健師になった。お給料がいくらくらいなのか、どんな手当てがあるのか、福利厚生はどうなのか。そういう視点で就職活動をしてこず「公務員はどうやら安定しているらしい」という刷り込みだけで、社会人になってしまったんです。

保健師としての毎日は刺激にあふれ、疲労困憊で時に落ちてしまうこともあるけど、職場の人や住民の方々に助けてもらいながら充実した日々を過ごすことができてます。

でも、頑張ってもお給料は増えない。

虐待予備軍の家に何度も訪問しても、うつで悩むお母さんを病院につなげても、発達特性のある子の支援をしても、何時間電話相談を受けても。(ちなみに時給換算してみたら約1000円)

日々の仕事に少しずつ慣れてきて、自分の仕事内容とお給料のことを考える余裕ができたころ、そんな当たり前のことに気づく。そりゃそうだ。だって公務員は利益を生み出す仕事ではないから。

結論:保健師はライフワーク

ライスワークとライフワーク。この2つの言葉を聞いて「自分にとって保健師はどっちだろう」と考えてみた。多くの人、特に安定の公務員と思っている人達は公務員=ライスワークに分類している気がする。基本的にリストラはない。倒産することもない。食べるに困らない仕事?公務員。

だけど利益を生み出す仕事ではない以上、自分の+αの頑張りがストレートにお給料に反映されることは難しい。虐待を何件予防しようが、何時間相談受けようが、それはやって当たり前の仕事だから。

それでも私が保健師をやっていたいと思うのはなぜか。

それは私にとって保健師は食べていくためだけの仕事じゃないから。別の言葉では“やりがい”と表現するのかな。入り口はライスワークとして、だったかもしれない。でも食べるに困らないという理由付けだけじゃ、この仕事を続けるのには限界があるように思う。重大な虐待案件が発生するかもしれない。死にたいと相談してた人が自殺を選んでしまうかもしれない。

食べるためだけの仕事ならば、私は違う仕事をライスワークにすると思う。

ライスワーク探し

残念ながら私が行政保健師である以上、別の仕事を平行しておこなうことはできない。最近は自治体によって条件付きで副業可としているところも出てきてるけど、広まっていくには世間の理解が必要だし時間もかかる。

上司の人達の大変そうな姿を見ていると、このまま定年まで仕事したくないなって思う自分がいる。現場を離れて部下をまとめて・・・それも立派な仕事なのだけど、保健師をライフワークとしている自分にとっては、現場の仕事ができないのは致命的。きっと上司の人達も同じだと思う。みんな現場をやりたいのに、偉くなるとそれが難しくなっていく。

別の仕事をライスワークにして、行政保健師をやめフリー保健師としてライフワークをしていけたら・・・。

そんな青写真を描きながら、今は目の前の仕事に取り組み、コツコツと信用を貯めて、いろいろな価値観に触れ、自分に合ったライスワークを探していきたい。これからの時代、公務員だから安定している、なーんて甘い考えがずっと通用するとは思えない。

1人でも生きていける力を身につけるため、今のうちに色々な経験をしておきたいと思います。

うまくまとめられた気がしないけど、ライスワークとライフワークのお話でした。