見出し画像

呼吸法

皆さんは過呼吸の対処法をご存知だろうか?
そう、紙袋か何かを口に当てて、その中の限られた空気を吸ったり吐いたりすることです。

私はアメリカのホームドラマから過呼吸という現象を最初に知った。恐らく、フルハウスかアルフあたりだろう。

幸いにして過呼吸になったことがないので、これについて深く考えることもなかった。袋を口に当てる理由も分からず、袋が膨らんだり縮んだりする場面の滑稽さだけが記憶に残っている。

ところが最近、「ハーバード&ソルボンヌ大学 根来教授の 超呼吸法」と言う本を読んで初めて袋を口に当てる理由を知った。

本の内容を簡単に紹介すると、意識的に横隔膜などの筋肉を動かすことによって、自律神経や毛細血管の働きを良くすることが出来る。その結果、脳や体全体のパフォーマンスも上がる。そして、これらの筋肉を意識的に動かすためには、呼吸を意識することが大切。

そのメカニズムの説明の中で、特に面白かったのが二酸化炭素の働きである。

赤血球が酸素を体内の隅々まで運んでいるが、二酸化炭素濃度が低くなりすぎると、赤血球が目的地に辿り着いてもうまく酸素を切り離せない。だからせかっく運んだ酸素を必要な細胞に渡せず、そのまま肺に持って帰るらしい。

そして、吸う息と吐く息の二酸化炭素濃度を比べると、吐く息のほうが100倍以上高い。だから短時間で呼吸を繰り返す過呼吸によって体内の二酸化炭素が急激に下がる。

過呼吸で苦しくなるのは酸素の不足ではなく、二酸化炭素の不足が原因。だからこそ、紙袋などで吐く息を限られたスペースに留め、二酸化炭素の濃い空気を吸い戻すのだ。

大して気にもしなかった疑問だったけど、何かの拍子で答えが分かるとやはり嬉しいものである。

そして、日々意識せずに行っている呼吸は奥深いのだなと改めて感じた一冊なので、ご興味があれば是非ご一読ください。



この記事が参加している募集

#読書感想文

188,902件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?