(わたしのちそう)溶け合う
毎日片道2時間の通学も
早朝から始まる漫画喫茶のアルバイトも
苦痛ではなかった。
自分で決めて、自分で始めたものだったから。
朝5時に漫画喫茶に行き、清掃や接客を行う。
夜通し漫画を読む人、カラオケする人、ネットゲームする人。
バイトのシフトでは、
1歳年上の、ゆったりとしたSさんとペアになって仕事することが多かった。
私は、父親と離れて暮らしてから、
中学校でも高校(女子校)でも
異性と一緒に過ごすことがほぼ無かった。
というか、人と関わることをしてこなかった。
ゆったりとしたSさんは
いつも飄々としていて
一緒に過ごす、仕事する、話する、
ことに緊張感を感じなかった。
いつも心地よい距離感を保っていてくれた。
働いていた漫画喫茶は24時間営業であったから、
深夜の人と引き継ぎを行うのだが
深夜帯で働いていた、Tさんという人に出会った。
5歳年上で、フリーター。
色が白く、背は高く、人当たりの良い、穏やかな人だった。
私は、Sさんに感じる、心地よさとは違う感情を持っていた。
早朝アルバイトは、
昼間のパートさんに引き継ぎを行うのだが
そのパートのNさんが私はとても好きだった。
いつもニコニコしていて、
太陽のようにエネルギーが湧き上がっている人。
お客様とトラブルになったときも
スムーズに解決していた姿にいつも惚れ惚れしていた。
Nさんみたいに、
太陽のようになりたい、と
社会人になってからも、いつも思っていた。
そのNさんは、Tさんと私のやりとりを見て、イケると思ったのか
Tさんと私は付き合う流れになっていった。
Tさん自身も家庭内に問題を抱えていたことが後に解ったが
そのためか、互いに理解し合える部分があり、
また、根が穏やかで優しい人だったからか
私は初めて、
穏やかに滑らかに
自分の家庭の問題を人に打ち明けることができた。
母親から受けたトラウマになっていた出来事
父親が行った許せない事
たくさんの話をし、触れ合った。
今思えば、盲目な部分もたくさんあったが
私を理解する人は誰一人として居ないと考えていたから
彼と話をし理解してもらえたと感じた時は
心が初めて軽くなったように感じた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?