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まだ手放していなかったもの

口を開けば「暑い暑い」とこぼしていた残暑も、ここ数日のうちに一気に気温が下がり、「寒い」「ひざ掛け出そうか」などと秋をすっ飛ばして冬の準備に入りつつありますね。

今日は二十四節季の寒露。でも僕の住んでる地域ではほんの1週間くらい前まではまだまだ暑い日が続いていました。いつもなら8月のお盆を過ぎる頃には涼しい風が吹き始めるのに、やはり今年は例年より長く厳しい夏だったのだなと改めて思い知った次第です。


5月に最後の愛猫が天に還ってから自分でも驚くほどに気力がなくなり、そうこうするうちに例年にない厳しい暑さの夏にダラダラ生活を続け、荒れた庭やら溜まりまくった家事に追われているこの頃。

ホント久しぶりのnote更新です。


以前にも書いたことですが、僕は40代の終わりに鬱とパニック障害を発症、まったく外出ができなくなってしまいました。仕方なく仕事を早期引退して専業主夫になり、心身の養生のために数年かけてモノと精神面のこびりつきと人間関係の9割を手放すミニマム化を図って来ました。一番大変だったのは子供時代から続く妄想化した被害者意識や過去への怒りを消すことでした。

脳内で堂々巡りする怒りや被害者意識と向き合っているうちに様々な気づきや発見があり、数年を経てようやく僕の頭の中は静かになって参りました。

その経験を書いてみようとnoteを始めたのですが、『ノイズの少ない生き方とは(2)』を最後にずっと(3)が書けない日々が続いていました。


ひとつには、「一つの記事は文字数で3000字くらい、シリーズものはVol.3までにまとめないと長過ぎて読みにくい」と考えていたことが原因でした。自分が人様の記事を読む際、それ以上の長さになるとよほどの文章力のある方の記事でないと読みづらくなってしまうからです。

しかし数年かかって得られた多くの学びや気づきをどうやって短くまとめるかで苦戦し、結局記事を書いたものの下手な文章を人目にさらすのが恥ずかしく、大量のお蔵入り下書きとなってしまったのでした。


大した文章でもないくせに、まだ人の目や反応を伺っている自分がいるんですね。ひとえに僕の文章力の無さが原因ですが、最近になってようやく読み手の反応など気にせず、自分が納得できるまで長文になろうが100話を超えようが書き続けてみようと思い始めました。


気づけばこれも「ノイズ」の一つだったんです。人の反応を気にするという。


よく、「失うものはない」というセリフを聴きます。僕も持ち物と人間関係の9割を手放し、仕事の肩書も過去の栄光も捨て「何者でもない自分」になって「失うものはない」と思っていましたが、まだ残っていたんです。『完璧主義』という名のプライドが。

このプライドは仕事をする上では役に立ってくれましたが、だんだんそれが強迫神経症的に自分を追い詰め、がんじがらめに縛っていきました。僕の心身を壊したのは、実はモンスタークレーマーでも自分の仕事の尻ぬぐいを僕に押し付けて知らんぷりの無責任な輩でもなく、僕自身のプライドだったのです。


数年かけて過去から続く脳内の被害妄想を消すことはできました。ですがこのプライドを僕はまだしつこく握りしめています。そのためnoteの記事は書いても書いても納得ができずすべて下書きで止まっていました。僕がこのプライドとの付き合い方を今ここでしっかり学ばなければ、これから先、また過去と同じ苦渋を味わうことになるのは目に見えています。


もちろん、向上心は人間にとって良いものではあります。ですがそれが僕のように行き過ぎると(行き過ぎた理由は「ノイズの少ない生き方とは(1)」に書いています)自分自身を壊してしまう凶器となる。そのことを僕は理解しているようでまだ本当に理解はしていなかったんですね。


当面の僕のテーマはこのプライドを一旦捨て去ることです。そのためには恥も外聞も捨て、このnoteに稚拙ながらも次々と文を投稿することが今の自分には一番効くクスリかもしれません。


今回はイラストもなく、推敲もほとんどしない状態でえいやッと記事を投稿してみました。これが握りしめたままの自分のプライドを少しずつでも手放していくきっかけになればと願います。


僕の「ノイズの少ない暮らし」への道はまだまだ続きます。だけど僕の寿命は明日には突発的な事故で消えてしまうことだってありますよね。

だから始めるのは今。再開するのも今。


50代の僕にとってはこれも終活のひとつかもしれません。持ち物や暮らし方だけでなく、心と身体にこびりついた思い込みや今の僕には不要になった価値観を捨て去り、洗い落として透明に近づきたい。

人生の終わりにできるだけ思い残すことがないように。



逆にそうすることで、僕の残りの人生の中でここ数年避けていた社会や人とのつながりも苦痛ではなくなるのではないかと感じています。






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