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「夢」の世界を生きるために、5歳児と学ぶMLK Jr. Day

私たちの住むカリフォルニアでは昨年の3月から10ヶ月間ずっと、ロックダウンが続いているため、昨年9月から公立小学校のキンダー(小学校1年生の準備学年のようなもの)に通い始めた娘も、一度も通学を経験しないまま、オンライン授業を受けています。

幸い娘は、「キンダーや小学校とは、オンラインで授業を受けるところ」だと思っていたらしく、コロナが原因で自分がオンライン授業を受けているとは、つい最近まで知らなかったようです。幼稚園から小学校への進学時期が、この隔離生活がぶつかったため、通学とオンライン学習を天秤にかける必要がなかったことは、彼女にとってはよかったのかもしれません。

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さて、1月18日(月)は、Martin Luther King Jr. の誕生日を祝う祝日でした。5歳の娘が通う小学校でも、先週は1週間かけてキング牧師について学びました。

宿題で出たキング牧師に関するプレゼンテーションを準備するために、私も娘と一緒に勉強しました。娘とは、BLM運動の始まりの頃から、アメリカでの人種差別や人権問題について絵本などを通して少しづつ話してきたので、学校で習うのは初めてであった娘も、「あ、これはRosa Parksも言ってた!」と他の人権活動家との接点を見つけたりと、彼が何を訴えたのかをすぐに理解できていました。

ただ、提供された教材の中には、「キング牧師のこの演説により、みんなが同じ方向を向いて、みんな幸せに生きられる世の中になりました」というような内容のものもありました。確かに、彼の行動によって人々の意識は変わりました。法律も変わりました。でも、そんなハッピーエンドで片付てしまうのは、この教材の作り手がきっと特権を持った人だからだし、これからの時代を生きて行く娘にはその理解で終わらせて欲しくありませんでした。

娘と二人で散歩をしながら、「キング牧師が言っていたメッセージの意味はわかるよね?彼はたくさんの人に影響を与えて、法律も変わったよね。でも、あれで問題がすべて解決したという考え方はちがくて、人種差別、人権問題は今も戦い続けている問題なんだよー」と言うと、娘はさらりと「うん、Black Lives Matterとかでしょ」と言いました。娘は、私が思っているよりもずっと正確にこの問題を理解していることが分かり、子どもだからわからないと思わず、これからも対話を続けていこうと思いました。

そんなことをしみじみと考えていると、拾った木の枝で塀をつつきながら、娘が「ママー」と言うので、「お、もっと話が深まるか?」と乗り出すと、「ピタゴラスイッチはさ〜、英語だとピタゴゥラスゥウィッチって言うのかな?やっぱ英語だとそうだと思う?」と聞かれて、肩透かし。もうそこからはピタゴラスイッチを英語で発音するとどうなるか議論を続けて帰路につきました。

奴隷解放宣言から100年経った1963年、キング牧師が根強く続く黒人差別の撤廃を求めるあの有名な演説をして、それから、牛歩の進みで人種差別や人権問題と向き合うことを世の中が認知してきたはずなのに、彼の演説から60年経った今のアメリカはどうだろう?この4年で分断が浮き彫りになったアメリカの現状は、彼が描いていた「夢」の世界からまた遠く遠く離れています。

昨日バイデン氏が大統領に就任し、就任演説でもこの分断を修復することを強調していました。私利私欲じゃなく、国と国民のために何かをしたいという気持ちが感じられるスピーチでした。また、彼が副大統領として指名したのカマラ・ハリスさんは、女性初の副大統領、そして彼女が有色人種であることも素晴らしい一歩。政治に少しでも希望を持てること、子どもたちが夢をみられる世界。それはこの4年間、1ミリも感じることができなかった感情で、その嬉しさに何度も涙がこみ上げてきました。これからです。

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