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三国志14PK(ゲーム感想)_大軍を引き寄せておいて、一網打尽にする快感

『三国志14』は2020年1月16日にコーエーテクモゲームスから発売した三国志シリーズの14作目の歴史シミュレーションゲームで、初代の発売が1985年となる。かれこれ35年以上もゲームシステムに変化を持たせつつも三国志をテーマに14作も発売され続けているわけだが、ゲームシステムを毎度ゼロからつくり変えて発売し続けるというのは、本当に凄いことだと思う。

私は無印版を購入せずに、12月10日のwithパワーアップキット版の販売を待ってから購入したので、まだプレイし始めて1ヶ月も経過していないが、以下感想などを。

三国志14PK_諸葛亮

小国で大国を打ち負かすための様々な戦術

シミュレーションゲームの一番の楽しさを考えたとき、自分は弱小勢力からスタートして、全盛期の董卓や曹操などの大勢力と立ち回りながら徐々に領土を拡大させて勢力図を書き換えていくことにあると思っている。
本作では三国志ならではの天然の要害の効果的な利用方法や、武将たちの個性によって弱小であっても大勢力と戦うためのバリエーションが豊富になっていて、戦術的に工夫のしがいがあるのが楽しい。

三国志14PK_蜀

例えば、蜀の険しい山並みは魏の侵攻スピードを遅らせることに役立っている。魏から成都を狙うとなると、関は城よりも防御力が堅く設定されていることもあるため、剣閣ルートで侵攻する場合に攻撃側は守備側の数倍の兵力を要することになる。
逆に蜀の立場からしたら、少ない戦力で北からやってくる軍を撃退出来るようになっているので、原作で姜維が守ったように剣閣を最小限の兵で守ることが可能だ。しかも関の手前に雁行をおけば弓矢で攻撃軍を遠隔攻撃で削るれるのがエグい。
しかし、白水関と剣閣の西には鄧艾の通ったルートもちゃんと用意されている。こちらは関こそ無いものの山道は細く長いために、兵の移動がどうしても縦に伸びてしまいがちで、一旦兵が進み始めたら引き返すことは困難だ。

三国志14PK_鄧艾

鄧艾のように長距離移動に優れた武将がいたら山道ルートでもよいが、井闌や衝車などの兵器に優れた武将がいるなら着実に関を攻めるという戦術も考えられる。
過去作にもこの山道は存在していたがここまでバランスよく2つのルートの用意された三国志は14作目にして本作が初めてではないかと思うほどこの地形には興奮する。

兵站を切った瞬間に戦況が一変する

本作が過去作と最も異なるルールに、兵站という概念がある。兵が進軍したり都市または府を占領すると土地に各勢力の色が塗られるわけだが、この色が繋がっている間は兵站が繋がっており、色が途切れると兵糧が途切れて兵の士気が一気に下がることになる。

三国志14PK_色塗り

そのため、兵力差が数倍あったとしても兵站さえ切れたら勝機が生まれるわけだが、狙い通りに兵站を切って状況を一変させる作業が病みつきになる。脳内にドーパミンが出ている感覚が凄い。たかがゲームだし誰かに自慢したところで「それがどうした」で終わる話しでしかないけど、冷静になれないくらい嬉しい。
兵站を切る方法は、予め土塁を築いて侵攻ルートを狭めて敵軍を誘導したり、知力の低い武将には偽報で罠に誘導しながら深追いさせたりと、戦術は都市の地形や配下武将によって様々だ。
最もオーソドックスなのは、予め機動力の高い錐行などの陣形で、敵の背後に武将を回り込ませて兵站を切る方法なので、足の早い武将に担当させれば良いということになるが事はそう単純ではない。

三国志14PK_呂布02

例えば呂布には飛将(ZOC無視)という個性があるため通常の武将よりも移動速度が早いが猪突(敵接近時"無視"が選択不可)という個性も持っているため、兵站を切るように移動指示をしていたとしても、近くに敵兵がいたらそちらを優先してしまうので、プレイヤーの思った通りに行動してくれないことがある。また呂布は知力が低いので罠にかかりがちなので、あっさり落し穴にはまって出れ来られないなんてことも起こりがちだ。

ゲーム性を引き立てる、武将たちの個性

行軍スピードで兵站を切るということに関しては、本作では盗賊団を結成していた張燕が優秀だったりする。疾走(自ユニットの機動が上昇)、山戦(山地で自ユニットの全能力が上昇)という個性を持っているため敵の背後に回り込むには最適だからだ。

三国志14PK_張燕

また、足の速い武将がいると府の占領に重宝する。洛陽などは5つの府からの値補正があるため、攻める側からするとかなり守備が堅い。そのため都市の周囲に存在する府を占領してからでないと容易に攻めきれないわけだが、うまく府を占領して包囲占領した瞬間もかなり気分が良い。

三国志14PK_包囲占領

その他に武将の持つ個性として、登用や探索にかかる日数が短縮する人脈、自勢力部隊(男)の全能力が上昇する応援など、基本能力のパラメータが優れていなかったとしても武将固有の個性がゲームの戦術に深みが出てくる。
武将としては強いのに細やかな戦術には向かない呂布よりも、山賊の張燕に敵の兵站を切らせるというのがなんとも三国志っぽくて良いし、劉備の持つ脱兎(撤退中に自部隊の機動力が上昇)、強運(負傷、戦死、捕虜にならない)というのも微笑ましい。

これらの個性によって、過去作ではあまり活躍の場のなかった武将を使う場面が増えてくることになり、武将の持つ個性から史実ではどんな活躍をした武将なのか? と調べる楽しみもある。
「三国志演義」には連環の計という謀略があって、少帝を廃して殺害するなど儒教的価値観から逸脱した行動を取る董卓貂蝉自らの貞節を犠牲にしてでも破滅に追い込む物語として「義」を表現している。つまり呂布貂蝉に利用されているのだけなのだ。なのに、貂蝉の親愛武将にちゃんと呂布が登録さているのには趣があると思う。

三国志14PK_貂蝉

こうして「三国志関連本を読み直して、各武将の登場シーンを知る」→ 「ゲームをプレイして武将固有の個性を確認してますます好きになる」というループにはまって、なかなかゲームを中断出来ない。『三国志11』でも個性はあったが、本作ほど気にすることはなかったと思う。

強烈な個性を放つ「猪突」の魅力

本作はターン制シミュレーションのため、行動目標を設定したうえで武将たちを動かすわけだが、敵の接近時に命令無視かつ、自主退却が不可の個性として猪突というのがあるのだが、この個性が本作の魅力を大きく引き立てている。

例えば、張飛を敵の近くに配置してしまうと、プレイヤーの命令なんかそっちのけで、たとえ寡兵であっても敵の包囲網へ自ら飛び込んだりしてしまう。それでも、張飛の場合は優れた武力を持っているので、一騎打ちで大軍を率いる敵武将を捕縛したり、戦法発動で戦局を一変させることもあっていかにも張飛らしいと思ってしまう。

また孟獲のバフとし祝融を最低限の兵士を持たせて出陣させたときにこんなこともあった。敵と接するマスに孟獲を配置し、祝融は2HEX空けて待機と命令したのだが、いざ孟獲が戦闘状態になると、祝融も待機命令を無視して戦闘に参戦してしまい、まるで夫のピンチに駆けつける妻の行動のようだった。
実際には半径数HEX以内の敵に反応しているだけなのだが、猪突を持つ武将たちがまるで自らの意志で行動を取るのが楽しい。

中盤以降、飽きてくるのはSLGならではの悩み

本作は一枚マップのためゲームシステムは『三国志9』や『三国志11』が近い。『三国志11』も好きな作品だったが、新しい都市を手に入れるたびに内政用の建物を建築するのが手間で、中盤以降は内政が苦行になっていくのが残念だった。
しかし本作では地域担当を任命しておけば勝手に内政値は上がっていくので、事細かに内政を指示するのが面倒な自分にとっては有り難い。
また、探索コマンドも条件付けて担当者を一括指定できたりとルーチンの手間を減らすために痒いところに手が届く仕組みがUIとして良く練られていると思った。

三国志14PK_自動探索

これは、シミュレーションゲーム全般に言えることかもしれないが自勢力が最大勢力になる中盤以降、ゲームとしての降緊張感が無くなってくるというのはある。
他勢力が連合を組んで同時侵攻してくるのはスリルがあって楽しいが、それすら山場を一度超えてしまえば大したことはない。
都市の数が35以上、土地占領率が70%以で「中間エンディング」というのはあるが実績が獲得できなくなると説明があるので、最後までやらないと気分が収まらない性分のため後半はゲームというより作業になってしまうのが辛い。
また、新しい都市を手に入れると必ず兵糧不足に陥るためどこかからか調達する作業が地味面倒だったり、年数の経過したシナリオで開始すると地域数に対して武将数が圧倒的に少ないため、敵武将を捕縛して寝返らせ続けないと武将不足に悩まされ、山賊に府を空白に変えられてしまうのも面倒だ。
ただ、それでも中盤以降の展開は過去作よりは格段にテンポよく進行するとは思う。

倒し甲斐があるからこそ、クセになる極級モード

一通り本作に慣れてきたので、難易度を極級にしてプレイしてみたのだがAIがなかなかに優秀でゲーム開始当初はかなり苦労することになるのだが、いくつか初級との違いを挙げてみる。

・新規勢力を作成すると、敵都市が3万に対して自都市の兵力が1万
 (しかも1ターン目から攻めてくる)
・他勢力の武将忠誠度がほぼ100で、引き抜きが出来ないため武将が増えにくい
・駆虎呑狼、地域懐柔、二虎競食などの計略を頻繁にやられるので、気が付くと状況悪化している
・府の影響によって武将のパラメータが跳ね上がる

武力70程度の武将でも府の影響力によっては攻撃力2,000をあっさり超えてきたりと数値的なエゲつなさもあるのだが、AIから受ける計略の”嫌がらせ”をかなりされるようになる。

三国志14PK_防塁と投石台

特に序盤はほんの少しのミスによって状況がみるみる悪化していくため、本当に気が抜けないのだが、投石台や土塁をうまく配置することで自軍に有利な戦況に変えることができるし、武将同士の親愛バフの組み合わせをするなど、工夫することで超級であってもAIと互角に戦えるようになる。そうして苦しい序盤を通過した時の達成感はクセになるため、シナリオを変えて何度もチャレンジしてみたくなる。
また、2021年3月25日のアップデートで「仲介」コマンドによって婚姻や義兄弟を組ませることが可能になった。
優秀だけど親愛武将が自軍に不在なため、単独では利用しづらかった武将などを、金10,000のマネパワーによって戦場のエース格に昇格させることが出来て楽しい。
パワアップキットやシーズンパスによってゲームが高額になっていることを指摘する意見も目にするが、ームをより長く飽きずにプレイするために、こういったゲアップデートするにも開発費はかかるため致し方のないことなのかもしれない。

三国志14PK_郭淮_辛憲英

過去作と比較しても、かなり楽しめる良作

三国志シリーズは、過去作では2、3、6、9、11、13とプレイしたきたが、これまでのところ、本作をかなり楽しめている。『三国志13PK』もかなりやり込んだ作品だが(確認したら393h)、同じメーカーがつくった三国志とはいえ、前作とは全く別作品と考えた方が良い。戦場切り替え画面は無いし、プレイヤーは君主プレイのみとなっている。また、一騎打ちも本作ではオートでサクサク進むのでテンポは良い。

三国志14PK_赤壁

さらに、歴史イベントが条件が揃うと強制実行ではなく、選択式になったのも便利だ。敢えて「赤壁の戦い」を起こさずに江夏一都市の劉備軍からスタートして曹操軍に立ち向かうことも出来るため、ゲーム中に難易度をプレイヤーがコントロール可能なのは良いことだと思う。

スペック面でこれまでのコーエー作品と違うのが、求められるグラフィックボードの質が高いことくらいか、2年前に購入した私のPCでは画面品質を落としてギリギリスムーズに動くというところなので、最近のPCでもスペックを確認したうえで購入しないとAmazonのレビューにも同様の書き込みがある。

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