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牡蛎を求めてウィスタブル。イギリス留学中、久しぶりのご馳走。

イギリス留学当初、英語やら何やらに必死だった私はあまり周りが見えていなかった。

イギリス留学初の旅ブライトン。そしてキリスト教徒の方との出会い。

そんなこともあり、少しばかり肩の力が抜けてきた留学生活。友達と一緒に次はウィスタブルへ行った。

少しでも美味しいものが食べたい。牡蛎を求めてウィスタブルへ

当時イギリスの食事にうんざりしていた私は、とにかく、少しでもいいから日本を感じさせるおいしいものが食べたかった。

「ウィスタブルではカキ(牡蛎)が食べられる」と友達から聞いた私は、一緒にウィスタブルへと向かった。

ウィスタブルはイギリス南東部にある港町だ。ローマ時代から牡蠣漁で栄えていた町として有名らしい。

カキを食べると言ってもお店には入っての食事というわけではない。露店売りのような場所で食べたのを覚えている。

たしか一つ1ポンドほどだったはずだ。ビネガーをかけて食べた生ガキだったが、私にとっては久しぶりのご馳走だった。

正直にいうと、私は日本でカキをあまり食べたことがなかった。あまり貝類は好きではなく、好んで食すことがなかったからだ。

しかしイギリス生活では話が別だ。生でカキが食べられる。刺身ではないが「久しぶりに日本の食事と同じような食べ方ができる」とテンションがあがった。

テンションそのままに、今度はイギリスで初めて、レストランへと向かった。港町ならではの魚介の料理だっただろうか。

当時付けていたメモ書き日記には、イギリスで滅多に口にできないご馳走にありつけた喜びであふれていた。生き返った心地がしたのは間違いない。

ただし、金額もそれなりにしていたともある。イギリスのご飯は確かにおいしくないのだが、お金さえ払えば、それなりの料理は食べられることを知った。

食後はゆっくりと海岸を散歩。やはりここも石ころのビーチだ。

波の音や風の感触、潮の匂い、目に映る海や周りの風景。細々と小さく揺れ動く自分の心が、大きな自然に触れることでゆったりとしてくる。

「海はずっと続いていて、日本にも繋がってんだなぁ」と少しホームシックになっていた自分もそこにはいた。

時計修理

海岸をのんびり散歩中に悲劇が起こった。日本から持って来た大事な腕時計が壊れてしまったのだ。

「イギリスの物価は高いから、修理って高いかなぁ。そもそも修理してもらえるのかなぁ」と不安でいっぱいだった。

ウィスタブルの町を歩いていると、友達がたまたま時計修理のお店を見つけた。そこのおじさんはとても良い感じの人だった。

白髪の口髭をはやし、丸眼鏡をかけ、時計職人用のエプロン(?)をつけている。店内も欧風(イギリスだから当たり前だが)で、なんだかアニメの世界の職人に会ったような感覚だった。

「これぐらいだったらすぐ修理できるからちょっと待ってなさい」といってすぐに修理してくれた。まさに絵にかいたような時計職人さんだった。

またレストランでの一食の値段と比べて、大事な時計の修理費用がはるかに安かった。自分の価値観に釣り合わないイギリスの相場感に戸惑ったのは、今でも忘れらない。

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