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禅僧の正法眼蔵講話「話摩訶般若波羅蜜」メモ書き2日目

今回の講話会は、五蘊などの仏教用語の説明から入りました。

五蘊について触れているお話が参考になるかと思います。

五蘊の教えはこうしてお釈迦さんの時代から説かれています。五蘊は色受想行識です。まずこれを知って頂くことが、今回の話をする前提となりました。

そしてここから皆さんに考えて頂きたいのです。

「色受想行識は有りますか? 無いですか?」

今回の講話はこれをテーマにお話ししました。

有無について

般若心経には「無色無受想行識」と書かれています。一方、正法眼蔵般若波羅蜜では「五蘊は色受想行識なり。五枚の般若(智慧)なり」とあります。

一方では「色受想行識は無い」と書かれており、もう一方では「色受想行識は智慧である」と書かれています。

これをどっちか一方が正解で、どっちか一方が間違っていると考えてはいけません。そもそも、仏教で使われる<有><無>の言葉と、一般的に漠然に考えている「有」「無」の込められている意味が違うというお話をしました。

ただ一般的の「有」「無」も漠然と使っているだけで、同一のものを一方では「有」と表現し、もう一方では「無」と表現することはあります。

「有⇔無」だけでなく、「有=無」とも表現できます。

そういう意味では、日本の<無宗教>の感覚は、大変興味深い話になります。日本人は無宗教と言いながら、そこにはたくさんの宗教が有ります。

日本では、「特定の宗教を信仰しているわけではないよ」という方は結構多いのではないでしょうか。こだわりが無いと言ってもいいかもしれません。

ただし、

ある時は、坐禅会に足を運んだり、神社仏閣を参拝したり、亡くなったらお寺(仏教)に行き、初詣は神社(神道)へ行き、ある時は富士山(自然)を拝んだり、お天道様(太陽)を拝んだり(ご来光)、結婚式は教会(キリスト教)などなど……。

たくさんの宗教がそこにはあります。

無宗教なのですが、そこにはたくさんの宗教が有るのです。<無>なのですが、同時に<有>なのです。

イギリス留学の際に、東洋の宗教(以下<宗教>)と西洋のreligion(以下「宗教」)という意味が違うということで話題になりました。(海外でもクリスチャンの方とこの話をしたこともあるので、機会があれば、ブログやnoteの記事にできそうですね)

私が「I have no religion(私には「宗教」は無い)」と言って話題になってのを覚えています。

「You believe buddhism, don't you?(あなたは仏教を信仰しているのでしょう?」

「I have question about buddhism.(私は仏教について疑問を持っているよ)」と答えました。

もちろん興味はあります。私はそうやって、たくさん疑問があってこの仏道に入ったので、believeかと言われると素直にそう言えません。もちろん、間違っている(信じていない)とも言いません。

そうなんです。私も大半の人が「宗教(religion)」と思っている「宗教」にはこだわりはありません。そういう意味では私は<無宗教>なのでしょう。

もし人間が何か絶対的ものを信じるという関係を「宗教」と呼ぶなら、禅や仏教は「宗教」ではないと思っています。

何か絶対的ものを信じるという関係を「宗教」。これがreligionという西洋の考え方ですね。

一方で東洋では、漢字を分解してもその意味が違うことが伺えます。

「宗=根本 」の「教=教え」。「自分のどういう教え(考え)を根本として生きていくか」いう意味で考えるなら、仏教や禅は<宗教>と言えると考えています。

そうすると、何も考えず生きている人間はいないと思うので、東洋の意味から考えると、誰もがみな皆、<宗教>を持っているってことになります。

仮に「無宗教(宗教と呼ばれるものは何も信じない)」といっても、「無宗教」ということを自分の根本に据えているという意味では、「無宗教」という<宗教>を持っていると言えます。

一方、西洋の意味から考えると「無宗教」は、信仰している宗教は無いと読み取るので、信仰する「宗教」が有るか、無いかという二者択一の話になります。

<無宗教>と「無宗教」、<宗教>と「宗教」

このあたりの話を進めていくと、有と無の使い方の違いがなんとなく伝わるのはないでしょうか。

それに仏教の教えには、場合によっては「教えは捨ててしまいなさい」という教えさえあります。

もし「宗教の中で教えは絶対的なものである」というのであれば、仏教は「宗教」と言えるのでしょうか?


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